試合の中でロングサーブを活かすための3つの使い所|頭で勝つ!卓球戦術 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

卓球技術・コツ 試合の中でロングサーブを活かすための3つの使い所|頭で勝つ!卓球戦術

2021.01.12

この記事を書いた人
初級者、中級者向けに基本技術の説明から、戦術論や卓球コラムまでを執筆。社会人になってから5回全国に出場し、全日本卓球選手権(マスターズの部・男子30代以上の部)ではベスト64。まさに“頭で勝つ!”を体現中。
戦型:右ペン表裏

卓球ライター若槻軸足がお届けする「頭で勝つ!卓球戦術」

前回前々回に引き続いて、またまたロングサーブのお話である。今回はロングサーブをどういった場面で使うべきかについて考えてみよう。

というのも、これだけロングサーブを使うことを勧めているものの、試合の全てでロングサーブを出すわけにはいかないからだ。

ロングとショートを絶妙なバランスで組み合わせることによって、両方の力が発揮される。160kmのストレートを投げられるピッチャーも、ストレートの1種類しか投げられないのなら、すぐさま慣れられ簡単に打ち取られてしまう。カーブと合わせて使うことで、両方が活きてくるわけである。

ロングサーブの使い所①試合序盤

まずひとつめの使い所としては、試合の序盤だ。ロングサーブを出すには複数のリスクがあるが、そのひとつが「自分がサーブミスをしてしまう」というものだ。

前回の記事でお伝えした質の高いロングサーブを出すためには、かなり狭いポイントを狙う必要があるのでどうしてもミスは出てくる。

それ故に9-9というゲーム終盤の重要な局面では、ミスをする確率のあるサーブを出すことは非常にリスキーである。であれば、たとえミスしても痛手の少ないなるべく序盤の段階で見せておくのが賢いやり方だ。

たとえば序盤でフォアストレートの厳しいコースへスピードのあるロングサーブを1本見せておけば、その印象が相手の頭に残り、レシーブから回り込むという選択を減らすことができるだろう。たとえサーブミスだったとしても、だ。あるいはバックサイドへのロングサーブを見せておけば、相手としたらレシーブからフォア前をチキータしにいくようなこともかなりやりづらくなるだろう。

また私は初見の相手であれば、ラブオールからまずはロングサーブと決めている。それには先程の理由に加えて、「1本目からロングサーブを使ってきたぞ」という強いインパクトを相手に残せるからだ。その印象がその後もずっと残り、おそらく2ゲーム目も3ゲーム目も、出足で心理的な揺さぶりをかけることができることだろう。

卓球は1点ずつの積み重ねの競技であるが、その1点にはそれまでのプレーの記憶がどんどん積み重なった上で成り立っている。なので早い段階で、こちらにとって有利になるような記憶を相手に塗り重ねていくことが、頭で勝つことを目指す我々には非常に大切なのである。

ロングサーブの使い所②リードをしているとき

次に出すべきポイントは、点数でリードしているときである。

あなたが2点差などでリードしているなら、相手としてはなんとか1点ずつ取っていくしかないので、あまり無茶はせず丁寧にプレーしてくることが予想される。つまり強いボールではなく、入る確率の高い安定志向のボールが返ってきやすいということだ。なのでそれを見越して強気でロングサーブからの3球目攻撃を決めにいければ、さらにリードを広げることができるだろう。

しかもロングサーブを出すということ自体が、「強気だぞ」とアピールをすることにもつながる。相手からすればどんどん気分が落ち込み、反撃の根を潰すことができるわけだ。リードをするとつい少し気を緩めてしまう選手も多いが、そうではなくより気を引き締めて、どんどんリードを広げていくのだ。

そしてロングで点を取っているのなら、どんどん連続で出してもかまわない

連続で出しすぎると慣れられてしまうという恐れもあるかもしれないが、慣れられてきたらサーブを変えるくらいの気持ちでいいだろう。私も3本4本平気で続けてロングサーブを出すことがあるが、あまりロングサーブを連続して使う選手はいないことからも、非常に効果的である。

ただし、9-4や10-5といった、大きな点差でリードしているときは、相手も開き直って思いっきり振ってくることがあるので注意が必要だ。開き直りの一発から流れが変わって逆転を許すといったケースも多く見られるので、その点には気をつけよう。

ロングサーブの使い所③精神的に優位に立っているとき

3つめの使い所は、メンタル面、つまり精神的に優位に立っている状況のときだ。

言い換えると、「相手が弱気になっている」ときが、ロングサーブの出し時である。相手の精神状態を観察しておくことは卓球において非常に大事なので、表情や仕草から得られる様々な情報を頼りにして常に把握するように心がけよう。

首をかしげる、うつむき加減で下を向く、頭を搔く、口をへの字にする、なかなかサーブあるいはレシーブの構えに入らない、といった具合にたくさんのシグナルが隠されている。もちろんそれはプレーにも現れ、弱気なときは攻めるプレーが減り、守りや受け身のプレーが多く見られるようになる。

こういった点から、「よし、相手は弱気になっているぞ!」と判断したらすぐさまロングサーブで攻め込むのだ。

ちなみに相手が弱気なときというのは、あなたがリードしているときに限った話ではない。たとえば4-9で劣勢の状態から、4点連取して8-9まで追い上げているとしよう。こういう場面ではまだあなたが点数では負けているものの、相手としては精神的にかなり弱気になっているケースが多い。

こういう場面こそロングサーブの使い所である。ここでロングサーブで点を取って9-9になれば、もう相手としては半分パニックで、何をすればよいのか分からない状態になっているだろう。

まとめ

いかがだっただろうか。今回の話をまとめると、まずロングサーブを出すべきは試合序盤、そしてリードしているとき、そして相手が弱気になっているときに、すかさずロング。これがロングサーブの上手な使い所である。

うまく作戦がはまれば、こちらがサーブを持っているときは試合全体を通して優位に立てるはずである。ただし、ロングサーブを出すだけではなく、その後の3球目攻撃、5球目攻撃までのパターンも頭に入れて出すことは絶対なので、忘れないでおこう。

筆者自身表ソフトプレイヤーであり、サーブの回転量にはあまり自信がないものの、ロングサーブを効果的に使うことで、相手に的を絞らせず、サーブからの得点率を上げることに成功している。前回、前々回の記事も合わせて参考にして頂き、これをきっかけに”ロングサーバー”を目指して邁進していって頂ければ、これ幸いである。

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