【金沢ポート】プロ卓球チームの「社長」と「監督」の仕事とは?韓国のエース・張禹珍獲得の裏に監督のLINEでの熱い交渉 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:チャンウジン(金沢ポート)/撮影:ラリーズ編集部

卓球インタビュー 【金沢ポート】プロ卓球チームの「社長」と「監督」の仕事とは?韓国のエース・張禹珍獲得の裏に監督のLINEでの熱い交渉

2024.09.17

この記事を書いた人
1992年1月9日生まれ。金沢ポート株式会社の代表取締役兼金沢ポート監督。
石川県金沢市の卓球専門店「清水スポーツ」代表取締役社長でもあり、石川県卓球連盟の最年少理事も務める。
遊学館高校、北陸大学卓球部出身で、元日本代表選手から卓球始めたばかりの中学生まで、幅広い層への指導力に定評のある金沢市在住プロコーチ。
現役時代には、2009年春の高校選抜で当時最強の青森山田高から2勝を挙げて注目を浴びる。北陸大学時代には全日本学生選手権ダブルス3位の実績を持つ、北信越が誇る卓球人の一人。

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金沢ポート代表兼監督の西東輝(サイトウ アキラ)です。新規参入の年からこれまで応援をしていただきありがとうございます。

今年も熱いチームを作っていきますので応援のほどよろしくお願いいたします!

さて、今回は私の仕事についてと、他では明かしたことのないチャンウジン選手獲得秘話を特別にお伝えします。

ぜひ最後までお読み下さい。

プロ卓球チームの「社長」と「監督」の仕事とは?

「プロチームの社長兼監督はどんな仕事をするの??」という質問を日々多くいただきますので、簡単に表にまとめてみました。

シンプルにいうと、社長としては「どれだけコストを削減し、売り上げを上げるか。その為にどんな方法で街に金沢ポートを広げて行けるか」を考えて、チームスタッフによる事業推進をリードすることが仕事です。

一方で監督としては「どうやって選手を強化し、より良い状態で試合に臨ませて、オーダーを組み、良いアドバイスをし、良い采配をして、チームを勝たせるか」が仕事です。


写真:参戦1シーズン目の開幕前記者会見/提供:金沢ポート

Tリーグはシーズンが8月〜3月なので、その期間は監督業に専念できるようにし、シーズンオフは社長業を中心に仕事をしつつ、各選手とは日々やり取りをしながら強化をしています。

社長と監督の兼任という挑戦


写真:知事への表敬訪問の様子/提供:金沢ポート

社長と監督の両方を兼務することは、一部効率が良いと思う部分もありますが、基本的には大きな責任を伴い、大変です。

また社長としては「コストをいかに抑えて黒字化して、金沢ポート株式会社がいつまでもこの地で事業活動を継続できるようにしたい」と思いますし、監督業としては「勝つために強い選手を獲得し、そして勝った選手にはきちんと報酬を還元したい」です。

限られた予算の中でどっちに振るのか。


写真:試合中の西東輝監督/提供:金沢ポート

監督としての決断は社長としては困る決断であり、社長としての決断は監督を困らせる決断になることもあり、日々葛藤しています。

肩書にはこだわらないことに決めた

でも1シーズンを終えて、自分なりの落とし所、着地点が見つかってきましたので、その経緯をご説明します。

ご存知の方も多いと思いますが、私は金沢ポートの代表兼監督だけでなく地元の老舗卓球専門店の代表もしております。


写真:卓球専門店で接客する西東輝/提供:本人

代表といっても新人時代から卓球用品の販売に回るいわば営業マンでした。私の場合、車で県内のチームや学校を周り、とにかく丁寧に頭を下げて商品を買っていただくスタイルでした。

ですので、金沢ポートを立ち上げた後は「プロチームの社長が頭をペコペコ下げすぎだ」というご指摘をいただいたり、逆に毅然とした立ち居振る舞いをしていると「頭下げなくなったよね」というご指摘をいただくなど、金沢ポートの事業がスタートした直後から色んなご指摘をいただくようになり、最初は葛藤や戸惑いもありました。

しかしながら今は肩書きにはこだわらないことに決めました。「西東輝という個人のキャラクターで勝負していこう」とようやく吹っ切れたのは最近のことです。

1年目の振り返りと、2年目で何を目指すのか

金沢ポートの初年度は「地域密着」「地域に応援をしていただけるチーム」という大方針を掲げ、石川県にゆかりのある選手を中心に構成しました。


写真:松平健太(金沢ポート)/撮影:ラリーズ編集部

沢山ある仕事の中で

・勝つためにすべきこと
・スポンサーセールスに繋がるためにすべき事
・地域貢献のためにすべき事
・チケットセールスのためにすべき事

と4つのテーマに分けて全速力で走り抜けました。

ファンの皆様のお陰で「ホームマッチ観客動員数」と「オリジナルグッズ販売数」は12球団の中で最上位クラス。そして地元の卓球を愛する方に来ていただけた割合と熱量はTリーグの中で1番だったと自信を持って言えます。


写真:金沢ポート・ホームマッチ開幕戦の客席/撮影:ラリーズ編集部

それでもやっぱり残念だったのはシーズン順位が6位だったことです。

ですので、今シーズンは

・勝って応援されるチームを作る
・勝って被災地を元気にする

の2つを常に考え、全力で駆け抜けます。

特に昨年は石川でのホームマッチが震災の影響で一部中止となってしまい、そのうえ7試合中2試合しか勝てませんでした。

被災地を元気にするためにも、ホームマッチで観客の皆さんと一体となって勝つ事が大切だと思っています。

その為には世界トップクラスの選手が絶対に必要だと感じました。

チャンウジンはどのように獲得したのか


写真:チャンウジン(金沢ポート)/撮影:ラリーズ編集部

さて今年は韓国のエースのチャンウジン選手が金沢ポートに加入したことが大きな話題を呼びました。

チャンウジン選手は、東京五輪に続いて、パリ五輪でも韓国代表に選出されています。その超攻撃型の卓球は私が好きなプレースタイルでもあり、絶対に獲得したい選手の1人でした。

獲得を発表した後、「よく契約できたね!」「どんな方法で獲得したのか?」という質問が多く、これに関してはシークレットとして誰にも回答してきませんでしたが、ファンクラブの皆様には話せるレベルでお話しさせていただきます。

LINEで思いを伝えた

きっかけは昨年11月5日ホームマッチのダブルヘッダーで2敗を喫した日のことでした。

あまりの絶望の時に、悔しすぎて悔しすぎて、眠れずにyoutubeで試合をみていた時にふとチャンウジン選手の試合映像が流れてきました。

彼はとにかくフットワークがよく、そしてメンタルが強いのが伝わる粘り強いプレーをします。

Tリーグにおいて、5ゲームマッチでは勢いが大切なのと、少しおちゃらけた陽気な選手がいるとチームのムードが良くなるということをシーズン中に実感していました。


写真:張禹珍(チャンウジン)/提供:ittfworld

チャンウジン選手の観客へのファンサービスであったりパフォーマンスから「ちゃめっ気のある選手」ということも伝わってきて、あ〜欲しいなぁと思いました。

その後、12月の混合団体ワールドカップでの試合があり、その時に真剣なプレーぶりを見てオファーを決断したというのがスタートです。

そこからどのようにオファーを始めたかというと、知人を通じてチャンウジン選手がTリーグに興味がないかを確認したところ、本人から興味があるという回答をもらい、そこからはLINEの連絡先を教えてもらいました。

西東は英語や韓国語が喋れるのか?」とよく聞かれますが私は日本語オンリーなので、大変困っています。

しかしながら今の時代は便利であり、LINEでグループを作り韓国語翻訳を入れると勝手に相互翻訳をしてくれます!

何度も何度もしつこいくらいに連絡をとり、彼のプレーのいいところ、WTTで活躍をした際には激励メッセージを送り、一緒に試合をしたいと訴えました。


写真:張禹珍とのLINEでのやり取り/提供:金沢ポート

自分なりに手応えを感じ始めた矢先の、2月の世界選手権。

韓国開催で地元の重圧がとんでもない状況にある中で中国との準決勝。

彼はトップで世界ランキング1位のワンチューチン選手を倒しました。

その瞬間「金沢ポートの大応援団の中でもプレッシャーを感じず戦い抜いてくれるな」と思ったのも束の間、「待てよ?これだけの活躍をされてしまったら、世界中からビックオファーきてしまうじゃないか!!」と相当焦りました、、、

結果的には金沢ポートを選んでくれたこと、LINEで彼からの正式回答がきた瞬間、飛び跳ねて大声を出した興奮は忘れられません。

彼とは今でもVISA申請のやりとりをしていますが、パリ五輪のハードスケジュールの後でも、必ず活躍してくれると信じています。

今年の金沢ポートの逆襲をお楽しみに!!

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