パラ卓球選手が"感じる"卓球台が具現化 岩渕「台の左側がとても長く感じる」 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

*写真:岩渕幸洋(協和発酵キリン)/日本肢体不自由者卓球協会

大会報道 パラ卓球選手が“感じる”卓球台が具現化 岩渕「台の左側がとても長く感じる」

2018.11.20

文:ラリーズ編集部

19日、日本肢体不自由者卓球協会(本社:東京都港区、会⻑:畠山講史郎 ※以後、パラ卓球協会)が変形する卓球台のデザインを協会HPにて公開することを発表した。

通常、卓球台は長方形であるが、実は、パラ卓球の選手がプレーした時、障がいによって違った大きさに感じているという。そして、今日から公開が始まった「変形する卓球台」は、パラ卓球選手が自身の障がいと向き合い、自分から卓球台がどのように見えるかを具現化したものなのだ。

例えば、パラ卓球界のエースで、リオ2016パラリンピック代表、そして、今年のアジアパラで銀メダルを獲得した岩渕幸洋の「変形する卓球台」がこちらだ。

岩渕は、この卓球台について「両足首に障がいがあるので、左右に振られた時にハンデを感じます。特に左足は自分の力では動けないので、左に振られた時は卓球台が遠く感じます」とコメントしている。岩渕のプレーを見る限り、そのようなことは全く感じられないが、選手は人知れず苦労をしていることがこの卓球台から分かるのだ。

そして、岩渕はこのハンデを克服するために、できる限り前陣でプレーをしているそうだ。左右に振られてしまうと、不利になってしまうからだ。そして、チャンスでは一撃で決めるために、思い切って踏み込んで仕掛けていくそうだ。

パラ卓球協会は、この取り組みについて「パラスポを観戦したことがある人は1%という衝撃的な調査結果が2017年に発表されました。障がい者スポーツは、体験できる場も限られており、一般層が競技に触れる機会はごく僅かなためです。私たちは協会として、変形する卓球台を一般の方にも体験してもらうことで、1人でも多くの人にパラ卓球の楽しさを知ってもらい、試合を見ていただきたいと思っております」とコメントした。

変形する卓球台は、パラ卓球選手の感覚を知ることができる、非常に興味深いものである。岩渕の他にも、2選手の感覚を具現化した「変形する卓球台」が公開されている。一度ご覧になってみてはいかがだろうか。一層、パラ卓球観戦に熱が入るに違いない。

パラ卓球若手エース・岩渕幸洋選手スーパープレー集

補足:パラ卓球 10段階のクラス分け

パラ卓球は大きく「車いす」と「立位」の部に分かれ、それぞれ障がいの重さにより5段階のクラスが設けられている。(車いすがクラス1~5、立位がクラス6~10。障がいが軽くなるにつれ、クラスの数字が大きくなる)

パラ卓球界の若きホープである岩渕幸洋は立位・クラス9の代表的プレーヤーだ。左足の足首が動かない先天性の障がいがあるが、装具で持ち上げてプレーをし、快速フットワークを見せる。