卓球技術・コツ 【高校卓球】色々試しても上手くいかない…「考えすぎないこと」の大切さ
2022.02.18
卓球の低年齢化が進む中、遅咲きで全国大会を目指す選手に送る本企画。第11回のテーマは、「考えすぎないこと」についてだ。
今回も中学から卓球を始めた卓球歴3年の宗萌美さん(千葉商科大学附属高校1年生)をモデルに、プロコーチの原田隆雅氏(礼武卓球道場)が指導する様子をご紹介する。
原田隆雅(はらだたかまさ)。現役時代は福岡の名門柳川高校から同志社大学、実業団のリコーで活躍後、葛西(東京都江戸川区)に礼武卓球道場を設立。プロ卓球コーチとしてジュニアから大人まで幅広い世代を指導。テレビCMの卓球シーン監修なども手掛ける。
このページの目次
宗さんの現状
原田:今、宗さんはフォアハンドを打つときに手首が回ってしまうという難癖に苦しめられていますが、似たような癖がバックハンドにも出てくるようになってしまいました。
宗さんの学校の顧問の先生とも相談しているのですが、この問題は想像以上に根深くて、自分がやろうとしていることに対して体がなかなか言うことを聞いてくれないような状態です。
バックハンドの現状
バックハンドのインパクト時にどうしても手首が動いてしまっている。打開策を見つけたと思っていたが、再び迷走している状態だ。
宗さんの意識が手首に行き過ぎていることでさまざまな問題が出ている。
色々考えた結果自己流で試行錯誤して現在に至る。
原田コーチの指導の様子 1:37~
原田:手首が勝手に動いてしまうのは、足が上手く使えていないことも理由の一つだと思う。全部手だけで何とかしようとして手首に意識が集中してしまってフォームが狂い始めてるんじゃないかな。
基礎練習の撤廃
またこの癖は、試合の時にはあまり出ないそうだ。「基礎練習をやることでフォームに狂いが生じているのではないか」と考えた原田コーチは基礎練習の撤廃を提案した。
そこで、オール練習でのタイミングはどうなのかを検証した。
結果として、明らかに打点もタイミングも遅くなっている。だが、オールではラリーもそこまで続かないため基礎ができていなくても逃げ切れるかもしれないという仮説を立てた。
この仮説に基づき、打球の意識よりも打点と下半身に意識を持っていくようにし、動き出しスタートのタイミングを速くするように指導した。(ここでは手首の注意をいったん無視している。)
原田コーチの指導の様子 5:36~
反応の速さを上げるトレーニング
原田:まず、今まで基礎練習をしてきたことで自分の癖が修正されていないんですよね。打点が崩れて、タイミングも遅くなっている。それとボールを真横で見るような癖がついてしまっているという状態です。
この後紹介するトレーニングでは、速さの中では物理的に間に合わせようとすることで癖を少しでも治そうとしています。
とにかくこの日は、練習の中身を「考えない」ことにフォーカスしています。
実際のトレーニングの様子 8:29~
原田コーチのコメント
原田:いかがだったでしょうか。なかなか苦しいですよね。ですが、目標がある限りそれをやり続けなければならない。
このような問題にはポジティブなこととネガティブなことがあって、悩んで突き詰めていくことは一見ポジティブに見えるんですけど、状況によってはかなりネガティブになり得ます。
突き詰めていくと悪い方向へはまってしまい、結果上手くいかなかったということもあります。逆に何も考えずに適当にやることで気持ちがポジティブになることもあります。
いずれにせよ結果は上手くいかないのですが、どうせ上手くいかないのであれば、このように良い意味で「考えず適当にやる」と開き直ってもいいと思っています。
そして上手くいきそうだというタイミングでまたその課題に集中して取り組む、という方針でいきたいと思っています。