卓球技術・コツ 【初心者必見】1人でできる卓球のサーブ練習方法 6つのポイントとコツ(後篇)
2019.08.20
卓球ライター若槻軸足がお届けする「頭で勝つ!卓球戦術」
このシリーズでは初心者向けに卓球の基本的な技術についての説明や、そのやり方、対処法などについてお話していく。実際のプレイヤーはもちろん、テレビなどで観戦される方にとっても、頻繁に出てくる用語が登場するので、知っているとより卓球の面白さが分かるだろう。ぜひ参考にしていただきたい。
(特に記述がない限り、右利きのシェークハンドの選手を想定している)
さて今回取り上げるテーマは、前回に引き続きで「サーブ練習」についてだ。前回からの続きの内容となっているので、そちらを読んでいない方はぜひ先にチェックして頂きたい。
>>【初心者必見】効果的にサーブ練習をする6つのステップ(前篇)
5.試合の中で使う想定で出せるようになる
サーブ練習をしていくなかで、最も陥ってしまいがちな失敗が、「練習のときは出せるのに試合になるとミスをしてしまう」というパターンだ。
たとえばあなたが、「フォア前への横下の巻き込みサーブ」を練習しているとする。ボールを取り、台に構えて、サーブを出す。
1回目 ネットにかけてミス。
2回目 ネットは超えたものの、長すぎて台から2バウンドせずに出てしまった。
3回目 短さを意識しすぎてバウンドが高くなってしまった。
4回目 低く短く出せたが、強く回転がかからなかった
5回目 思い通りのサーブが出せた
6回目 思い通りのサーブが出せた
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これを見てどう思うだろうか。5回目のチャレンジで、ようやく自分が出したいサーブが出せているのだ。これで、7回目以降も思い通りに出せれば、「自分はフォア前への横下を出せる!」と思い込んでしまう。
しかし、本来試合でこんな状況はない。必ず毎回、「1回目」の状況のはずだ。試合の中で、短さや低さを微調整している暇はない。つまり、1発で成功させられるように出すことが出来なければ、それは覚えたとは言えず、試合の中で使うことは出来ないのだ。
これを防ぐ為にはどうすればよいか。それはサーブ練習の段階で、「常に1発で成功出来るレベルまで練習する」ことだ。
1回目 フォア前横下巻き込み
2回目 フォア前横下巻き込み
3回目 フォア前横下巻き込み
4回目 フォア前横下巻き込み
5回目 フォア前横下巻き込み
と、練習するのではなく、
1回目 フォア前横下巻き込み
2回目 バック前下回転
3回目 フォア前横下巻き込み
4回目 バックに横ロングサーブ
5回目 フォア前横下巻き込み
といったように、必ず「1発目」になるようにサーブ練習をしていくのだ。このような練習を日々しっかりしていれば、試合の中でとっさに出そうと思ったときも、思い通りのサーブが出せるようになっていくはずだ。
ちなみに余談だが、水谷選手の場合は初めて対峙する選手との試合では、第1ゲームのラブ・オールから11点を取るまでに出すサーブの順番を完全に決めてしまっているのだという。そこまでしていれば、サーブ練習でも同じ順番でサーブを出していけばよいので、より実践に近い形でサーブ練習が出来るだろう。
>>【初心者必見】ツッツキのやり方とコツ|卓球基本技術レッスン
6.レシーブのパターンを想定して、3球目攻撃までを組み立てられるようになる
新しいサーブも覚えて、試合の中でもとっさのタイミングで問題なく出せるようになった。が、最後にもうひとつしっかり考えて欲しいことがある。それが、「3球目攻撃」だ。
もちろん、サービスエースだけで試合を勝ちきることが出来れば文句はないが、そんなことはまず無理である。必ず返ってきたボールに対しての処理が必要になってくる。高校生などを指導していると、複雑なサーブでエースを取って得点を重ねるのが得意な選手に会うことがある。しかしそういった選手によくあるのが、そのサーブを返されたときに何も出来ないという事態だ。
強烈な回転をかけていれば、当然その回転が残って返ってくるので、3球目攻撃もそれを加味して考えなければならない。ふわっと浮いて返ってくれば、タイミングを取って、しっかりと踏み込んで強打しないといけない。そういったことが出来ないのだ。
なので、新しいサーブを覚えた際は、必ず「どういったレシーブが返ってきやすいのか」を想定して、それに基づいた3球目攻撃までをセットで組み立てていこう。
たとえば筆者のケースであれば、フォア前へ横下回転のYGサーブをよく出す。このとき私は、
・バックへのツッツキ8割
・フォアサイドの厳しいコースへのツッツキ2割
のレシーブが返ってくることを想定して待っている。やや台の真ん中近くで平行足で構えて、3球目はバックハンドドライブで狙っている。フォアサイドの厳しいコースへツッツキが来た場合は、打点を落としていいので、ストレートやミドルを狙ってループドライブでしっかりとつなぐ。
経験上、フリックをされることはほとんどないので、台から距離を取って待つ必要もないし、ストップも滅多にこないので、台上を警戒することもない。ほぼバックへのツッツキ待ちしかしてない。
だがしかし、同じフォア前への横下でも、バックサーブで出したときは、フリックをされる確率がかなり上がる。その理由は、おそらくバックサーブで構えた時点で相手はフォア側を警戒することが考えられるし、もしかしたらYGサーブのときよりも若干浮いてしまいがちなのかもしれない。なので、バックサーブで出すときはやや台から距離を取ってフリックにも備える待ち方をしている。
こういったように、自分のサーブの性質を見極めて、どういうレシーブが返ってきやすいのか、ということを常に想定する必要がある。その為には試合の中で多く使って、相手の反応をちゃんと頭にデータとして蓄積しておくことだ。そうしていけば、サーブを「ただ出すだけ」ではなく、3球目攻撃とのセットで考えられるので、試合の進め方がぐっとラクになるだろう。
>>下回転サーブの最適なレシーブとは?トップ選手に学ぶレシーブ講座
まとめ
2回に渡ってサーブ練習のやり方・考え方をお送りした。おそらく社会人の選手などは、筆者も含めサーブ練習を怠りがちな傾向にあるのではないだろうか。監督に与えられる練習メニューがあるわけでもないし、やはり一人で黙々とサーブ練習をするよりも、相手とラリーをする方が楽しい。しかし、なかなか時間が取れない社会人選手こそ、しっかりと取り組むべきであると考える。
それにサーブ練習は、相手がいなくとも、たった1人で出来るのだ。ぜひ時間を有効的に活用し、練習のなかに組み込んで欲しい。
そしてやるのならば、ただ漫然とやるのではなく、しっかりと試合の中で使うことを想定した、「生きたサーブ練習」をすることをぜひ心がけてみると、より実力のアップに繋がるだろう。