卓球動画 【卓球動画解説】及川 瑞基(専修大)vs 一ノ瀬 拓巳(中央大)|今日の1試合
2020.03.16
文:ラリーズ編集部 解説:板垣孝司
福原愛、水谷隼、丹羽孝希ら日本のトップ選手を輩出し一時代を築いた青森山田中・高を14年間に渡って指導した名将・板垣孝司氏。
その板垣氏がトップ選手から年代別、ジュニア選手まで幅広い試合動画について両選手の特徴、勝敗を分けたポイントを語る。
今回は2019年秋季関東学生卓球リーグ戦 男子1部の「及川 瑞基(専修大)vs 一ノ瀬 拓巳(中央大)」。
このページの目次
両選手の特徴
元全日本ジュニアチャンピオン。粘り強いフットワーク、打球点を変えながら相手を振り回すバックハンドなど、死角のない卓球スタイルの及川選手。
茨城県日立市から青森山田中学校に入学した当時は体も小さく、同級生(三部・及川・高橋)の中で一人だけ全国大会での成績が出なかった一ノ瀬選手ですが、黙々と練習を重ね高校3年生のインターハイでは団体優勝・シングルスでベスト8と活躍してくれました。
そして大学進学後はドイツでプレーしたり単身スペインリーグに参加するなど、自分の教え子ながら「一ノ瀬にこんなに行動力があったのか」と感心しています。打球点の速いプレーが信条ながら、大きなラリーでも戦えるようになってきてスケールが大きくなってきました。
見どころ
青森山田中学〜高校を6年間ともに過ごした選手です。実績的には及川選手が有利かと思いますが、一ノ瀬選手も逆に苦手意識がなく、簡単に及川選手の勝利とはいかない試合になるはずです。
勝負を分けたこの一本
※ページトップと同一の試合動画について、再生開始箇所を調整してお送りします。
第4ゲーム6対2の場面での及川選手のサーブ3球目でのチキータ狙いです。
予想通りゲームカウント1対1となった第3ゲームで及川選手はYGサーブに切り替え、一ノ瀬選手の待ちを外しながら試合を進めこのゲームを取りました。後がなくなった一ノ瀬選手は第4ゲーム前半でこのYGサーブに対し思い切ったチキーターレシーブで対応し大量にリードします。
そしてこの場面から及川選手はYGサーブをやめ、通常の斜め下回転と縦回転サーブから一ノ瀬選手が持ち上げ気味になったチキータレシーブを回り込んで狙っていきます。サーブを変えながら最後に得点できるような展開を作った及川選手の実戦での引き出しの多さが勝負のポイントだったと思います。
板垣’s EYE
及川選手にはブンデスリーグでの試合を通しながら様々な試合のやり方をアドバイスしています。相手の苦手なサーブを軸に、慣れられてきたら一度別なサーブに切り替え、そして最終的にはどのサーブで勝負をかけるか。
そのやり方を数多くの実戦の中で経験しているので、追い込まれていそうな雰囲気はありますが、最終的に勝ち試合に持っていける戦い方の幅の広さが及川選手にはあり、それが卓球の試合では最も重要になってきます。
一ノ瀬選手は本当に強くなりましたね。全日本学生選手権2連覇の及川選手をここまで追い詰めることができるようになったのは、一ノ瀬選手の卓球に対する真摯な姿勢の賜物だと思います。
ただ、怪我が多いと聞いています。卓球選手の資本は自身の体です。計画的な体作りがこれからは重要になってくると思います。一ノ瀬、頑張れ!
試合情報
大会名:2019年 秋季 関東学生卓球リーグ戦 男子1部 第7戦
選手名:及川 瑞基(専修大)vs 一ノ瀬 拓巳(中央大)
試合結果:及川 3-1 一ノ瀬