卓球×エンタメ 【大会ルポ】年収2000万プレーヤーも誕生 「世界一おバカな球技・ビアポン」とは??
2017.11.01
「世界一おバカな球技」と呼ばれるスポーツ「ビアポン」をご存知だろうか?卓球台を縦に半分に切ったような細長い台を挟んで向かい合い、10個のカップに向かってピンポン玉を投げ入れるシンプルな競技だ。「ビアポン」は「Beer Pong」という名前の通り、「酒場の遊び」を連想する読者も多いだろう。だが実際に大会に参加してみると球技の実態は「おバカ」どころか「真剣そのもの」。今回は筆者自らビアポンの大会に参加、その奥深さを体験してきた。
(取材・文・撮影 武田鼎=ラリーズ編集部)
10月21日、Cafe&Dining ballo ballo 虎ノ門店で「2017年第5回ビアポンの日~ハロウィンカップ~」が開催された。台風直撃の大雨にもかかわらず参加者は20人以上と盛況だ。当日は「一般社団法人日本ビアポン協会」によって主催された。そう、ビアポンには協会も存在しているのだ(一般社団法人日本ビアポン協会公式サイト(https://www.bpfj.org/))。
プロも存在、世界で流行るビアポン
全日本ビアポン協会の諏訪秀一理事長に話を聞くと「日本どころかアジア協会もありますし、世界協会もあります」とのこと。思った以上に世界各地で流行っているようだ。「特に強いのがアメリカ。世界大会もラスベガスで開かれています」とのこと。驚くべきことに「すでにプロビアポンプレーヤーで2000万円以上の収入を得ている人もいます。アジアだと香港・日本・フィリピンなんかが強豪国ですね」という。世界レベルになればビアポンだけで食っていける。なんとも夢のある話だ。
この日は「ハロウィンカップ」というだけあって、参加者の中には仮装をして訪れる人の姿もあった。中でも筆者の注目は日本代表と元アジアチャンピオンの大会参加だ。日本代表は山中雄大さん、しかも現役東大生だ。この日は日本代表のユニフォームで参戦。香港出身ビアポンプロのケネフさんも訪れた。
ここで改めてビアポンのルールの説明をしよう。冒頭にも説明したとおり、約2.4m×幅60cmの台に向い合って10個のカップに玉を投げ込み合っていく。シングルスであれば、1人が2球投げ、ダブルスであれば1チーム2球をペアごとに投げ込む。投げ方はノーバウンドでもワンバウンドでもOK。とにかく10個先に投げ込みきった方が勝ちだ。ちなみにカップは1回入れられるごとに無くなっていくので、後半になるにつれ難易度は上がっていく。
(詳しくは:https://www.bpfj.org/about 公式ルールブック)
シンプルにして意外に奥深いビアポン。その歴史は「数十年前にアメリカの大学生が始めたんです。もともとコップの中にはビールが入れられていて、ボールを投げ込まれたら飲まなきゃいけない、というルールだったのですが、今では“飲み”の部分はほとんどなくなってスポーツとして受け入れられています」と諏訪会長は語る。大会のオフィシャルルールとしてビールではなくコップには水が入れられている。
意外に難しい!ビアポンの奥深さ
「ともかく、やってみるのが一番です」と現役日本代表の山中さんに促され、さっそく練習で投球してみるが、これが異常に難しい。そもそも10個のカップにかすりもしない。たかが2.4mの距離、40mmのボールが満足に投げられない。この感覚は卓球というよりもダーツやゴルフに近いだろう。毎回同じ動きで機械のように正確にボールを射出しなければならない。山中さんは「ダーツだとまっすぐ飛びすぎちゃう。それだとコップのエッジに弾かれちゃうからもっと山なりにフワリと投げ込むのがコツ」と教えてくれた。
香港出身ビアポンプロのケネフさんも山なりの軌道で、いとも簡単にコップの中に投げ込んでいく。参加者の肩が温まったところで開会だ。今大会はダブルスと新人大会にエントリー。初心者でも1回の大会で最低5、6試合は体験できる。最後の一つのカップに入らず延々と試合が長引いてしまうこともあるため、今回は1試合8分以内というルールで行われる。
筆者も意気込んで参加したものの、ダブルスはあえなく敗退。その後新人トーナメントでは3試合をこなしたものの、2勝1敗というなんとも微妙な結果に終わった。
ダブルスの優勝は 鴻巣雄介さん、柴田優さんペアだった。柴田さんに話を聞くと「多くのプレーヤーが終盤になるにつれて肩が上がらなくなるんで狙いが定まらなくなります。勝つならそこが狙い目ですね」とのこと。次回は12月10日に2017日本ビアポンチャンピオンシップが開催される。
一般社団法人日本ビアポン協会は競技普及のために毎週水曜日に定期練習会を開催している。都内では数軒ほどビアポンが楽しめる場所があり、毎週集って練習に精を出している。ぜひ一度体験してみるのもいいだろう。