「練習は週10時間の部活が9割」偏差値72の進学校から叶えた"リベンジ"<全日本卓球2026> | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:板橋悠真(土浦一高)/撮影:ラリーズ編集部

大会報道 「練習は週10時間の部活が9割」偏差値72の進学校から叶えた“リベンジ”<全日本卓球2026>

2026.01.22

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インタビューから報道記事、選手・用具紹介記事まで幅広く担当。2019年の全日本で見た出澤杏佳選手のプレーに衝撃を受けて以降、粒高バックハンドドライブの習得に心血を注いでいる。
戦型:右シェーク裏粒

<天皇杯・皇后杯 2026年全日本卓球選手権大会(一般・ジュニアの部) 日程:2026年1月20~25日 場所:東京体育館(東京)>

年に一度開催される全日本選手権(以下、全日本)は、各地の予選を勝ち抜いた者のみが出場できる、まさに“日本一を決める大会”だ。

ジュニアの部を含め、全日本に出場するのは各地の強豪クラブ、強豪校に所属する選手がほとんど。だが、なかには進学校に通いながら出場を決めた選手もいる。

茨城県屈指の進学校である土浦第一高校から出場した板橋悠真も、その一人だ。

中学3年で全日本ジュニア初出場

小学2年生で卓球を始めた板橋。当初はサッカーとの“二刀流”だったが、3年生から本格手に卓球にシフトしたという。


写真:板橋悠真(土浦一高)/撮影:ラリーズ編集部

「当時、サッカーも一緒にやっていたんですけど、練習のしすぎでアキレス腱を切ってしまって。そこで『サッカーはもうないな』と思って、卓球一本に絞りました」

地元・茨城のクラブチームに入り、卓球の練習を続ける日々。その甲斐あって、小学4年生のときには全日本選手権カブの部に出場。小学生にして、初めて全国大会の舞台を踏んだ。

その後、クラブチームを中心に卓球を続けた板橋は、中学でも着々と実力をつけていく。全日本カデット、全中、そして3年次には全日本ジュニアに初出場を果たした。


写真:2024年の全日本ジュニアに出場した板橋悠真/撮影:ラリーズ編集部

「初めての全日本ジュニアでは、1回戦で負けてしまいました。けど、全日本の舞台に立てたのはいい経験になりました」

そんな板橋の非凡な才能は、勉強面でも発揮された。

中学時代には、いくつかの卓球強豪校から推薦入学のオファーが来ていたが、板橋はそれをすべて蹴って受験勉強での進学を決意。

「高校には卓球でも進学するか、かなり迷いました。でも、今まで卓球と同じくらい勉強も頑張ってきていたので、最終的には勉強で進学する道を選びました」


写真:板橋悠真(土浦一高)/撮影:ラリーズ編集部

板橋が通う県立土浦第一高校は、茨城県内で5本の指に入る進学校。偏差値は70を超えると言われ、毎年東大に10名以上の合格者を輩出している。

当然ながらおいそれと合格できるような高校ではないが、板橋は卓球の合間を縫って勉強を続け、見事合格を掴み取った。

高校1年で味わった挫折

全日本ジュニアに出場し、進学校にも合格。文句のつけようのない中学生活を送った板橋は、高校では更なる飛躍を誓った。

「高校では勉強も卓球も頑張って、『進学校に行きながら全国で勝つ』という目標を立てていました」


写真:板橋悠真(土浦一高)/撮影:ラリーズ編集部

しかし、現実はそう甘くはなかった。

高校1年生の県大会では、ほとんどベスト16止まり。「次は1勝を」と誓った全日本ジュニアも、県予選のベスト16で敗退した。

「1年生のときも『絶対に通る』という気持ちで臨んでいたんですが、結果が出なかったのは悔しかったです」

茨城県では、明秀日立高校が絶対王者として長年圧倒的な強さを見せている。さらには、板橋のような“非強豪校のつわもの”も数人おり、枠の限られた県予選を突破することは容易ではない。

しかし、板橋は中学3年で一度、全日本ジュニア出場しており、ポテンシャルは十分にある。

そのことは本人が一番よくわかっていたからこそ、1年生での予選落ちはショックが大きかったことだろう。


写真:板橋悠真(土浦一高)/撮影:ラリーズ編集部

部活で強くなる

大きな挫折を味わった板橋だったが、卓球への想いが消えることはなかった。

「1年生のときは悔しい結果に終わったんですが、『2年生では絶対に全国に出よう』という気持ちで練習してきました」

長所を伸ばすことはもちろん、自分の弱点とも正面から向き合った。

その努力は、ベンチコーチに入った木村さんも目を見張るものがあったという。


写真:板橋にベンチに入った外部コーチの木村さん/撮影:ラリーズ編集部

「茨城県のルールで、一週間に部活ができる時間は約10時間と決まっているんです。外部で練習することもありますが、板橋の練習の9割は部活です。また、土浦一高はテストがすごく多く、テスト前は当然部活もできなくなります。なので、月の半分ほどしか練習がない月もあるんですが、そんななかでも板橋は本当によくやっていると思います」

また、板橋は普段の練習は学校の部活中心で行っているという。


写真:板橋悠真(土浦一高)/撮影:ラリーズ編集部

土浦一高はお世辞にも卓球強豪校とは言えない学校だ。当然、練習相手のレベルを考えれば、外部中心で練習したほうが強くなる可能性は高い。

なぜ、高校の部活中心に練習しているのか。

「個人で全国大会に出たい気持ちはもちろんなんですが、僕は団体でも成績を出したいんです。なので、みんなで一緒に強くなりたいですし、そのほうが学校生活も楽しいと思って」


写真:土浦一高卓球部の仲間も2階席から声援を送っていた/撮影:ラリーズ編集部

そして、そんな板橋の努力は実り、昨年開催された全日本ジュニア茨城県予選を通過。2年ぶりに全日本の舞台に帰ってきた。

掴み取った初勝利

2年ぶりの全日本。高校2年の板橋にとっては、今大会が最後のジュニアとなる。

「ジュニアは最後なので、大会前から『絶対に1勝したい』と思っていました」

組み合わせが発表されて、1回戦の相手は津田豊貴(張本仙台ジュニア)に決まった。


写真:津田豊貴(張本仙台ジュニア)/撮影:ラリーズ編集部

津田は中学1年生ながら、宮城県予選を通過した実力者。2025年は全日本カデット、全中などの全国大会に軒並み出場している。

しかし、板橋も負けるわけにはいかない。これまで培ってきたものをすべてぶつける気持ちで、試合に入った。

「1ゲーム目は相手が入れてきたボールをポロポロと自分がミスしてしまって、落としてしまいました。でも、2ゲーム目からは自分から攻め続ける意識を持ってプレーできて、相手も少しテンポが崩れていたので、上手く流れに乗れました」

そして、ゲームカウント2-1でリードした第4ゲーム。デュースまでもつれる接戦となるも、12-10で板橋が取り切り、ついに念願の瞬間が訪れた。


写真:板橋悠真(土浦一高)/撮影:ラリーズ編集部

「ここに来るまでにいろんなことがあったんですが、憧れの全日本ジュニアで1勝できたことは本当に嬉しかったですし、自信になりました」

「インターハイでも勝利を」

続く2回戦では、中城瑛貴(野田学園高)と対戦。ラリー戦では互角に渡り合うも、台上プレーやコース取りで先手を取られ、ストレートで敗れた。


写真:中城瑛貴(野田学園高)/撮影:ラリーズ編集部

「相手の方が全部の技術の精度が高くて、1ゲーム目は対応できないまま終わりました。2ゲーム目からはサーブを工夫して、レシーブで先手を取らせないようにできたんですけど、最後まで地力の差は埋められなかったですね」

板橋の全日本ジュニアの挑戦は終わった。しかし、まだ高校卓球は終わっていない。

「高校に入ってからまだインターハイに出たことがないので、今年はインターハイの本戦に出て、本戦でもしっかりと勝ちたいです」

板橋悠真(土浦一高) ジュニア男子シングルス勝ち上がり

1回戦


写真:中城瑛貴(野田学園高)/撮影:ラリーズ編集部

〇板橋悠真(土浦一高)3-1 津田豊貴(張本仙台ジュニア)
7-11 / 11-5 / 11-7 / 12-10

2回戦

板橋悠真(土浦一高)0-3 中城瑛貴(野田学園高)〇
5-11 / 8-11 / 7-11

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