卓球技術・コツ 【初心者必見】YGサーブの出し方とコツ|卓球基本技術レッスン
2019.04.02
卓球ライター若槻軸足がお届けする「頭で勝つ!卓球戦術」
このシリーズでは初心者向けに卓球の基本的な技術についての説明と、そのやり方についてお話していく。実際のプレイヤーはもちろん、テレビなどで観戦される方にとっても、頻繁に出てくる用語が登場するので、知っているとより卓球の面白さが分かるだろう。ぜひ参考にしていただきたい。
(特に記述がない限り、右利きのシェークハンドの選手を想定している)
今回取り上げるのはYGサーブだ。YGはヤングジェネレーションの略で、1990年代に欧州の若い世代(Young Generation)が使っていたことが名前の由来であるため、古くからあるサービスではあるが、チキータなどと同様に、2010年代から多くの選手が取り入れ始めた比較的“若い”技術である。
YGサーブの特徴
YGサーブは、バックサーブや巻き込みサーブと同様に、ボールに左回転(=逆横回転)をかけるサーブである。しかしその出し方は独特だ。フォアサーブの構えから、手首を一旦内側に思い切り曲げて、そこから元に戻す動きを利用して回転をかけるのだ。
出し方が特殊なことからか、トップ選手でも全くYGを出さないという選手は少なくない。中国の馬龍選手などは全くYGのイメージがないし、丹羽選手もYGは使わない。女子でYGサーブを使う選手も滅多に見かけない。
そういったYGサーブを使わない選手は、同じ回転である巻き込みサーブをよく使う傾向にあるようだ。逆に、YGサーブを主戦力の武器としている、張継科選手、樊振東選手などは、巻き込みサーブはほとんど使うことがない。いわば、YG派か、巻き込み派かに別れるといったようなイメージか。
そんな中、やはり器用な水谷選手は両方をまんべんなく使っている。
YGサーブの出し方
握り方・構え方
では実際にYGサーブの出し方について解説していこう。まず、通常のフォアサーブのときと同様に、シェークハンドグリップの指を外して、人差し指と親指で挟み込むようにラケットを握る。その時にあらかじめ手首をやや内側に曲げておくとこの後のスイングがやりやすい。と同時に、脇も少し開いておくとよりスムーズになる。イメージとしては、ラケットのヘッドを少し相手方向に向けておくような感じだ。
撮影:ラリーズ編集部
回転のかけ方
そして、ボールをトスするタイミングで、さらに脇を開いて肘を大きく突き出そう。志村けんの「アイーン」のようなイメージだ。それと同時に手首を最大限まで内側に曲げる。そして、曲げた手首を思い切り元に戻す。その時のスイングでボールを打球し、左横回転をかけるのだ。
撮影:ラリーズ編集部
意識するポイント
正直、初心者にはかなり難しいだろう。YGサーブを練習したことがある人は分かると思うが、まずラケットにボールを当てるのが難しいのだ。スイングが複雑であるがゆえに、どうしても空振りが多くなってしまう。
そんな人は、まずは正面を向いて練習することからオススメしたい。正面を向いて、ラケットを左から右へスイングし、フォア面で打球するのだ。いわば、バックサーブをフォア面で出す感じである。これでまず、ボールに当てる感覚を掴む。掴めたら今度は、ラバーに食い込ませて回転をかける感覚を掴む。そこまでいったら、徐々に体を横向きにしていこう。
YGサーブのメリット
一番のメリットは、やはり「YGを受け慣れていない選手が多い」ということだろう。特に40代以降のベテラン選手にはそれが顕著に表れる。
さらに、YGサーブでの横上回転、横下回転、といった変化を判断するのは、初~中級者にとってはとても難しい。
YGサーブのデメリット
非常に強力なサーブではあるが、もちろんデメリットも存在する。ここでは、同じ回転である巻き込みサーブとの比較で考えていこう。YGサーブは、出せる球種やコースがある程度限定される。例えば、巻き込みサーブでは、寸前まで巻き込みのそぶりを見せておいて、打球の直前でスイングを変えて右回転のサーブにする、といったことが可能だ。しかしYGではそれは難しい。
さらにスピードのあるロングサーブをYGで出すことも結構難しい。相当な練習が必要になるのは間違いないだろう。そして、コースも相手のバック側に出すのと、フォア側に出すのでは各段に難易度が上がるだろう。このあたりは、巻き込みサーブであれば柔軟にコースやスピードの出し分けが出来る。故に、相手に的をしぼらせないような戦術を立てることが出来る。
YGの構えに入った瞬間、大方の相手は「バック前に左回転だな」という待ちが
当たってしまうことになるのだ。逆に言えば、「フォア側へスピードのあるYGのロングサーブ」といった武器を身に付けられれば、とても有効なことこの上なしである。
まとめ
近年の卓球界で存在感を増しているYGサーブ。習得にはやや時間が必要になるだろう。しかし強力なサーブであることは間違いない。張本選手も以前は全くYGが出せなかったが、猛練習を積んだ結果、今では彼のエースサーブとなっている。
YGサーブは、手首が柔らかくて器用な選手に向いている。特に、チキータが得意な選手などにはぴったりであろう。YGサーブは、「サーブ時に行うフォア面でのチキータ」と考えることも出来る。チキータを得意としている選手はぜひ挑戦してほしい。
必ずしもYGをマスターする必要はない。しかし、チャレンジしておいて損はない。
見た目的にも華やかさがあるので、一通りの基本技術を身に付けた選手は、ぜひ真剣にYGに取り組む時間を作ってみてはいかがだろうか。