【卓球】2025年で最も印象に残った試合6選|Rallys編集部員が厳選 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:戸上隼輔(井村屋グループ)/提供:WTT

卓球ニュース 【卓球】2025年で最も印象に残った試合6選|Rallys編集部員が厳選

2025.12.31

文:ラリーズ編集部

今回は、2025年で最も印象に残った試合をRallysのメンバー5名がピックアップ。選出ポイントと併せて紹介する。

WTTチャンピオンズ横浜 男子シングルス決勝 張本智和 vs 王楚欽

選者:中川正博(株式会社ラリーズ取締役)


写真:張本智和(トヨタ自動車)/提供:WTT

選出コメント

WTTチャンピオンズ初の日本開催となった、WTTチャンピオンズ横浜。この大会では張本智和(トヨタ自動車)が快進撃を続け、決勝では世界ランキング1位の王楚欽(ワンチューチン・中国)を下して優勝を飾った。

これまで張本は王楚欽と幾度となく対戦してきたが、勝利したのは2022年の世界選手権の一度きり。圧倒的に王楚欽優勢とみられていたなかで、第1ゲームから3ゲームを連取し、最終第7ゲームを11-4で取り切った張本は、見事という他なかった。

昨年のWTTファイナル福岡でも張本は決勝まで勝ち上がったが、決勝では王楚欽に敗れていた。それだけに、張本が日本開催のWTTチャンピオンズで優勝できたことは、日本の卓球ファンにとっても大きな喜びと感動を与えた。

試合結果

王楚欽(ワンチューチン・中国)3-4 張本智和(トヨタ自動車)〇

9-11 / 5-11 / 8-11 / 11-9 / 13-11 / 4-11

インターハイ2025 山室早矢

選者:山下大志(ラリーズ編集長)


写真:山室早矢(桜丘高)/撮影:ラリーズ編集部

選出コメント

優勝候補としてあげられていた学校対抗はシード下に入ってきた星槎横浜(今大会優勝)に敗退と悔しい結果に。ただ、ダブルスは昨年県予選落ちながらも同級生の丸添美咲選手と組んで、嬉しいベスト4入賞を果たした。

シングルスでは昨年3位、全日本ジュニアも3位と準決勝の壁に阻まれていたが、最後のインターハイではそこを乗り越えて決勝進出。決勝では面手凛選手(山陽学園高)に敗れたものの、堂々の準優勝となった。

「卓球偏差値上げてみた」企画や「強豪校の1日密着」企画にも出演してくださり、日々プレッシャーに苦しみながらも笑顔で試合をしている姿を見てきただけに、印象的な活躍だった。

卒業後は実業団に進むとのことで、どこまで成長していくのが今後も楽しみなカットマンである。

試合結果

女子学校対抗:2回戦敗退(vs星槎横浜)
女子シングルス:準優勝
女子ダブルス:3位

インターハイ2025 面田知己

選者:山下大志(ラリーズ編集長)


写真:面田知己(愛工大名電高)/撮影:ラリーズ編集部

選出コメント

中学時代から中学生離れした体格とパワーでカデット3位、全中ランクなど輝かしい成績を残していながら、高校では怪我もありなかなか成績が出ていなかった面田選手。

さらに最後のインターハイでは、史上初の学校対抗10連覇がかかった世代で愛工大名電のキャプテンを務めるという計り知れないプレッシャーの中、ベスト4で敗戦となってしまった。

しかし、シングルスでは連敗中の岸本漣斗選手(関西高)に勝利してランク入り。野田学園高のエース岩井田駿斗選手も打ち破り3位入賞と高校最後のインターハイでついに結果を残した。

愛工大名電での高校生活で、嬉しい勝利や悔しい敗戦を通じて、技術だけでなくメンタルや人間的にも大きく成長したはず。世界トップで戦う同級生のいる黄金世代の1人として、大学での更なる飛躍に期待!

試合結果

男子学校対抗:3位
男子シングルス:3位
男子ダブルス:ベスト8

インターハイ2025 男子ダブルス準々決勝 山本旬真/杉谷虎太朗 vs 岩井田駿斗/中野琥珀

選者:栗山直之(株式会社ラリーズ社員)


写真:山本旬真/杉谷虎太朗(松徳学院)/撮影:ラリーズ編集部

選出コメント

松徳学院は、出雲北陵がいる島根県予選を勝ち抜けて本戦出場を果たし、インターハイ直前に取材もさせていただいた。

山本旬真/杉谷虎太朗ペアは左利き同士の珍しいペアだが、本戦では外シードのペアも撃破して準々決勝に進出した。

準々決勝の相手の野田学園・岩井田/中野の1年生ペアは、全日本ダブルス2位の実績がある優勝候補。それでも、試合は山本/杉谷ペアがゲームカウント2-1リード。第4ゲーム、第5ゲームでは何度もマッチポイントを握ったが、地元山口の大応援団を背に意地を見せた岩井田/中野ペアが大逆転勝利を収めた。

山本/杉谷ペアは負けはしたが、優勝候補のペアにあと1点というところまで迫り、今夏のインターハイ一番の大激戦といっても過言ではない試合を見せてくれた。

試合結果

山本旬真/杉谷虎太朗(松徳学院)2-3 岩井田駿斗/中野琥珀(野田学園)〇
11-7 / 6-11 / 11-9 / 16-18 / 12-14

ノジマTリーグ2025-2026(12月14日)金沢ポート vs 静岡ジェード チャンウジン vs 松下大星

選者:町田健輔(株式会社ラリーズキャリア事業部部長)


写真:チャンウジン(金沢ポート)/提供:金沢ポート

選出コメント

2025年最後のホームマッチで、金沢ポートのエースが躍動した。

勝てば暫定首位に浮上する大一番で、相手エースの松下大星にゲームカウント3-1で勝利。特に第4ゲームはポイントの取り合いの展開となり、6-6から始まる第5ゲームまで粘られると流れが悪くなりそうだったなか、11-10でしっかり勝ちきったのは流石の一言だった。

また、試合後の勝利者インタビューにて、選手や監督だけでなく、金沢ポートの応援団長を務める川村さんにも感謝の言葉を述べていたのが強く印象に残っている。

卓球の強さも人間性もパーフェクトなチャンウジン。そんな彼の魅力をもっと多くの人に伝えるために、より一層チーム運営を頑張っていきたいと思った。

試合結果

〇チャンウジン(金沢ポート)3-1 松下大星(静岡ジェード)
11-4 / 7-11 / 11-3 / 11-10

WTTコンテンダーアルマトイ 男子シングルス決勝 戸上隼輔 vs 周啓豪

選者:ワダハルキ(Rallys編集部)


写真:戸上隼輔(井村屋グループ)/提供:WTT

選出コメント

どれほどこの瞬間を待ち侘びただろうか。

戸上隼輔のWTTシングルス初優勝。

ワールドツアー時代から国際大会に出場し、2024年にはパリ五輪にも出場。世界ランキングも15位まで上げ、文句無しに世界トップ選手の一人となった戸上。しかし、ワールドツアー含めWTTでのシングルス優勝は果たせていなかった。

2023年のWTTコンテンダー太原では初優勝に王手をかけるも、決勝で梁靖崑(リャンジンクン・中国)に惜敗。2024年のWTTコンテンダーザクレブでも、決勝でアレクシス・ルブラン(フランス)に優勝をさらわれた。

「あと一歩なのになぁ…」

戸上の試合を見るたびに、そう思っていた。

だからこそ、今回戸上が決勝に勝ち上がったときも、正直に言えば期待より不安のほうが大きかった。そのうえ対戦相手は周啓豪(ジョウチーホウ・中国)。簡単に勝てる相手ではない。

しかし、そんな心配は無用だった。

戸上は長短と回転の分かりにくいサービスでサービスエースやチャンスボールを量産。レシーブ時にはツッツキとストップを巧みに使い分けて相手を崩し、”カミソリドライブ”の異名を取るフォアドライブで仕留める。ラリーになってもまったく打ち負ける気がしない。

中盤は周啓豪の粘りに苦しむ場面もあったが、それでも最後まで攻撃の手は緩めなかった。

そして、ゲームカウント3-2で戸上がマッチポイントを握った場面。戸上の3球目フォアドライブを周啓豪がオーバーし、ついに歓喜の瞬間が訪れた。

戸上が初めてワールドツアー決勝の舞台に立ったのが、2018年のベラルーシオープン。そこから苦節7年。ようやく掴んだWTTシングルス初優勝。一人の卓球愛好家として、涙なしには見られなかった。

もちろん、傍から見ればこれは「戸上がWTTで初優勝した」というだけの話だ。しかし、その優勝に至るまでの過程は、決してひと言で片付けられないものなのだ。そして、その過程を多くの人に伝えるのが、我々メディアの仕事でもある。

そういった意味では、戸上には来年も我々の仕事を大いに増やしていってもらいたいものだ。

試合結果

〇戸上隼輔(井村屋グループ)4-2 周啓豪(ジョウチーホウ・中国)
11-5 / 11-8 / 8-11 / 7-11 / 11-9 / 13-11