松島輝空の逆転勝利を支えた森薗政崇コーチ「TTRがない中で上手く組み立てられた」<卓球・WTTチャンピオンズ横浜2026> | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:松島輝空(個人)と森薗政崇コーチ/撮影:ラリーズ編集部

大会報道 松島輝空の逆転勝利を支えた森薗政崇コーチ「TTRがない中で上手く組み立てられた」<卓球・WTTチャンピオンズ横浜2026>

2026.08.08

文:ラリーズ編集部

<卓球・WTTチャンピオンズ横浜2026 日時:8月4日〜9日 場所:横浜BUNTAI(神奈川県)>

8日、WTTチャンピオンズ横浜は5日目を迎え、男子シングルス準々決勝では世界ランキング3位の松島輝空(個人)が、同9位の張禹珍(ジャンウジン・韓国)と対戦した。

ゲームカウント1-3と松島が逆境に立たされる中、張禹珍のサービスや戦術、ラリーに対して一つずつ対応してきた松島。第3ゲーム以外では、取られた側のスコアも8点以上という激戦となったが、松島が逆転で準決勝進出を決めた。

試合後、松島のアドバイザーを務めた森薗政崇コーチが、報道陣の囲み取材に答えた。

森薗政崇コーチ コメント

── お疲れ様でした。松島選手の試合を振り返ってみていかがですか?

森薗:課題や良くなった点もあるんですけど、ずっと日本を引っ張ってきた張本に追いつこうと頑張っている松島が、こういう期待やプレッシャーの中で、かつ日本のたくさんのファンの前で勝ち切ったことは、今回一番の収穫かなと思います。

── 張禹珍選手のYGサービスに苦しめられる場面も多いように見えましたが?

森薗:(サービスの)回転自体はもちろん色々出してくるんですけど、長短が本当に分からなくて。

今の卓球界には TTRというサービスの違反判定システムが入っていて、(僕らは独自に)各国の選手のサービスが正当なのか違反なのかを分析して判断をしています。

前回のワールドカップで張禹珍選手と対戦したときにはそのシステムがあって、ストレートコースに出されるYGサービスはほぼ確実にフォルトだから「(YGサービスを出されたらTTRを申請して)フォルトを取ろう」と相談して、実際にデュースの場面で(TTRを)取って僕らが勝ちました。

でも、今回はTTRがない環境なので、相手はそこを利用して上手に途中から組み立てられました。環境に適した戦術なので文句は言えないんですが、自分の中でモヤモヤする部分はありました。でも、最後まで自分のプレーを貫き通して勝てたことはものすごい自信になるんじゃないかなと思います。

── 第3ゲームが1-11で、切り替えが必要だったと思いますが、どういう言葉をかけられましたか?

森薗:僕らの準備が良くなかったのかもしれないですけど、フワフワして試合に入り込めてない状態だったので、 まずメンタル的なところ(を伝えました)。「どれだけリードされても、やることを見つければすぐ逆転できるよね」と伝えました。

それと、実際に何をされて点数を取られて、何をして点数を取れているのかを振り返りました。松島は本当に頭がいいので、現状を伝えてあげて自分で選択できる選手です。僕が未来を予測して色々アドバイスするよりも、本人が自分で考えられる状態にすることを心がけて声掛けしています。

── 技術的に押されてしまった部分もあったのですか?

森薗:今日は相手が強いボールを全然打ってこなかったですね。色々なコースに振ったボールを、平面で捉えて回転をかけて緩く返され続けました。

何回打っても返されるプレッシャーでこっちが打ちミスをする展開が多かったんですけど、こうなった時は恐れずに打ち切るしかなくて。なので、最終的には打ちきって勝てました。

(松島の)身体の状態も前回のUSスマッシュから少し落ちていて、フォアハンドで動き回ることがなかなかできないんですけど、体が動かない中でもなんとか動ききってくれたなと思います。

── 第4ゲームで松島選手がタイムアウトを取りましたが、その判断は森薗コーチでしたか? 松島選手自身でしたか?

森薗:僕らの中では、基本的に僕が(タイムアウトを)提案して彼が「取るか取らないか」の判断をするようにしています。

卓球はポイントが1点でも有利になった時点でやれることの幅が広がるスポーツので、僕は第1ゲームでも第2ゲームでも、とにかく序盤で取るタイプなんです。

一方で、松島は野性的な嗅覚があって、本当にやることがなくなったときや、流れを全然変えたいときに取るタイプです。もう1年以上一緒にいるんですが、そのなかで「こういうパターンで(タイムアウト)取ろうね」という打ち合わせをしてきました。

── 第4ゲームの7-8でタイムアウトを取ったときは、どういう言葉かけをしましたか?

森薗:タイムアウトのタイミングとしては遅いかなと思ったんですけど、第4ゲームを落としたらやることもなくなりますし、相手がポイントで有利になってしまうので、「このゲームを落としたら終わりだよ」と伝えました。

(張禹珍選手が)粘り強い選手なので、簡単に点数を取りたくて(松島は)長いサービスを乱発してたんですけど、実際は短いサービスを出したときのほうが打ち抜かれたりする展開にはなっていなくて。

なので、「短いサービスを出して打ち抜かれたらもうこっちの負けだから、短いサービスで勝負しよう」と伝えて、短いサービスに切り替えたことが上手くいったのかなと思います。

── 最終ゲームの前はどういう声かけをされましたか?

森薗:あそこまで行くとお互いにやることは決まっていて、それをどれだけ怖がらずにできるかというだけの勝負なんです。

今回の試合で言えば、相手のYGサービスがバック側に来たら、相手のバック側にレシーブすると詰められちゃうので、「怖がらずにフォアに入れていこう」「チキータはなるべく相手のフォア側に強く打っていこう」「サービスは短めのアップ系を出そう」と、本当に戦術のことだけを伝えて、あとは「やるしかないね」と言って送り出しました。

── 最終ゲームは4-8の劣勢から7連続ポイントで勝利を決めて、終わった瞬間天を見上げてるというか、何か込み上げるものがあったのかなと思いました。

森薗:正直、4-8になるまでに長いラリーが全部(張禹珍選手に)捕まって、「もう気持ちも切れちゃうかな」と、僕もふと勝負を諦めてしまうような感じはありました。

正直、そこまで行くと僕の支えられる範疇を超えた先の勝負なんですけど、その後のラリーで盛り返しました。僕がついて1年ちょっとで、(松島が)自分で鍛え上げてきたバックボーンがすごく出たなと思います。

── USスマッシュ含めた松島選手の最近の成長について、精神面を含めて感じられる部分はありますか?

森薗:年齢的にだんだんと大人になっていく中で、たくさんの人に見てもらってるのはすごく大きいかなと思います。去年から取り組んでるんですけど、勝利パフォーマンスを決めて、たくさんのメディアに撮ってもらって、色々な人に声がけをしてもらうことによって、本人にも責任感が芽生えたかなと。

あとは「チーム輝空」として、彼を普段の私生活から支えるチーム作りも上手くいっています。練習環境や練習パートナー、食食生活、リフレッシュの時間など、色々なサポートが本当に今上手くいっているなと、改めて感じます。

男子シングルス準々決勝

〇松島輝空(個人)4-3 張禹珍(ジャンウジン・韓国)
10-12 / 11-9 / 1-11 / 11-8 / 10-12 / 11-9 / 11-8

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