お笑い界の隠れた名プレーヤーを発掘する「芸人卓球2019」で粒高ラバーのバイク川崎バイクが大活躍 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:バイク川崎バイク/撮影:寺西ジャジューカ

卓球×エンタメ お笑い界の隠れた名プレーヤーを発掘する「芸人卓球2019」で粒高ラバーのバイク川崎バイクが大活躍

2019.04.15

文:寺西ジャジューカ

4月14日、北沢タウンホール(東京都世田谷区)にて「芸人卓球2019」なるイベントが開催された。卓球とお笑いを愛する40人の芸人が集まり、誰が一番卓球が強く、そして面白いのかを決める事務所対抗の大会である。端的に言うと、芸人限定の卓球トーナメントだ。

参加したのは、以下の8チーム。
・プロダクション人力舎
・ワタナベエンターテインメント
・松竹芸能
・マセキ芸能社
・浅井企画
・サンミュージックプロダクション
・よしもとクリエイティブ・エージェンシー
・連合軍(バラバラの事務所から精鋭を集めたチーム)

1回戦は4試合行われる。各試合でシングルとダブルスのゲームが交互に実施され、1ゲームで7ポイント先取したら勝利。先に3ゲームを取った事務所が次に勝ち進めるというシステムだ。

伊藤美誠を意識したプレーヤーが登場

卓球に覚えのある芸人がいれば、「ラケットに久々に触った」という初心者のようなプレーヤーも参加した今大会。卓球は間口の広いスポーツだ。競技の性格が如実に反映され、幅広い面子が集まった。

1回戦では人力舎とワタナベが対決。ワタナベのリーダー・バッドナイス常田を7―1で破った人力車のザ・マミィ 酒井は実力者だった。


写真:ザ・マミィ 酒井/撮影:寺西ジャジューカ

下回転のサーブが上手く、且つ、鋭いスマッシュを持ち合わせている酒井。卓球歴は中学3年間、成績は区大会ベスト8、得意技として「つっつき攻撃」を挙げる彼は本物だった。試合後、圧倒された常田は「もう当たりたくない」と思わず弱音を吐露したほどである。

同じく1回戦では浅井企画とサンミュージックが対戦しており、中でもサニーテンポ小島聖吾(浅井企画)vsママタルト粕谷明弘(サンミュージック)の一戦は出色だった。


写真:ママタルト粕谷明弘/撮影:寺西ジャジューカ

この出で立ちで登場した粕谷は、よりにもよって「こんにちは、伊藤美誠です」と発言。伊藤を名乗るだけに確かに動きは悪くなかったが、すぐに息切れし、スタミナ不足で自滅してしまった。この試合は小島が7―2で粕谷を下している。

前評判が高かったのは、よしもとチームのリーダー・バイク川崎バイクだ。お笑い界でも屈指の卓球上級者として知られ、芸能界卓球大会で銅メダルを獲得したこともある本格派。なんと、三遊亭小遊三師匠に11―6で勝利したこともあるという。今回の川崎の意気込みは相当だった。
「僕らにできることは、ボールを! 確実に! ブチ込むだけ! BKB、ヒィ~ヤッ!」(川崎)
1回戦でよしもとは連合軍チームと対決しており、川崎は連合軍リーダーのザ・ギース高佐と対戦。いわば、リーダー対決だ。この試合に川崎は粒高ラバーのマイラケットを持参した。


写真:バイク川崎バイク/撮影:寺西ジャジューカ

試合前は四方に礼をし、途中でサングラスをメガネに着用し直すなど、川崎の卓球への愚直さがいい。試合が始まると、相手のミスを誘う玄人好みのプレースタイルで主導権を掌握した川崎は、函館市団体3位の実績を持つ高佐に圧勝した。

巨漢なのに動ける逸材ペアが出現

準決勝に進出したのは、ワタナベ、マセキ、浅井、よしもとの4事務所。

準決勝第1試合はワタナベとマセキの対決である。気を吐いたのは新作のハーモニカ たんぼ(ワタナベ)とエル・カブキ エル上田(マセキ)の2人だった。エル上田は球が速く、無回転の球を打つ曲者だ。


写真:エル・カブキ エル上田/撮影:寺西ジャジューカ

一方のたんぼは佐賀県神崎郡地区予選個人優勝(二連覇)という輝かしい実績を持つ猛者。


写真:ハーモニカ たんぼ/撮影:寺西ジャジューカ

試合は我慢比べのようなラリーが続き、ポイントは一進一退。しかも、両者ともに鋭いスマッシュを持っており、双方が積極的なプレーを見せた。デュースにまで突入したこの試合は、たんぼが競り勝って勝利をものにしている。ワタナベは決勝に進出だ。

準決勝第2試合は、浅井企画とよしもとが相まみえた。ここではニュークレープ リーダー&ジュウジマル 橋口ひとしvs空気階段 もぐら&鬼越トマホーク 金ちゃんのダブルスが好試合だった。特に注目はよしもとチーム。


写真:空気階段 もぐら(左)、鬼越トマホーク 金ちゃん(右)/寺西ジャジューカ

もぐらも金ちゃんもかなりの巨漢だ。見るからにフットワークは重そう。……と思いきや、2人とも動くのだ。彼らは、いわゆる“動けるデブ”だった。前に後ろに、右に左に、縦横無尽に動き回る。どんなボールにも追い付き、ことごとく打ち返す身体能力の高さ。結果、このゲームはもぐら&金ちゃんペアが取り、よしもとチームが決勝進出を決めた。

前評判通りの活躍を見せたバイク川崎バイク

決勝戦は、ワタナベエンターテイメントvsよしもとクリエイティブ・エージェンシーという顔合わせだ。

両チームには不動のエースがいる。ハーモニカ たんぼ(ワタナベ)とバイク川崎バイク(よしもと)の2人である。ワタナベとよしもとがそれぞれ1勝をし、その状況の中で両者は相まみえた。序盤はたんぼがポイントで先行し、後から川崎が盛り返す。実力伯仲で試合は進む。


写真:ハーモニカ たんぼ/撮影:寺西ジャジューカ

延々に続くかのようなラリーが展開した後、いきなり鋭いスマッシュを放つたんぼ。そのままたんぼが川崎を振り切り、このシングルは7―4でたんぼが勝利した。

その後、よしもとチームがダブルスで取り返し、ワタナベとよしもとは2―2の状況に。もつれにもつれた両事務所は、みたびのシングルで決着を付ける格好だ。ここで登場したのは、またしてもたんぼと川崎だった。
「さっき負けてもこれで勝って優勝したら、めちゃめちゃカッコええんちゃうん!?」(川崎)
先の試合の反省ポイントを川崎は早くも修正していた。今回は積極的に試合を進めるのだ。結果、川崎が4―7でたんぼにリベンジを果たした!


写真:ハーモニカ たんぼ(左)、バイク川崎バイク(右)/撮影:寺西ジャジューカ

「芸人卓球2019」で優勝を掴み取ったのは、バイク川崎バイク率いるよしもとクリエイティブ・エージェンシーチームだ。


写真:(左から)バイク川崎バイク、鬼越トマホーク 金ちゃん、やさしいず 佐伯、空気階段 もぐら/撮影:寺西ジャジューカ

ちなみに、大会MVPを獲得したのは鬼越トマホークの金ちゃん。鋭いスマッシュと俊敏な動きが評価されての受賞である。

事務所の伝統と誇りを懸けた「芸人卓球2019」は、意外な試合巧者発見の場になった。是非とも2回、3回と恒例化し、お笑い界と卓球界の架け橋として機能していただきたいと願うばかりである。