卓球技術・コツ 【高校卓球】癖を上手く利用して武器に変えよう
2022.07.12
卓球の低年齢化が進む中、遅咲きで全国大会を目指す選手に送る本企画。第13回のテーマは、「予想外の事態の原因分析」についてだ。
今回も中学から卓球を始めた卓球歴3年の宗萌美さん(千葉商科大学附属高校2年生)をモデルに、プロコーチの原田隆雅氏(礼武卓球道場)が指導する様子をご紹介する。
原田隆雅(はらだたかまさ)。現役時代は福岡の名門柳川高校から同志社大学、実業団のリコーで活躍後、葛西(東京都江戸川区)に礼武卓球道場を設立。プロ卓球コーチとしてジュニアから大人まで幅広い世代を指導。テレビCMの卓球シーン監修なども手掛ける。
このページの目次
癖を利用した「武器」の習得へ
原田:先日行われた大会で千葉県のダブルスベスト32に入ったという話を聞きました。(彼女の目標である全国大会出場には)まだまだ遠いですが、以前よりは近づいてきているのかなと感じております。
今回は練習内容を少し変えてみたいと思います。
今日の内容は、彼女の苦手なフォア側の台上処理(ボールが出るか出ないかの見極め)の修正と、彼女の武器を作るという練習です。
フォア側の台上処理は難しい技術でもちろん全く上手くいきませんが、これは多くの人にも共通して言えることだと思うので、是非参考にしてみてください。
実際の練習動画 0:55~
原田:彼女には打球時に手首が曲がってしまうという癖があり、手首をまっすぐするのは難しいようです。であればその癖をうまく利用してボールを曲げてしまおう、という方針で練習をしています。
しかし今のままだと打点が遅いので、打点を早くするように指示をしています。
またレシーブ時や台上の処理時のステップが今までなかったので、台上に入る前やドライブをする前に小さいステップをするように意識させています。
出るか出ないかのボールに対しては無理矢理打ちに行くのではなくて確実にツッツキをするように指示を出しています。
原田コーチの指導シーン 3:19~
原田:先ほどよりも打点が良くなり、ドライブも安定してくるようになりました。
原田コーチの指導シーン 4:44~
原田:この練習は、フォア前に来たボールに対してバックでレシーブした後、フォアサイドに来たボールを曲げたり、出るか出ないかのボールの処理をする練習になります。
このフォア側のボールが出るかどうかの見極めは非常に難しいです。特に宗さんは、フォア側のグリップ面が上に向きやすくこの処理をするのがさらに難しくなります。これをどうやってクリアしていくか、ということを考えながら練習をやっています。
原田コーチのコメント
原田:今日の内容自体は彼女の良いところや悪いところが出ていて、今後の練習方針をもう一度考える上で非常に重要だなと感じました。
今取り組んでいる内容がすぐに修正できれば良いのですが、時間がかかるのは間違いないです。練習したところですぐに試合に出るわけではないので、彼女と相談して意識付けをしながらやっていこうと考えています。
苦手があるのは仕方がないことですが、特徴をしっかり武器に変えていけるようにポジティブに捉えていきたいと思います。