元NHKキャスターで、主にスポーツ、報道、情報番組を担当。取材して書くこと・話すことが得意。小学3年生で卓球を始め、慶應義塾大学在学中は全日本大学総合選手権大会(団体の部)出場。夢はスポーツ実況をすること。
昨シーズンからTリーグに参加し、今シーズン前期の男子MVP賞の受賞者となった郝帥(ハオシュアイ)。元中国代表の経験から、中国と日本の卓球教育の違いや、今後日本が中国のレベルに近づくことができるのか、語ってくれた。
中国と日本は「似ている」
試合、練習、心理など、私たちはよく理解していて、厳格に向き合っていると思います。
中国人の知恵や思考スタイルに関係しているのかもしれません。
そういう意味では、日本や韓国は、欧米諸国と比べると、どちらも東アジアに位置しているからか、中国とよく似ていると思います。
だからここ数年、日本が非常に良い成績をおさめているのだろうなと思います。
世界選手権や五輪などの大きな大会では、なおさらです。
たとえば、ヤン=オベ・ワルドナー選手です。
写真:ヤン=オベ・ワルドナー(スウェーデン)/提供:ittfworld
卓球で良いプレーをしたいのであれば、卓球のあらゆる面と厳格に向き合う必要があるのです。
アジア(特に東アジア)の人たちが卓球を得意とするのは、私たちの思考によるものだと思うんです。
なぜなら、最も予測不可能だからです。
個人競技で、試合が始まったら、誰も自分の代わりをすることはできませんし、調子が良くても悪くても、試合が始まれば、プレーして勝たなければならないのです。
中国人選手は特に普段から厳格に向き合っているからこそ、強いのだろうと思います。
日中の卓球教育の違いは
選手が12歳、あるいはそれ以上になると、プロのクラブチームに行き、そこに滞在しながら集中的に練習することになります。
卓球の技術だけでなく、教養を身につけるための勉強の時間もあるようです。
その後、成績が良ければ、ナショナルジュニアチーム、ナショナルセカンドチーム、そして最終的にはナショナルファーストチームへと進みます。
卓球教育の体制は整っていると思いますよ。
写真:郝帥(ハオシュアイ・岡山リベッツ)/提供:岡山リベッツ/T.LEAGUE/アフロスポーツ
日本でも最初は中国のように民間の卓球場や学校の卓球場に通って練習しています。
しかしその後、カデットの選手が一カ所に集まって集中的に練習する機会があまりないのです。
ここが中国卓球の教育システムと日本の卓球の教育システムの違いだと思います。
競争相手がいるから面白くなる
中国も、ゲームを盛り上げるために、強い競争相手が欲しいと思っていると思いますよ。
確実な勝利や簡単な勝利はないのです。競技中に起こりうるあらゆる状況を計算・検討し、それを克服するための練習を行っています。
他の国々が中国との差を縮めていくことは、卓球界にとって良いことだと思います。そうすれば、競技はより激しく、より面白くなるに違いありません。