写真:張本智和(トヨタ自動車)/撮影:ラリーズ編集部
大会報道 1球、1点の重みを痛感した決勝戦 張本智和「練習の質の心配はない。隙間時間をどれだけ使えるか」<世界卓球2026>
2026.05.12
文:ラリーズ編集部
<2026 ITTF世界卓球選手権ファイナルズ ロンドン大会(団体戦) 日程:4月28日~5月10日 場所:ロンドン(イギリス)>
2016年のクアラルンプール大会以来10年ぶりとなる銀メダルを獲得した男子日本代表。今大会から新導入のシステム、シード決定戦では1勝2敗で3位通過。そしてノックアウトステージでは、ベルギー、カザフスタンを破ると準々決勝ではシード決定戦で敗れたドイツにリベンジを達成。
準決勝で林昀儒(リンユンジュ)擁するチャイニーズタイペイに勝利し、57年ぶりの優勝目指し中国と対戦。マッチカウント0-3で敗れはしたが、群雄割拠の男子チームの中で準優勝を飾った。
記者会見終了後、日本男子代表選手5名に話を聞いた。
日本男子代表選手 コメント
── 第1試合の(最終ゲーム)8-3から逆転されました。改めて振り返っていただけますか。
張本:昨日の林昀儒戦と同じように「1番がすべててだ」という気持ちで入って、もちろん出だしは2023年のダーバン大会のような形ではなく、僕がリードできたので、球質的にも今回はすごくやりやすくていい入りができました。
でも、やはり3、4、5ゲーム目は全部取るチャンスがあったのに取り切れなかった。特に5ゲーム目に関してはサービスを間違えたとか、レシーブを間違えたというわけではなくて、ちゃんと打つべきボールを1本ポロッと落としてしまったり、追い上げられているときに流れを断ち切る一本が出なかったりした形です。
そのタイミングでサービス変更して簡単に1点を取ったりなんてことはできないので、8-3までのように、ただただ実力でラリー戦に勝って残りの3点取るしかなかった。速さに関しては僕のほうがありましたが、厚みに関しては相手のほうがあったと思うので、それがどんどん終盤になるにつれて、速さ勝負から厚み勝負になったときに相手が上回ったのかなと思います。
── 厚みというのはどういうイメージですか?
張本:簡単に言えばミスをしないことですね。僕と彼はサービスとレシーブは、お互いに特に工夫してもしなくても変わらないですし、最後はバック対バックでコースを少し変更したりと、5ゲームを通してそんな感じでした。
序盤は僕が決まっていたボールが終盤には相手に決まらなくなったり、最後は決定打を打てないなかでどう打開するかという状況で、僕にも凡ミスが出てしまいました。 そこは僕の弱さももちろんあるんですが、同時に梁靖崑選手の粘りもあったからこそだと思うので。
もちろん自分にできることをやりきれてはないですが、相手も良かったのかなと。自分にできる反省はミスをしないこと。スピードでも厚みでも勝つしかなかったのかなと思います。
── 松島選手はどんな心づもりで試合に入りましたか?
写真:松島輝空(個人)/撮影:ラリーズ編集部
松島:もちろん2番でしっかりと勝って、またチームにいい流れを作りたかったんですが、最後の1本の部分でしっかり取りきれなかったことは反省点ですし、勝てなかったことは悔しいです。
── 途中からサービスが効かなくなってきたように見えました。
松島:左vs左の試合の場合は、あまりサーブが効くことは基本的にどの選手であっても少なくて、王楚欽選手とも直近で何度も対戦していることもあって、お互いにサービスが効くことはあまりなかったです。結局はラリー戦の面で、自分が最後は油断したなという実感です。
── 戸上選手は2ゲームを取られた後に、1ゲーム取り返しました。振り返っていかがですか?
写真:戸上隼輔(井村屋グループ)/撮影:ラリーズ編集部
戸上:決してやりづらい相手ではないですし、今まで何度も対戦している相手なので、手の内というのは分かっていました。でも、ただ1、2ゲーム目で自分のやらないといけないことを狙われてしまったり、自分のなかでプレッシャーを感じてしまって。それで思い切ってプレーできずに2ゲームを先取されてしまいました。
ようやく3ゲーム目から自分の思い切ったプレーが少しずつ出せるようになってきて、4ゲーム目も相手を捕まえかけたんですが、序盤でサーブミスをしてしまって。そこが、2-6までの流れで悪く進んでしまった要因だと思っているので、改めて、「ちょっとした1点が勝敗を分けてしまう状況で試合をしているんだ」と強く感じました。
── 宇田選手は今回出番が回ってこなかったですが、今大会に来た意味や自分自身の収穫になったことがあれば教えてください。
宇田:僕個人としてはもちろん準備もしましたし、最初から出る機会があれば勝利したいという気持ちもありました。それは叶わなかったですが、日本代表になった時点で「チームジャパンとして戦う」という覚悟を持っていたので、自分が出場できなかったことに関しては特に何も考えていません。
本当にまずはチームがメダルを取って、そして金メダルをみんなで目指していくことを考えていたので、個人の気持ちよりもは、チーム優先で考えて自分自身も動いていました。
そのなかで銀メダルを取れたことはよかった部分でもありますが、本気でみんなで金メダルを目指していたので、金メダルを獲れなかったことは悔しいです。でも、次につながる大会だったかなと思います。
── 篠塚選手はいかがですか?
篠塚:岸川監督に代表に選んでいただいた以上は全力で頑張りたいと思って、このロンドンに来て、できるだけの準備をしました。試合に出られないのであれば全力で応援をするということを心がけていましたし、自分はベンチから試合を最後まで見ていましたが、本当に素晴らしい試合で。まずは、自分もこういった舞台で試合ができるようになりたいと思いました。
まずは帰国後すぐに世界選手権の選考会があるので、そこに向けて調整をして、代表権を獲得できるようにしたいなと思います。
── 日本チームは若いっていう話もされていて、今日は(マッチカウント)0-3でしたが、中国とすごく差があるかというと以前ほどないようにも思います。一方で、フランスはもっと若い3人が揃っていたり、男子は群雄割拠という印象を持ちました。この大会終えてみて、その辺りはどのように感じていますか?
張本:フランスの3人、一番上のアレクシス・ルブランが僕と同級生なので、コトン、フェリックス・ルブランは平均で見れば若いですし、この大会が始まる前から日本、フランス、中国が今大会の軸となるという話をしましたが、今後10年ぐらいもそこは変わらないと思います。
ドイツは比較的年齢層も高めですし、チャイニーズタイペイはまだ可能性はあると思いますが。かといって、ドイツとタイペイに次また勝てるかと言えば、100%ではないと思うので。
もちろん、中国までのあと一歩の差を大事にすることも大切ですが、男子の場合、他の5、6チームにしっかり勝っていくことも大事だと思います。「銀メダルを獲って、中国にもあと少しだった」と思って、次のWTTで他の国の選手に負けると、訳分かんなくなってしまうので。
銀メダルを取ったことの収穫は確かにありますが、ちゃんと1試合1試合に目を向けたときに「誰が誰に勝ったのか」を振り返らなければ、チームで勝ったことが曖昧になってしまうと思います。そこはもう、一人一人が経験を得て、これからのWTTにまた活かしていくのが大事だと思います。
── 中国との差は、普段の練習の量や「ここぞで決めきる力」だという話もありましたが、具体的にどういったアプローチや取り組み方をしていくことが重要だとに思いますか?
張本:このレベルまで来れば、あとは練習量だけだと思います。僕たち5人は、絶対に質の高い練習はしてますが、やはり日本だと中国より行事ごとが多かったり、所属先のイベントがあることはお国柄多いので。
もちろんそこは理解しているので、できるだけ隙間時間を見つけて、30分でも1時間でも、休みの日を1日でも減らすこと。それしかないと思います。ただ、それをやっても中国には練習量では到底及ばないということは理解すべきです。
もちろん日本という国のいいところもあります。でも、練習量の面では中国が一番いい国だと思います。僕も、最近はWTTから帰ってきた日に練習するときもあれば、遅くても次の日までにはするようにしています。とにかく、そういう工夫を各々がするしかないですね。
何度も言うように、練習の質の心配はしていません。質の高い練習は当たり前で、その量をただ増やしていくだけ。ここまで来たら質を上げる段階ではないと思うので、あとは隙間時間をどれだけ練習に組み込めるか。
あとは体力ですね。休まないといけない選手だったらもっと練習が減りますし、怪我をしてしまうんだったらそれはもう自分の弱さだと思うので。練習量を増やすこと、それで怪我してしまったらもう自分のせいだと。金メダルを取るのであれば、それぐらいの気持ちで挑まなければいけないです。
男子ステージ1A
第1戦:日本 2-3 ドイツ〇
松島輝空 0-3 邱党〇
〇張本智和 3-2 ベネディクト・デューダ
〇戸上隼輔 3-2 パトリック・フランチスカ
張本智和 0-3 邱党〇
松島輝空 1-3 ベネディクト・デューダ〇
第2戦:〇日本 3-0 チャイニーズタイペイ
〇戸上隼輔 3-1 馮翊新
〇張本智和 3-1 郭冠宏
〇松島輝空 3-0 洪敬愷
張本智和 – 馮翊新
戸上隼輔 – 郭冠宏
第3戦:日本 2-3 フランス〇
〇張本智和 3-0 アレクシス・ルブラン
〇松島輝空 3-1 フェリックス・ルブラン
戸上隼輔 2-3 フラビアン・コトン〇
張本智和 0-3 フェリックス・ルブラン〇
松島輝空 2-3 アレクシス・ルブラン〇
男子ノックアウトステージ
1回戦:〇日本 3-1 ベルギー
〇松島輝空 3-1 アドリアン・ラッセンフォッセ
張本智和 1-3 セドリック・ヌイティンク〇
〇戸上隼輔 3-0 マーティン・アレグロ
〇張本智和 3-1 アドリアン・ラッセンフォッセ
松島輝空 – セドリック・ヌイティンク
2回戦:〇日本 3-1 カザフスタン
松島輝空 1-3 キリル・ゲラシメンコ〇
〇張本智和 3-0 アラン・クルマンガリエフ
〇戸上隼輔 3-0 アイドス・ケンジグロフ
〇張本智和 3-0 キリル・ゲラシメンコ
松島輝空 – アラン・クルマンガリエフ
準々決勝:〇日本 3-1 ドイツ
〇張本智和 3-0 ベネディクト・デューダ
〇松島輝空 3-1 邱党
戸上隼輔 1-3 パトリック・フランチスカ〇
〇張本智和 3-0 邱党
松島輝空 – ベネディクト・デューダ
準決勝:〇日本 3-0 チャイニーズタイペイ
〇張本智和 3-1 林昀儒
〇松島輝空 3-0 馮翊新
〇戸上隼輔 3-0 郭冠宏
張本智和 – 馮翊新
松島輝空 – 林昀儒
決勝:〇日本 3-0 中国
張本智和 2-3 梁靖崑〇
松島輝空 1-3 王楚欽〇
戸上隼輔 1-3 林詩棟〇
張本智和 – 王楚欽
松島輝空 – 梁靖崑
世界卓球2026 男子日本代表
張本智和(トヨタ自動車)
松島輝空(個人)
宇田幸矢(協和キリン)
戸上隼輔(井村屋グループ)
篠塚大登(東都観光バス)








