「子どもの健康を守りたい」ネスレが卓球プログラムを展開する理由


世界最大の食品飲料会社であるネスレ(本社:スイス)は昨年11月、今年3月と都内で「ヘルシーキッズ健康卓球」の体験授業を行った。

なぜ食品飲料会社が今回のような卓球授業を開いたのか。今や世界191ヵ国に拠点を持つグローバルカンパニーである同社のクリス・ホグ氏(アジア・オセアニア・サハラ以南アフリカ地域 コーポレート コミュニケーション統括責任者)にインタビューし、その真意を聞いた。

ホグ氏は開口一番、こう語る。「高級キットカットやネスカフェ アンバサダーなどイノベーティブな商品・サービスが日本から生まれている。日本のマーケットはその規模以上にネスレにとって非常に重要」。そしてこのマーケットでも力を入れなければならない問題がある。それが「子どもたちの健康」だ。今、ネスレは世界的に「子どもたちの健康問題」に力を入れて取り組んでいる。無論、日本もその対象だ。

世界の子どもたちがピンチ?

「よく運動し、栄養の取れた食生活を送る」

こんなごく当たり前とも思えることを実行できない子どもたちが世界中に沢山いることをご存知だろうか。

「栄養失調」や「肥満」など国や地域によって様々な子どもの健康に関する課題がある。

ネスレは「子どもの健康問題」というグローバルな課題に対し、2009年に「ネスレヘルシーキッズ・グローバルプログラム」を立ち上げた。2017年単年で見ても、世界84カ国でのべ830万人の就学児童に、「栄養と健康の知識を増やしてもらい、しっかりと身体を動かすことに励んでもらうこと」を考え、活動を展開している。

日本ではネスレ日本株式会社(本社:兵庫県神戸市 代表取締役社長兼CEO 高岡浩三)が日本独自の様々なプログラムを開発し、日本の子どもたちの健康に関する課題を解決すべく活動を続けている。

その1つのコンテンツが「ヘルシーキッズ健康卓球」である。

ヘルシーキッズ健康卓球は、ネスレ独自の卓球と食育を組み合わせたゲームだ。子どもたちはゲームを通して、運動をしながら自然と食への関心を育むプログラム構成となっており、全国の小学校に紹介され採用されている。

日本の子どもたちの健康に関する課題とは

日本では一部児童の肥満や栄養失調といった課題よりも「子どもたちの健康への関心の低さが一番の課題」と語るのはネスレ日本で本プログラムの統括責任者である嘉納未來執行役員。

“運動時間は体育の授業やクラブ活動で確保され、栄養バランスは給食によって補われる”

この整いすぎた環境が逆に「からだを動かすこと」や「食べること」に対する無関心を生み出しているのだという。幼少期に培われた運動や健康への無関心が、成人後の不健康な食生活やライフスタイルを招くことは想像に難くないだろう。

そこでネスレは日本の子どもたちが食事に興味を持ち、運動を楽しむ習慣をつけるべく、卓球で日本を元気にする会と協働して「ヘルシーキッズ健康卓球」を開発した。

ヘルシーキッズ健康卓球を代表するプログラムの「まとあてピンポン」。写真は子どもたちにお手本を見せるパラ卓球の岩渕幸洋。

プログラムを代表するゲーム「まとあてピンポン」では、その名の通り、食べ物のイラストが描かれた的を子どもたちがスマッシュで打ち抜く。カルシウムが多い食品が書かれた的に当てると高得点となり、栄養素ごとに色分けされた3色の的を揃えるとボーナスが加算されるといったルールがある。子どもたちは「カルシウムが多い10点の牛乳を狙おう」と考え、卓球で体を動かしながら、自然と栄養バランスの良い食事について考える機会となる。

まとあてピンポンでは食品の栄養価の高さとポイントがリンクしている

卓球が日本人の健康増進に合う理由とは?

なぜ、ネスレは日本の子どもたちへのアプローチとして「卓球」を選んだのか。

「『怪我が少なく子どもでも安全に取り組みやすい』という点に加え、『多くの人が簡単楽しめる手軽さ』が卓球を選んだ理由」「子どもからお年寄りまで世代を越えたコミュニティでも活用できるプログラムにしたい」(ネスレ日本・嘉納氏)との説明の通り、子どもに広めるために大人も参加しやすいものにするという工夫がなされている。

「日本では卓球が身近で人気のあるスポーツであること。これが大きい。他の地域にも共有したい」と語るネスレ本社のホグ氏。卓球が人気スポーツである アジアやヨーロッパ各国での展開にも可能性を感じているとのことだ。

日本発の「ヘルシーキッズ健康卓球」がグローバルに展開される日はそう遠くないかもしれない。

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文・写真:赤羽ひな(ラリーズ編集部)

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