石川県金沢市で、卓球専門店の腕利きスタッフとして働く西東輝(さいとうあきら)さんの元には、日々、北信越一帯の卓球部顧問の先生からの相談が舞い込んできます。
西東さん自身、大学時代に全日本学生選手権ダブルス3位に入るほどのプレーヤーでしたが、それ以上に、実に幅広い層への技術指導が深いことが特徴の指導者です。
今日もお願いします。(編集:槌谷昭人)
写真:金沢市の卓球専門店で接客する西東輝さん/提供:本人
質問
写真:質問「卓球ノートには何を書けばいい?」/作成:ラリーズ編集部
卓球ノートには何を書けばいい?
西東さんの回答
写真:西東さんの回答「悔しい気持ち、愚痴を書くべきです」/作成:ラリーズ編集部
もちろん、練習メニューや試合結果、対戦相手の弱点、今の課題などを書くことも大切です。
しかし、私は「悔しい気持ち、愚痴」を書くべきだと思います。
そして大切なことは、今後の人生を生きていく上で「ノートに1ページ書く習慣」を身につけることです。
写真:西東輝さんの過去の卓球ノート/提供:本人
それぞれの時代に書いてきた内容
私は中学校1年生から現在30歳に至るまで、卓球ノートや日誌を書いてきました。
中学生のときは「1日のタイムスケジュール」「練習メニュー」「3行の感想文」「ランニング距離」を書く決まりでした。
写真:実践学園中学校時代の卓球ノートの書き方/提供:本人
高校のときは、毎日ではなく思い立った時に「自分の技術に対して言葉で説明できるようにしよう」と解説を書いていました。
大学生のときは日本代表を目指していたので「日本の歴史」「卓球の歴史」「日誌を英文で」「感想」のいずれか一つを1日2ページを日課としていました。
写真:西東輝さんの大学時代の卓球ノート/提供:本人
指導者になってからは「選手に対しての思いや、それをどう伝えればよかったかという自分への反省点、次はこんなフレーズを使ってみる」を書くようになりました。
卓球専門ショップの営業マンとしては「その日あった顧客との会話やキーフレーズ、どんなドラマをみて心が洗われたか、どんな曲を聴いてモチベーションが上がったか」を書き続けています。
生徒から頂いた些細なノートもファイリングしています。
写真:生徒からもらったノートもファイリングしている西東輝さんの卓球ノート/提供:本人
悔しさこそ頑張るエネルギー
ただ、それぞれの時期のノートを振り返ってみて思うのは「物理的なものよりも、当時の愚痴や悔しかったこと」こそ意味があり、今でも苦しくなったときに「10年前の苦しかった自分のために頑張ろう」と思いを新たにすることができる、ということです。
写真:西東輝さんの過去の卓球ノート/提供:本人
「卓球ノートだから書けること」
もう一つ大切なことは、卓球ノートには、生徒から「コーチにしか言えないけれど」という内容もあるということです。
人に馬鹿にされてしまうんじゃないかと不安に思っている大きな夢だったり、人間関係の悩みなどです。
ケース・バイ・ケースですが、私は敢えてスルーすることもあります。
子供たちからの相談ごとに敏感に反応してしまい、事を大きくしてしまって子どもの意に反してしまった反省もあります。
「親に言うほど大げさなことではないけれど、毎日の卓球ノートには書いておきたい」という、子どもたちの素直な気持ちを感じることが多くありました。
まずは卓球ノートに、生徒が自由に「率直な感想」を書くところから始めてみるのも良いかもしれません。