「逆算思考になってきました」大手小売経営と卓球指導を両立 福岡県こぞのえ卓球の現在地 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:小園江慶一郎(こぞのえ卓球代表)/撮影:ラリーズ編集部

卓球インタビュー 「逆算思考になってきました」大手小売経営と卓球指導を両立 福岡県こぞのえ卓球の現在地

2026.07.11

この記事を書いた人
愛媛県出身。2025年6月からRallysアドバイザー。
軽い小咄から深堀りインタビューまで、劇場体験のようなコンテンツを。
戦型:右シェーク裏裏

日中は、卓球通販ECサイト大手「卓激屋」運営の他、リアルな店舗や卸売業も行う、物販小売の経営者としての顔。

夕方からは、4年前にリニューアルした自前の卓球場で、地域の子どもたちに卓球を教えて、今年5月の全農杯全日本ホカバ福岡県予選では、6種目中3種目で優勝した「こぞのえ卓球」指導者としての顔。

その男は、器用なのか、不器用なのか。デジタルなのか、アナログなのか。

こぞのえ卓球代表の小園江慶一郎さんに話を聞いた。


写真:こぞのえ卓球の練習場/撮影:ラリーズ編集部

激戦区福岡で6種目中3種目優勝

――先日のホカバ予選は、このぞえ卓球としては振り返っていかがでしたか。
グループの北九州店も合わせて、6種目中3種目優勝できたということで、かなり上出来だったんじゃないかなと思っています。

うちのクラブで言うと、自分の娘(小園江静香)だけが代表になって、という期間が続いていたので、今回バンビ女子で代表になってくれたのは嬉しかったですね。


写真:木村花(こぞのえ卓球)/撮影:ラリーズ編集部

ホープス女子はオール3−0優勝


写真:小園江慶一郎さんと娘の静香さん/撮影:ラリーズ編集部

――静香さんは、ハイレベルなホープス女子をオール3-0で優勝しましたね。
集中して試合ができたのが良かったです。
私は2階から見ていましたが、比較的落ち着いて試合ができていましたね。


写真:思い切った速攻が持ち味の小園江静香(こぞのえ卓球)/撮影:ラリーズ編集部

――この福岡本店のこぞのえ卓球に通っている小学生は何人くらいでしょう。
14、5人ですね。ただ、先日の全農杯ホカバ県予選に出たのは4人だけですので、アスリートとして選手登録をする選手が減ってきている事実はあります。


写真:練習前、楽しそうなこぞのえ卓球の子どもたち/撮影:ラリーズ編集部

――それは小園江さんとしてはどう捉えていますか。
ご存知のように、福岡県は伝統的にクラブチームが盛んで、全国的に活躍してるクラブが多数あります。毎年、県予選は熱く、厳しいので、実際出場しないクラブや子どもたちがいても不思議ではありません。

いろんな指導者の方と交流しながら、ゴールはひとつじゃないと思っています。

大きく卓球というスポーツを考えたときには、協会登録をしない、上位を目指すだけではない子どもが増えていくことも、また別のゴールとしてあってもいいのかなと。


写真:小園江慶一郎(こぞのえ卓球代表)/撮影:ラリーズ編集部

入口で“目を慣れさせる指導”を

――なるほど。ただ、強化と普及の両立を1つのクラブで実現していくのは難しいですよね。
父の代から数えると会社は47年やっていますが、もうずっと、そのせめぎ合いです(笑)。

今回県代表になってくれた選手が核になって、“私もなりたい”という選手が自然に出てくればいいなと思っています。

全員一緒、ではなくて、同じクラブに全国大会に出る選手がいる、全国でランクを狙う選手がいる、それが他の選手たちの動機になるようには心がけていますね。


写真:こぞのえ卓球の練習風景/撮影:ラリーズ編集部

――小学生世代への指導で意識していることはなんですか。
特別なことは何も無いんですが、強いて言うなら“目を慣れさせること”かなと思います。

特に今の卓球は、ラリーのピッチが速く、反応速度が求められるので、入口のところでそこに目を慣れさせることは意識しています。

私も妻も、現役時代に速攻型だったこともあるかもしれませんが(笑)。


写真:奥さんの小園江美与さんも指導にあたる/撮影:ラリーズ編集部

フットワークからカウントをつける

――練習メニューに特徴はありますか。
フットワークは必ず最初に入れます。

平日は夕方5時〜7時が規定練習なのですが、最初の1時間はフットワークが中心です。その後はゲーム練習を多くやりますね。

あと、数ヶ月前からですが、フットワーク練習からカウンターを置いています。


写真:フットワーク練習でもカウントをつける子どもたち/撮影:ラリーズ編集部

――緊張感をもたせるためですか。
とにかくいまの小学生、中学生たちはいろいろ忙しくて、時間がないんですよ。

限られた時間の中で一球も無駄にせず、内容を濃くするためです。うちは、平日2時間、土日も3時間程度と練習時間は少ない方なので、その分、練習中の意識を高める方法はいろいろ試しています。


写真:チューブでフットワーク練習する子も/撮影:ラリーズ編集部

逆算思考で“いつまでに何をやろう”

――こぞのえスポーツといえば、卓球物販の小売大手としても有名です。

卓球界最大級のECサイト運営やこのリアルの店舗も経営しながら、クラブ指導も行うのは、ご自身としてはどんな配分なんでしょうか。

あんまり考えたことはないですね(笑)。

単純に時間で言えば、朝10時から夕方5時までは事務所で、ECや店舗の施策、数字について考えています、現場はそれぞれの担当者が持ってくれているので。

卓球指導はそれ以降の時間と、大会や合宿が入る土日なので、時間としては2、3割が卓球で、それ以外はビジネスになるのでしょうか。

ただ、僕も小さい頃から卓球をやってきて、中身は根っからの卓球人だと思ってますので、気持ちの上では半分近くは卓球のことを考えているんだと思います。

―― 両立を続けるうえで意識していることはありますか。
強いて言うなら、以前よりも“逆算思考”になってきた部分はあるかもしれません。

いま私が52才で、80いくつで終わるとすれば、あと30年。いつまでに何をやろうというのは徹底するようになりました。さっきの練習の話にも出た“1球も無駄にしない”意識にも繋がっている気がします。


写真:練習後に整列する子どもたち/撮影:ラリーズ編集部

意外にもリアル店舗売上が伸びた

――卓球物販の売上は、ECとリアルの比率は変化していますか。
意外かもしれませんが、リアルの店舗売上が一番伸びてます。


写真:こぞのえスポーツ初の女性店長・西村今日香さん/撮影:ラリーズ編集部

――意外ですね。要因は何なのでしょう。
ラッキーな要素としてインバウンド需要はありましたが、今はスタッフがよく頑張ってくれていて、新商品が出る前にしっかり準備できています。

お店の中でミニチュアの電車を走らせるなど、毎月毎月、変化を入れているのが大きいと思います。


写真:店舗の一角でミニチュアの電車が走っていた/撮影:ラリーズ編集部

自前のECショップを伸ばす秘訣とは

――ECでの工夫は何かありますか。
みなさんによく言われるのが「ネットショップは効率化を突き詰めるのでしょう」と。AIを導入して今は何が売れてて、こういう大会で誰が勝ったから売上予測を立て、商品のラインナップと仕入れを決める、というようなことがうまく行く秘訣のように思われていて、Amazonなどはそうなのかもしれません。

ただ、私たちのように自分の手でやっているようなネットショップっていうのは、おそらくそうじゃない。

自分たちが売りたいものを自分たちが売りたい方法でがやった方が、自前のネットショップっていうのはうまくいくんじゃないかなと思っています。


写真:自社オフィスに倉庫を構えて多くの在庫を確保/撮影:ラリーズ編集部

――ラケット、ラバーの重さを測って外箱に表示するのも?
まさに。僕らがあそこまで量れて表示できたらいいよねと、勝手に思ってるだけなんです。今は、0.00gまで測れる計量器を導入しています。

それがお客さんに評価されたら嬉しいですし、生き残っていくECサイトは、そういう、人の気持ちが伝わるところだと思います。

ただ、これは今日までの話かもしれなくて、明日“卓球専用AI”みたいなサービスがドーンと出てきたら全く通用しない話です(笑)。


写真:ラケット外箱には重量を測って表示する/撮影:ラリーズ編集部


写真:小数点第2位まで測れる計量器/撮影:ラリーズ編集部

何を地域移行するかが大事

――卓球場はもちろん、物販も地域のリアル店舗に注力するとき、今後の部活動の地域移行の影響はどう考えていますか。
僕は、地域移行というより「民間移行」なんだと思います。

そして、何を民間移行するべきか考えると「大会」なのではと。

現状は練習時間、場所、指導員についての議論が多いですが、いい大会、いい試合があれば練習は自分たちで見つけてやるわけですよ。

――大会を作って運営する機能を民間企業が担う、ということですか。
ええ。いま、こぞのえスポーツでは、ニッタク杯、VICTAS杯など各メーカーさんの協賛を得て、月に1回、この場所で大会をさせてもらっていますが、毎回約100名から150名ぐらいの参加があります。
――多いですね。


写真:こぞのえ卓球で開催した大会の様子/提供:こぞのえスポーツ

開催を積み重ねて、学校や地域からも評価されるようになってきて、優勝した賞状も学校に提出できるようになってきました。

部活動としての成果の内申点などにも加算される大会になってくれば、民間でやれることも増えてくるはずです。

――その人数の大会を開催できる充実の卓球場を持っている、こぞのえスポーツならではの有意義な取り組みですね。


写真:ガラス張りの卓球場で保護者も見学しやすい/撮影:ラリーズ編集部

取材を終えて

小園江さんには、地域の卓球人としてのアナログな卓球愛と、長く東京の会社員で培ってきたビジネス感覚、そしてEC事業とリアル店舗売上を伸ばす才覚が共存するのは、案外めずらしい。

実は5年前、このリニューアルした卓球場ができたタイミングで、小園江さんにインタビューしたことがある。当時、彼は脱サラして福岡に戻り、家業の卓球場を継いで4年経った頃だった。

▶【2021年12月公開】国内売上トップクラスの卓球ECサイト5つ運営も こぞのえスポーツ、こだわりの“現場主義”

今回、同じ場所で話を聞きながら、ふと、その頃より“自然体だな”と思った。

小園江さんにそう伝えると「この年になると自己評価はもう当てにならないので、そう感じてもらえたなら嬉しいです」と笑った。

「スタッフが頑張ってくれて、あとは卓球のメーカーさんのご縁と支え、月並みですけど、それに尽きますね」

5年前より少しだけ増えた白髪で、卓球場を見回した。


写真:小園江慶一郎(こぞのえ卓球代表)/撮影:ラリーズ編集部


写真:全農杯全日本ホカバ福岡県予選の副賞をみんなで楽しく食べる/撮影:ラリーズ編集部

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