【初心者必見】チキータのやり方とコツ|卓球基本技術レッスン | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

卓球技術・コツ 【初心者必見】チキータのやり方とコツ|卓球基本技術レッスン

2019.02.07

この記事を書いた人
初級者、中級者向けに基本技術の説明から、戦術論や卓球コラムまでを執筆。社会人になってから5回全国に出場し、全日本卓球選手権(マスターズの部・男子30代以上の部)ではベスト64。まさに“頭で勝つ!”を体現中。
戦型:右ペン表裏

卓球ライター若槻軸足がお届けする「頭で勝つ!卓球戦術」

このシリーズでは初心者向けに卓球の基本的な技術についての説明と、そのやり方についてお話していく。実際のプレイヤーはもちろん、テレビなどで観戦される方にとっても、頻繁に出てくる用語が登場するので、知っているとより卓球の面白さが分かるだろう。ぜひ参考にしていただきたい。

(特に記述がない限り、右利きの選手を想定している)

>>【初心者必見】チキータの封じ方|卓球基本技術レッスン

チキータとは

チキータとは近年に発達した流行の技術だ。卓球の経験がない方もテレビ放映などでよくこの言葉を耳にするのではないだろうか。改めてお伝えすると、チキータは台上技術の一つで、主にレシーブの際に使われることが多い。バックハンドのフリック(台上の短いボールを強く弾く技術)をさらに発展させた技術で、ボールに横回転をかけて、カーブする軌道を描きつつ、スピードあるボールを繰り出す技術だ。

2011年の世界選手権で張継科選手がチキータを多用して優勝したが、その頃からチキータが世界中で爆発的にトレンドとなった。今では若手の選手を中心に、男子選手のみならず女子選手でもチキータが出来て当たり前という状況で、ある種卓球の技術のスタンダードになりつつある。

また、バックハンド技術であるため、チキータを防ぐ為にフォア前にサーブを出されるケースが多いのだが、「フォア側に動いてバックハンドで打つ」という、これまででは全くありえなかった、常識を覆すプレーが出てきた。しかも今やそれすらも珍しくはない。

まさに卓球の歴史を変えた技術と言っても過言ではないだろう。

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チキータのメリット

チキータをすることのメリットは多過ぎて挙げきれない。

まずフリックがフラットに弾く打法のスマッシュに近い技術であることに対して、チキータは擦り上げて回転をかけるドライブに近い技術であるので、より安定感が増す

また、ボールのやや横を捉えることで打法であり、相手サーブのボールの回転軸を外すことが出来るので、どんな回転のサーブに対しても繰り出せることが強みだ。

そして、なんと言ってもチキータ一発でラリーを終わらせてしまうことが出来るほどの威力を持っていることだ。チキータとひとことに言ってもバリエーションは広く、よりスピードを重視した「台上バックドライブ」や、横回転を強くかけて大きく曲げるチキータ、あるいは下回転チキータなど、様々だ。これまでは100%サーバーが有利という構図だったのだが、チキータが出てきてからは「レシーバーの方が有利」という状況も出てくるほどだ。

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チキータのやり方

では実際のやり方を見ていこう。ここではバック前にナックルのサーブを出された状況を想定する。まず台上技術全般に共通して言えるが、右足を出して台に入って、ボールに極力近く。顔をボールに近づけるようにし、なるべく姿勢を落として低い体制で構えよう

この時ボールの真正面よりも、やや右側に構えた方がより強い回転をかけやすい
そして、肘を突き出すような形にして、手首を最大限曲げて、ラケットヘッドが時計の4時〜5時くらいまで向くようにバックスイングを取る。そこから肘から先をムチのようにしならせる動きで、ボールのやや左側を捉えて、一気に振り抜く。

そしてフォロースルーは、上ではなく、横だ。時計で言う3時の方向くらいまで持っていく気持ちで振り抜こう。中途半端なスイングではだめだ。ドライブをするときと同じで、スイングの半径が小さいとそれだけ威力のないボールしか打てない。大きい半径でスイングすることではじめて、ボールにしっかりとした回転とスピードを加えることが出来る

写真:ラリーズ編集部

チキータのコツ

チキータ=強い横回転をかけるというイメージが強いせいか、手首だけを意識してしまう人が多い。独特のフォームになるので気持ちは分かるが、そこにばかり集中してしまってはいいチキータが出来ない。

まずやはりもっとも大切なのは準備だ。卓球台にがばっと覆いかぶさるくらいの気持ちで、しっかりと台の中に踏み込もう。そこから、手首だけではなく、肘から先、それと同時に体全体を使ってボールに力を加える。

バックドライブを打つ瞬間に、体をやや仰け反る形にすることで、反動を利用して威力を出すことがある。ちょうどそれと同じことを、台の中で小さくやるイメージを持ってみよう。

また、ボールの左側を捉えれば横回転はかかるが、スピードは出ない。真後ろを捉えれば、よりスピードのある、いわゆる「台上バックハンドドライブ」に近いチキータを打つことが出来る。最初は山なりでいいので、安定性重視でボールのやや横を捉えて、しっかり入れられるように練習しよう。慣れてきたらボールの真後ろを捉えて、より威力を出す練習をしていくといいだろう。

写真:ラリーズ編集部

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チキータのデメリット

チキータが強力であり、脅威に感じる技術であることは皆百も承知だ。なので、チキータ対策といった戦法は確立されている。例えば先述した、フォア前へのサーブ。そして長いロングサーブ。さらには強いチキータが難しい、よく切れた順下回転サーブ。もしチキータがあなたの主力の武器となった際には、これらの対策を講じられることを必ず想定しなければならない。

そしてその上で、チキータが出来なくても勝てるような作戦も練っておかなければならない。いわば、「チキータ対策 対策」である。

例えば先日行われた全日本選手権。連覇も期待された前回チャンピオンの張本選手は、準決勝で姿を消すことになったが、彼を下した大島選手は徹底的なチキータ対策を行った。それに対して、張本選手は戦術を上手く転換出来ず、ペースを掴み切れなかった。

チキータが得意な選手はチキータに頼ってしまいがちなので。チキータを打てなくても勝てるようにならないといけない。

張継科選手について、水谷選手は「彼はチキータが出来ない時にするフォアストップがめちゃくちゃ上手い。」と語っていた。やはり強力なチキータを持っているから勝てるというほど甘くはない。チキータ一つに頼らず、その他の技術もしっかり磨いておくことは勝利への必須条件と言える。

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まとめ

今回は初心者のみならず、経験の長い中級者にとっても一種の憧れである、チキータについてお話してみた。もちろん今回紹介した方法が全てではなく、やり方や考え方は人それぞれ違うので、一つの参考にしてもらえるといいだろう。
またこれまでチキータに取り組んでこなかった方も、技術の幅を広げることは非常に有効なので、これを機にぜひチャレンジしてみて欲しい。

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