【卓球】セルロイドからプラスチックへ。プラスチックボールの特徴とは? | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

卓球技術・コツ 【卓球】セルロイドからプラスチックへ。プラスチックボールの特徴とは?

2020.06.30

文:ラリーズ編集部

卓球の道具といえば、ラケットの他にあげられるのがボールです。以前はセルロイド製のボールが使用されていましたが、現在はプラスチックボールが主流です。今回は、プラスチックボールが持つ特徴や、セルロイドボールとプラスチックボールの違いなどを具体的にご紹介します。

卓球のボールはセルロイドからプラスチックへ

上述したように、以前の卓球の試合ではセルロイドボールがよく使用されていました。プラスチックボールへと移り変わったのには、以下のような理由があげられます。

耐久性の低さ

セルロイドボールには、可燃性が高く燃えやすいという特徴があります。そのため、製造工程などで摩擦を受けると発火しやすいというリスクが問題視されていました。また、光などで劣化しやすいという耐久性の低さも問題でした。他にも、セルロイドボールにはつなぎ目があるため割れやすいという特徴があり、これも耐久性の低さに拍車をかけていました。

運送の制限

セルロイドには、可燃性が高いという特徴があります。そのため、飛行機による運送ができない可能性が考えられていました。卓球のボールがプラスチック製のものに変更されたのは、こうした問題をカバーするためでもあったのです。

素材の供給不足

セルロイドは天然素材であるため、供給が不安定でした。そのため、低品質なものが流通しやすいという背景もありました。この問題を解消するため、セルロイドに代わってプラスチックが卓球ボールの材質として使用されるようになりました。

試合スピードの関係

プラスチックボールは、セルロイドボールに比べて重いという特徴があります。そのため、「卓球の試合スピードを調整し、ラリーが長く続くようにする」という役割も果たしています。

ボールの材質がセルロイドからプラスチックへ移り変わった背景には、こうした理由があります。「劣化の速さ」や「素材の供給不足」という弱点をカバーし、試合ペースを調節するのに一役買っているといえるのです。但し、割れやすさの部分においてはプラスチックボールでも課題になっております。日々、技術の向上により割れにくくなってきているものの、十分な耐久性ではないのが現状です。

比較からみる、卓球プラスチックボールの特徴

卓球で使用されるプラスチックボールは、大きさや球離れのよさ、硬さなどの特徴がセルロイドボールと異なります。以下では、プラスチックボールの特徴をセルロイドボールと比較しながらご紹介します。

大きさ

セルロイドボールとプラスチックボールでは、プラスチックボールのほうが大きめです。

球離れのよさ

ここでいう「球離れのよさ」とはスピード感のことを指します。プラスチックボールはセルロイドボールに比べて重量がありますが、その反面球離れがよいのが特徴です。

球の重さ

プラスチックボールには重量があるため、球威が出しやすいという特徴があります。

ボールの軌道

プラスチックボールは弧線を描く傾向にあるのに対し、セルロイドボールは直線的な軌道になる傾向があります。

回転量

プラスチックボールは、セルロイドボールと比べると回転量が少ないという特徴があります。

実際の使用感としては、「スピードや回転量が落ち着き、ラリーが長続きしやすい」「メーカーによって打球感が違う」という声もあがっています。

また、「サービスエースが取りにくくなった」「回転量が落ちてしまい、カットで点が取れにくくなった」といった戦術への影響に関するコメントも聞かれます。「カット」とは、ラケットを上から下へ大きく振り、ボールに強い下回転をかける技を指します。ボールに回転をかけることによって、相手の攻撃を止めたり、ミスを誘発したりすることができます。

ボールの素材がプラスチックに変わってからは回転量が落ちたため、以前のように強力な回転をかけることが難しくなりました。回転力が落ちた要因には、ボールの質感とラケットの摩擦にあります。以前使用されていたセルロイドボールの表面には細かい凹凸があり、ラケットとの摩擦量が多いという特徴がありました。この摩擦量により、強力な回転がかかりやすかったのです。対するプラスチックは表面がツルツルとしており、ラケットとの摩擦が少ないため回転がかかりにくくなりました。

そのため、カットを得意スタイルとする「カットマン」タイプのプレーヤーにとって、この変化は痛手だといわれています。

その一方で、ボールにトップスピンをかけて打つテクニック「ドライブ」が打ちやすくなったという声があがっています。軽いフォア打ちや高い弧線のドライブが打ちやすくなり、スピード感も出しやすくなったなどと報告されています。

プレースタイルにも影響を与える卓球ボール

卓球ボールの材質は、実際の使用感だけでなく選手のプレースタイルにも大きな影響を与えています。大きさや重さ、耐久力などさまざまな点が変化したプラスチックボールは、今後の卓球に大きな変化をもたらすと考えられます。

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