元NHKキャスターで、主にスポーツ、報道、情報番組を担当。取材して書くこと・話すことが得意。小学3年生で卓球を始め、慶應義塾大学在学中は全日本大学総合選手権大会(団体の部)出場。夢はスポーツ実況をすること。
昨シーズンからTリーグに参加し、今シーズン前期の男子MVP賞の受賞者となった郝帥(ハオシュアイ)。コロナ禍の中、単身で日本に来て戦い続けている。ドイツのリーグで活躍した経験もある郝帥に、Tリーグをどのように評価しているか、日本での暮らしについての話を伺った。
白神監督が評価する努力 本人は「プロ選手として当たり前のこと」
写真:郝帥(ハオシュアイ・岡山リベッツ)/提供:T.LEAGUE/アフロスポーツ
特に白神宏佑監督とは言葉の壁はありますが、翻訳機を使ったり、英語を使ったりして、コミュニケーションが取れています。
この前、試合後のインタビューで白神監督が言っていたのですが、今の私たちの年齢では、「ミッドライフクライシス」(中年の危機。不安を感じやすい)は本当です。(笑)
写真:白神宏佑監督(岡山リベッツ)/撮影:ラリーズ編集部
新型コロナのせいで家族と来ることができず自分1人で戦わなくてはなりませんが、プロ選手として当然のことだと思っています。
馬龍のような選手は、30代になった今でも現役で、若い選手と競争するために一生懸命練習しています。
年配の選手である私たちは、練習で特別な訓練をしなければ、若い選手に簡単に負けてしまうでしょう。
だから、自分たちのパフォーマンスを維持するために、より一層の努力が必要なのです。
なぜドイツから日本へ
実はTリーグが発足した2018年にTリーグのチームからオファーを受けていたのですが、その時の中国卓球協会(CTTA)の規定が厳しくて来ることができなかったんです。
しかし東京五輪の後、CTTAの規制が緩和されて、海外の卓球リーグに参加する機会を得ることができるようになりました。
基本的に、ドイツのチームでブンデスリーガに出場すると、他の国のリーグには出られないんです。
その点、日本のTリーグの方が融通が利くので、Tリーグを選びました。
現在男子は4チームしかありませんが、試合へのプロモーションやマーケティング、リーグの運営という点で、素晴らしいと思います。
サポーターや観客の反応もかなり良いと感じています。
Tリーグは、チーム間、選手間の競争が非常に激しいです。
例えば、ウーゴ・カルデラノ、李尚洙、リアム・ピッチフォードなど、世界各国からトップクラスの選手が集まっています。
Tリーグがとても高いレベルであり、世界トップクラスの選手にとっても非常にチャレンジできる場であるという証拠ですね。
写真:ウーゴ・カルデラノ(木下マイスター東京)/撮影:ラリーズ編集部
毎試合、毎ゲーム、真剣に取り組まないといけませんね。
写真:イオンモールでのTリーグ/提供:岡山リベッツ/T.LEAGUE/アフロ
最初は、買い物をするはずのところで自分だけ競技をするなんて、ちょっと気まずかったり、恥ずかしかったり、照れたりしました。(笑)
でも何度か競技をしているうちに、今ではうまく慣れてきたと思います。
李艺杰も同じ思いで、少し恥ずかしくなったようですが、私は「何回かやれば慣れるよ」とアドバイスしました。
プロの選手である以上、どんな状況でもベストを尽くし、自分の仕事をやり遂げることが大事です。
だから、もし今後もショッピングモールで開催されるとしたら、もっと覚悟を決めて、気まずくならないようにしたいと思います。(笑)
より広く宣伝することができますし、それまで卓球を見たことがない人たちも惹きつけることができます。
お客さんに少しは試合を見てもらえると思うので、卓球の良い印象を与えることができるのではないかと思っています
日本で好きなのは「刺身、焼肉、丼物」
中国に帰ると、ホテルや自宅での検疫が必要になり、練習ができなくなるので、日本にいることにしました。
また発音が北京語に似ている部分もあるので、何を言おうとしているのか、理解しやすいなと思います。
というのも、競争や戦況がますます厳しくなることが予想されるからです。
特に若い選手とプレーする場合、彼らの適応能力は非常に速く、最初に対戦したときはこちらが有利かもしれませんが、2回目、3回目となると、彼らは私のプレーに慣れてきます。
そうした選手との試合に備えて、自分のパフォーマンスを維持するために能力や技術を高め、彼らといい勝負ができるように準備する必要があります。
写真:郝帥(ハオシュアイ・岡山リベッツ)/提供:T.LEAGUE/アフロスポーツ