チェコスロバキアの芸術家ユリアス・コラーが卓球を通して問いかけたメッセージとは?


文:座間辰弘(ラリーズ編集部)

東京藝術大学(上野キャンパス)のアーツ・アンド・サイエンス・ラボで「ないようで、あるような」展が11月12日まで開催された。

この展示は現在休館改修中の東京都現代美術館(MOT)とパリにある芸術財団、カディスト・アート・ファウンデーションとの共同企画によるものだったが、目玉のひとつとして、実は「卓球」に関する展示がなされると聞いて現地に足を運んだ。

以下が展示物の一例である。




ユリアス・コラー氏の記録資料

このインスタレーションを制作したユリアス・コラー氏は、1960年代に東ヨーロッパのアーティストとして活躍し、卓球やテニスをよくプレーしていた。そしてコラー氏は、ただ卓球をプレーするだけでなく「参加型芸術」として卓球を見つめ、行き交うボールそのものを、民主主義的なコミュニケーションや社会的相互作用の象徴であると考えた。

卓球は対戦相手とのラリーを通して相手の性格や感情、考え方が伝わってくるものだ。ユリアス・コラー氏も、卓球を通してより異なる立場の人間同士の理解が進んで欲しいと言う願いをこの展示にこめていたのかも知れない。

先日、ラリーズではロンドンで開催された華やかなアートイベントについて紹介したが、今回の卓球×アートの試みは見た目の華やかさよりも、卓球をプレーすることを通して鑑賞者に考えさせるための展示となっていた。鏡に向かってネットの張られた卓球台が設置されており、実際に壁打ちのような形で1人でも卓球を行うことが出来る。

タイトル「ピンポン文化的状況」。卓球台の上にラケットとボールが置いてある

卓球は競技スポーツとしてだけではなく、人々の生活に溶け込んでコミュニケーションツールとしての機能を担ってきた歴史がある。アートの世界に卓球が登場するとき、卓球の新たな側面が垣間見えて面白いと思うのは私だけだろうか。今後も折に触れて、卓球×アートの世界に迫っていきたい。

本イベント関連サイト(外部リンク)

http://ga.geidai.ac.jp/2017/10/06/mot_satellite/

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