東京五輪に向け過去最高の盛り上がり必至 『2020年の卓球界』の見所を徹底解説 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:リオ五輪での水谷隼。東京五輪でもメダル獲得で日本卓球界を沸かせるか。/提供:AFP/アフロ

卓球ニュース 東京五輪に向け過去最高の盛り上がり必至 『2020年の卓球界』の見所を徹底解説

2020.01.30

2020年のオリンピックイヤーも幕を開け、各競技でのメダル獲得に向けて本格的に動き出した日本スポーツ界。東京五輪開幕まで、気づけばあと半年となった。

卓球界においては、年明け早々の1月6日に五輪の日本代表が発表され、男子は水谷隼、女子は平野美宇が「3枠目」の選手として本戦出場が決定。13日から7日間にわたって開催された全日本卓球選手権大会では、東京五輪メンバーが次々と敗れる波乱が起きた。

今後も3月には世界選手権、Tリーグ2ndシーズンのプレーオフファイナル、そして7月には東京五輪・パラ五輪が行われるなど、見所が満載のシーズンとなることは間違いない。

そこで今回は、卓球史上最も盛り上がると言われている2020年で、注目すべき大会をピックアップ。これを見て、今年の卓球観戦の予定を立てていただきたい。

初代王者のKM東京と日本生命、連覇なるか【Tリーグ2ndシーズン ファイナル】


写真:丹羽孝希/撮影:ラリーズ編集部

国内としては、3月14日に東京・両国国技館にて、レギュラーシーズンの上位2チームで年間優勝を争うTリーグ2019-2020シーズンのプレーオフファイナルが行われる。

1月26日時点では、男子は初代王者の木下マイスター東京が勝点31で首位につけおり、2点差でT.T彩たま、3点差で琉球アスティーダが追いかける。女子は初代女王の日本生命レッドエルフが勝点35で、2位の木下アビエル神奈川との点差を9に離しており、やや独走状態に。


写真:早田ひな/撮影:ラリーズ編集部

1月23日にはプレーオフ出場要件が発表され、資格を得るには「レギュラーシーズンで8チームマッチ以上の出場が条件」とし、五輪内定選手に限っては特別措置として「レギュラーシーズンにて4チームマッチ以上の出場があれば、プレーオフファイナルへの出場が可能」となった。それによって東京五輪メンバーがどの程度、試合に参戦するのかが注目されるところだが、レギュラーシーズン優勝はもちろん、プレーオフファイナル進出をかけた2位争いも最後まで行方はわからない。

両国国技館への切符を手にするのはどこか。そして、2ndシーズンの王座につくのは果たしてどのチームになるのだろうか。

打倒・中国への突破口に期待。団体戦で戦う“五輪前哨戦”【世界選手権2020】


写真:2019年チームW杯での平野美宇/撮影:ラリーズ編集部

3月22日からは、韓国・釜山で世界卓球選手権が開幕する。同大会は1年おきに個人戦と団体戦が交互に行われ、今年は後者で争われる。東京五輪では正式種目として団体戦も行われるため、“五輪前哨戦”として臨む大会となるだろう。

1月24日には、男女それぞれ5人の日本代表選手が発表された。男子は五輪代表メンバーの張本、丹羽、水谷の3人に加えて、全日本でシングルスを制した宇田と、昨年12月の最終選考会で優勝した森薗政崇(BOBSON)が選出された。


写真:左から石川佳純、平野美宇、伊藤美誠/撮影:森田直樹/アフロスポーツ

女子は伊藤、石川、平野の“東京五輪3人娘”と、全日本で女子シングルスと女子ダブルスの2冠を達成した早田、世界ランク17位のカットマン・佐藤が選ばれた。

宮崎義仁強化本部長は「世界選手権で勝てない選手は五輪で金メダルは取れない。世界ランキングを考えれば中国が有力だが、釜山で金メダルを取って五輪を迎えたい」とコメント。

同大会で男子は9連覇中、女子は4連覇中と圧倒的な強さを誇る“卓球王国”に対して、日本代表がどこまで食らいつけるか。男女ともに勝利し、「打倒・中国」への突破口を開きたいところだ。

今年最大のビッグイベント・東京五輪。男女それぞれ3種目でメダル獲得へ


写真:2019年グランドファイナルでの水谷隼・伊藤美誠ペア/提供:西村尚己/アフロスポーツ

そしていよいよ、7月24日には2020年最大のイベント・東京五輪が開幕する。大会期間は8月9日までとなっており、卓球競技は7月25日〜8月7日まで行われる。会場は、昨年11月の卓球ワールドカップ団体戦と同じ東京体育館だ。同大会でも白熱した戦いが繰り広げられたが、東京五輪ではさらに熱を帯びた中で開催されそうだ。


写真:リオ五輪団体銀メダルを獲得した水谷隼、丹羽孝希、吉村真晴/撮影:ロイター/アフロ

前回のリオデジャネイロ五輪を振り返ると、男子は団体で初の銀メダル、女子も12年ロンドン大会での銀に続いて、団体で2大会連続の表彰台となる銅メダルを獲得した。さらに水谷が、男女通じて日本人初のメダル(銅メダル)に輝き、国内の卓球ブームに火をつけた。

今大会の代表選手は、前述の通り、男子は張本、丹羽、水谷。女子は伊藤、石川、平野が内定しており、「史上最強」の代表チームであると言っても過言ではない。

何度も日本代表として戦ってきたメンバー同士といえど、五輪で感じる雰囲気、プレッシャーは経験した者にしかわからない。団体戦においては、五輪初出場の張本、平野がチームにどうマッチしていくか。それがメダル獲得へのカギを握ることになるだろう。

水谷隼
写真:リオ五輪男子団体決勝での水谷隼/撮影:AP/アフロ

前大会までは男子は水谷、女子は福原愛が先頭に立ち、チームを引っ張ってきた。今回は前回に引き続き水谷と、女子チーム最年長となった石川が、いかに早い段階でチームをまとめていけるかも大きな要素であることは確かだ。

シングルスでも前大会以上のメダル獲得が期待されており、水谷と伊藤が出場する混合ダブルスも表彰台の可能性は大いにある。卓球競技の男女それぞれ3種目、どれも一試合、一球たりとも目が離せない。

五輪だけじゃない! 東京パラリンピックの卓球競技も注目必至


写真:岩渕幸洋/提供:SportsPressJP/アフロ

東京五輪を終えた後には、8月25日〜9月6日にかけて東京パラリンピックが開催。そのうち卓球競技は8月26日〜9月4日まで行われ、各国のパラアスリートたちによる世界最高峰の戦いが繰り広げられる。

パラ卓球が対象とする障がいは幅広く、大きく分けると肢体不自由と知的障がいの2つに分別される。前者には車いすと(立って競技する)立位があり、それぞれ障がいの程度に応じて、さらに11クラスに分かれて試合を行っていく。基本的なルールは健常者の卓球とほぼ同じだが、障がいクラスによってサーブやトスなどに特別ルールが設定されており、それに応じた多彩なプレースタイルや多様な戦略が見所だ。

東京パラリンピックへは、昨年の五大陸大会の各優勝者と、今年の4月1日時点の世界ランキング上位者、加えて5月にスロベニアで開催される最終予選会の優勝者が出場権を獲得する。昨年で代表が内定した日本人選手はいないため、いまだ選考レースの真っ最中だ。

岩渕・茶田
写真:茶田ゆきみ(写真左)・岩渕幸洋(写真右)/撮影:ラリーズ編集部

男子の有力選手は、1月1日時点の世界ランキングでクラス9(立位)で2位につけている日本のエース・岩渕幸洋、クラス7(立位)で7位の八木克勝、クラス11(知的障がい)で7位の加藤耕也、同8位の竹守彪などが名を連ねる。

一方の女子は、クラス3(車いす)で16位の茶田ゆきみ、クラス5(車いす)で8位でリオパラリンピック5位の“パラ卓球界のレジェンド”別所キミヱ、クラス8(立位)で10位の友野有理、クラス11(知的障がい)で日本人最上位の5位につける古川佳奈美らが虎視眈々と代表入りを狙う。

五輪同様、最大の敵は絶対王者・中国だ。卓球王国の牙城を崩し、表彰台に上ることはできるのか。パラリンピックの卓球にもぜひ注目していただきたい。

秋以降も主要大会が続々開幕! 東京オリパラ後も卓球は熱い


写真:2019年グランドファイナルでの石川佳純/撮影:ラリーズ編集部

東京五輪・パラ五輪を終えた9月以降も、注目すべき大会やイベントは満載だ。

秋からは、3年目を迎えるTリーグの2020-2021シーズンがスタートする。昨年11月に新規参入チームを公募して以降、新たな情報は公表されていないが、チーム数が増えるとなれば、リーグ創業当初から構想していたTプレミア、T1、T2と、カテゴリーの増加が現実味を帯びてくる。

また、東京五輪を控え、日本選手を警戒して決定された“中国選手の派遣禁止”が解かれれば、再びTリーグの舞台で世界トップに君臨する中国選手のプレーが見られるかもしれない。


写真:2018年グランドファイナルでの張本智和/提供:ittfworld

その後も、10月16日から始まる男子ワールドカップ、10月23日開幕の女子ワールドカップと続いていく。前者では、2019年大会の決勝で敗れ惜しくも金メダルに届かなかった張本のリベンジが期待される。後者では、日本人選手は前回手が届かなかったメダル獲得を目指す。

そして12月10日に開幕する、ITTFワールドツアー・グランドファイナルで2020年を締めくくる。前回大会の女子ダブルスで、長﨑美柚/木原美悠ペアが初優勝したことはまだ記憶に新しい。東京五輪を終えた後の同大会では、“ダブルみゆう”のような2024年パリ五輪世代の台頭を期待したい。

この2020シーズン、東京五輪・パラリンピックを中心に卓球界は間違いなく大きな盛り上がりを見せていくだろう。だが、開催期間だけではなく、閉幕後も熱が冷めないよう、それ以降の大会へと競技の“熱狂”をつなぎ、その卓球ブームを“カルチャー”として根付かせていきたい。そうなれば、2021年以降の卓球界はさらなる発展を遂げていくはずだ。