文:ラリーズ編集部
<ITTFワールドツアーグランドファイナル 2019年12月12日~12月15日>
12日、ワールドツアーグランドファイナルが開幕。男子ダブルス1回戦、中国の林高遠(リンガオユエン)/梁靖崑(リャンジンクン)ペアとチャイニーズタイペイの荘智淵(チュアンチーユエン)/陳建安(チェンジェンアン)ペアの試合でワールドツアー初のビデオ判定が実施された。
グランドファイナルでは、ビデオ判定を実施すると国際卓球連盟が発表しており、エッジボール、サーブのレットなどが対象となっている。今大会で支障がなかった場合、東京五輪が控える2020年からも主要大会で本格導入されるという。
中国ペアがビデオ判定を要求
写真:林高遠/梁靖崑(中国)/撮影:ラリーズ編集部
ゲームカウント1-1の10-9と林/梁ペアリードで迎えた場面、林の放ったサーブが、斜めにトスを上げたとしてフォルトの判定。中国ペアは10-10の同点に追いつかれた。大事な場面でのフォルト判定に対し、林が抗議しビデオ判定を要求。要求は認められ、ビデオ判定が実施された。
まず審判が手元のモニターで確認し、判定は覆らずフォルトのままに。中国ペアが会場のビジョンで映すよう要求し、判定の元となった映像が映し出された。
写真:ビジョンに映し出された映像/撮影:ラリーズ編集部
映像にはトスの角度や高さがわかるように補助線が引かれており、今回の判定も林のトスが斜めに上がっていることが自明となった。
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卓球界にとっての大きな一歩か
写真:ビデオ判定を行った審判/撮影:ラリーズ編集部
2019年4月に開催された世界卓球選手権大会、女子ダブルス決勝で伊藤美誠・早田ひなのペアに対する疑惑の判定が卓球ファンの中で物議を醸した。
ゲームカウント2−2で迎えた第5ゲーム、9−9から早田が放ったサーブを相手がレシーブミスしたかに思えたが、審判の判定はレット。サーブがネットに掠ってから相手コートに入ったという判定で、早田のサーブはやり直しとなった。
スポーツ界において、人間が審判をしている以上、判定にミスや疑惑が生じることは致し方がない。納得のいかないジャッジにも動じず、メンタルを崩さない本当の強さが選手たちには求められている部分もあるだろう。
ただ、昨今はサッカーではVAR、野球ではビデオ判定・リクエスト制度などの対応が進み、より正確なジャッジに近づいている。卓球界での今回の試みは、東京五輪に向けて卓球の魅力が最も発揮できる審判体制が整う第1歩になるのではないだろうか。