卓球技術・コツ 【卓球技術】パワーフリックのコツは“離す感覚” 練習法はラバーを貼らずラケット板で打つ
2021.04.06
文:吉田和也コーチのYouTube 神戸TCチャンネルより
台上のボールを強くフリックできることは、中級者から上級者になるために必要な技術の1つです。トップ選手は、台上のボールが少しでも浮くと、一発で仕留めるような強い打球を送ってきます。
「これができると試合が変わる!脱中級者講座」の第4回では、パワーフリックのコツと練習法を、神戸TCスタジオの吉田和也さんの技術指導を通して詳しく見てみましょう。
【吉田和也(よしだ かずや)】近畿大学附属福山高校から近畿大学を経て、現在は神戸TCスタジオのオーナーを務める。インターハイや全日本選手権、国体代表の経験も持ち、関西の強豪・近畿大では、関西学生選手権ダブルス優勝を果たす。社会人になってからも全日本選手権ミックスダブルスベスト16、全日本クラブ選手権団体2位など、全国でも実績を残している。右シェーク裏裏。変化のわかりづらい“七色の”巻き込みサービスが武器。(写真提供:本人)
このページの目次
一発で仕留めるパワーフリック
吉田和也(以下、吉田):今回はフォア前のパワーフリックについてです。
パワーフリックとは、一発で仕留められるような速いフリックのことを指します。ちなみにドライブにパワードライブがあるので、そう勝手に呼んでみました(笑)。
それではポイントを解説していきます。
パワーフリックのポイントは「球を持ち過ぎないこと」
吉田:強く当てるのはもちろん大事なのですが、それ以上に大事なことがあります。
そもそも台上のボールは、ドライブなどとは台までの距離が違いますよね?
台の長さは2.74メートルあるので、台の外から打てば、2.8メートルくらい飛ばしても台に収まります。一方で、台の中で打つ台上プレーでは、2メートルくらいの力加減で打たなくてはオーバーミスしてしまいます。
そのため、基本的な考えでは、フリックは優しく払うことが安定への近道となります。
しかし、今回は“パワー”フリックです。強く当てつつ入れるためには「球を持ち過ぎない」ことが大事なポイントとなります。
パワーフリックで重要なのは「離す」感覚
吉田:卓球の用語として、ボールを「持つ」「離す」という用語がよく出てきます。その「離す」感覚が重要になります。
ボールを持ちすぎる打ち方のときは、大きなスイングでボールを追いかけてしまい、飛ばしすぎてしまいます。一方でボールを離せた良い打ち方のときは、スイングがコンパクトになり、追いかけていきません。
今のラバーは性能が良く、勝手に食い込み引っかかるので、意図せず持ち過ぎてしまいがちで、離す感覚を知らないことが多いです。そのため、飛ばし過ぎてしまうので、優しくしかフリックできない人が多く見られます。
離す感覚はラケットの板で打って身に付ける
吉田:この離す感覚を身に付けるために使うのが、ラバーを貼っていないラケットです。
ラバーが付いていないので、食い込むとか引っかかるとかいう心配がなく、当てるだけで離れた状態になります。自然と離せた感覚を感じることができ、フリックでボールを離す感覚が身に付いていきます。
実際の練習動画 3:57~
インパクト音も良い音が鳴るので、上手くなった気がすると思います。
よりコンパクトなスイングにする方が、オーバーミスが少なくなります。ラケットの板打つことで感覚を掴み、それをラバーで再現することを心がけましょう。ラバーがある分、食い込んでしまいますが、意識的にラケットの板で打つときに似せて、すぐ離そうとしていきます。
この「離す」という感覚を体が覚えるまでは、板とラバーを繰り返し、反復練習していきましょう。離せると、強く当ててもオーバーミスが少なくなります。
実際の打球動画 5:26~
ストレートに打つときはもっと早く“離す”
吉田:クロスだけでなく、ストレートに打つときも同じように「離す」を意識します。
ストレートだと、より優しくボールを送っていこうとしがちですが、台の長さが短い分、尚更早く離すことを意識しましょう。
パワーフリックがストレートに打てるのは理想ですよね?こちらも同じようにラバーの貼っていないラケットで練習していきます。
実際の練習動画 6:00~
当たってすぐにボールが離れる打ち方は、動作も少なく、コースもわかりにくく、相手は反応しにくいです。
離す感覚が大事だなということがわかってもらえましたか?
離す感覚がない人は、ラバーの貼っていないラケットで練習するとわかりやすいと思います。その感覚がなくならないように、板とラバーで反復練習していきましょう。
ぜひ試してみてください。