卓球技術・コツ 【卓球技術】表ソフトは“ツッツキ”が特に大事 メリットと注意点、ツッツキからの展開を紹介
2021.11.04
文:加藤拓也コーチのYouTube KATO卓ちゃんねるより
表ソフト使用者にとって、ツッツキはチャンスメイクに欠かせない技術です。
「これができると試合が変わる!脱中級者講座」の第10回では、表ソフトのツッツキの重要性を、加藤コーチの解説を通して詳しく見ていきましょう。
【加藤拓也(かとう たくや)】京都府・洛東高等学校から京都産業大学を経て、現在は天王山卓球スクール北山店でコーチを務め、子どもから大人までを幅広く指導する。戦型は右利きの中国式ペンホルダーでフォア表ソフト、バック裏ソフト。中学生から卓球を始めながら、全国大会出場経験も持つ。自身の個人チャンネルであるKATO卓ちゃんねるでは、中ペン、表ソフトの技術をメインに練習や試合の動画を多く配信している。(写真提供:本人)
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表ソフトのツッツキの重要性
加藤拓也(以下、加藤):今回は表ソフトのツッツキの重要性について詳しく解説をしていきたいと思います。これは私個人の意見であり参考程度にご覧ください。
戦型関係無しに大事と言われるツッツキですが、表ソフトでは特に大事になってきます。どうしてツッツキが大事なのでしょうか?
練習自体は面白くないですが、ツッツキをしっかり練習して試合で使えるようになった時に生じるメリットを紹介したいと思います。
ツッツキのメリット
1.レシーブの怖さが少なくなる
加藤:まずツッツキを使う重要性の一つ目としては、レシーブが怖くなくなるというところです。
レシーブの時にツッツキを使う方はすごく多いと思いますが、ツッツキの技術をしっかり行うことができれば、真上回転が来ない限りは全部にツッツキできます。
勿論当てるだけになるとチャンスボールなって打たれてしまいますが、相手の横回転系サーブを自分の技術で切ってしまえば、それだけで相手に先手を取られないボールになってくるのでレシーブで有利に立てます。
また、相手の回転がわからないなと思ったらとりあえずツッツキをしておけば良いので、ツッツキがちゃんとできていたらレシーブは怖くないです。
その後の展開はしっかり考えておかなければいけませんが、ツッツキでレシーブをしっかりやることによってレシーブで先手を取られにくくなります。
2.無理して攻撃する必要がなくなる
加藤:二つ目の重要性としては、無理をして攻撃をしなくてよくなるということです。
長いボールが来た時に全部打てることが理想ですが、特に片面ペンホルダーの方はバックにボールが来た時などに、全部打つことは難しいです。
打てない時に大事になってくるのがツッツキです。多少無理をして打たなくてもパックに来たツッツキをしっかり質の高いちょっとツッツキで切り返すことができたらそれだけで相手に強いボールを打たれなくなります。
しっかりツッツキを行って相手に打たせ、それを振り回す展開や、ツッツキ返されたボールを十分な体勢で狙い打つ展開などを作ることができます。
下回転だけでなく、横回転やあえてナックルにして返球するのも全然良いです。質の高いツッツキで相手に先手を取らせず、自分の展開に持ち込むことが可能になります。
3.色々な変化をつけやすい
加藤:3つめの重要性としては、簡単に色々な変化を作ることができるということです。
先ほどの話でもちょっと触れさせてもらったんですけど、ツッツキといっても切る、切らない、横回転、またはナックル、というように色々なことができるんですね。
ドライブでもループドライブやスピードドライブがあると思うのですが、回転の幅でいうとツッツキの方が幅広いと思います。
ツッツキの技術を極めることによって様々なボールを打つことが可能になり、ツッツキだけで勝つことができ、無理して動かないですむ省エネ卓球ができるようになります。
ツッツキの注意点
加藤:注意点としてはやはりボールの質です。
質がない状態で普通にツッツキをしてしまうと、棒球になってしまって相手に打たれてしまうので、まずはツッツキの質を上げることが大事です。
まずは回転を掛けること、次に回転に変化をつけていくようにして技術を発展させていきましょう。
質の高いツッツキができるようになった上で今お伝えさせてもらった3つのポイントを意識してやってもらうことで試合で効かせられるようになります。
ツッツキからの展開の作り方
加藤:ツッツキを用いた展開の作り方について紹介していきたいと思います。
ツッツキは基本的に点を取りに行く技術ではないので、ツッツキをやってからの展開を意識することが大事です。
ツッツキでチャンスメイクをして次のボールで決めるというのが理想の展開になってくるので、その展開の作り方をまずお話ししていきたいと思います。
1.フォア側にツッツキ→クロスにカウンター待ち(右利き対右利き)
加藤:1つ目はフォアにツッツキを厳しく送って、相手に回転をかけさせたクロス側のボールをカウンターするという展開です。
基本的に厳しいボールを送るとクロス側に返って来やすいです。よほど待たれていない限り強打をされることはないので、厳しいツッツキを送ったら大体ループドライブで持ち上げてくるので、それをしっかり待って打つ。
そこまでを頭に置いてツッツキをやることが大事になってきます。
2.バックにツッツキ→回り込みカウンター待ち
加藤:2つめはバックにツッツキをして、クロスに飛んでくるボールを回り込んでカウンターで待つという展開です。
ツッツキをバックにしっかり送ることができたら、ボールはクロスに返ってきやすいです。バックドライブをしっかり振ってくる人は少ないので、ツッツキで詰めたらツッツキまたはループドライブで返ってくると考えて良いです。クロスに返ってきたボールを回り込んで強打できるように。
チャンスメイクをしたら次の球はしっかり攻めるようにしましょう。
まとめ
加藤:表ソフトはツッツキで独特なボールが出ます。回転の種類が多彩であるだけでなく、弾道も直線的になります。それゆえ相手を詰まらせやすく、自分から積極的に打っていくよりも安心して相手のボールを狙いやすくなり、試合に勝ちやすくなります。
練習量が少ない、または怪我で体を大きく動かせない人でもツッツキ対ツッツキの練習を徹底して行えば試合にも勝てるようになります。ツッツキとはそれくらい大事な技術です。
ツッツキはツッツキ自体を行った後の展開とセットで考えることが大切ですが、これは他の技術でも言えることです。何か一つの技術とその次の展開までをしっかり頭において普段の練習をやることが大事になってきます。