「卓球で培った経験が社会人生活を変える」立命館大卓球部元主将が実業団ではなく一般就職を選んだワケ | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:インタビューに応える三浦竜樹さん、河野凪紗さん/撮影:ラリーズ編集部

卓球インタビュー 「卓球で培った経験が社会人生活を変える」立命館大卓球部元主将が実業団ではなく一般就職を選んだワケ

2025.12.12

現在はIT企業のコンサルティング職に就く三浦竜樹さん、メーカーの営業職に就く河野凪紗さん。

インカレ2位、全国レベルの実力を持ちながら、一般企業への就職を選んだ2人。

卓球部の同期キャプテンとして学んだことが、現在の仕事にどう活きているのか。

なぜ実業団ではなく民間企業を選んだのか、その選択の本質に迫った。

卓球の実績と現在の仕事


写真:インタビューに応える三浦竜樹さん、河野凪紗さん/撮影:ラリーズ編集部

――まずは、三浦さんと河野さんの簡単な自己紹介をお願いします。
三浦竜樹さん:三浦竜樹です。昨年の3月に立命館大学を卒業して、今は社会人2年目になります。大学時代はキャプテンをさせていただきました。大学時代の戦績としては、シングルスはオール西日本で3位、ダブルスは関西学生選手権で4位、団体戦はインカレ2年連続ベスト8が最高です。
河野凪紗さん:河野凪紗です。同じく立命館大学卒業の社会人2年目で、大学時代は三浦さんと一緒にキャプテンをしていました。大学時代の戦績は、シングルスは関西学生選手権で2年連続ランク入り(ベスト16)、ダブルスは3位、団体戦はインカレ2位になりました。
――ありがとうございます。お二人の現在のお仕事について教えてください。
三浦竜樹さん:私はIT企業でコンサルティング職に就いています。仕事内容としては、社内の申請や手続きといった事務系の手続きを滞りなく進めるための改善提案などです。

これまでは、モビリティ業界のコンタクトセンター構築プロジェクトや、不動産業界のビル新設に向けた新システム導入支援など、さまざまな業界で経験を積んできました。

河野凪紗さん:私はメーカーの営業をしています。IT機器を販売するメーカーで法人営業をやっていて、大企業から中小企業、代理店など、さまざまなお客さまに対して営業を行っています。

1日ずっと外出しているので、まさに皆さんが想像する営業マンという感じですね。

――大学卒業後は実業団に行って卓球を続ける選択肢もあったと思うのですが、一般企業を選んだ理由を教えてください。
三浦竜樹さん:最初は実業団に行って卓球を続けるか、一般企業に行くかでかなり迷いました。というのも、私は大学まで卓球しかやってこなかったので、卓球以外に自分にできることがないと思っていたからです。

ただ、運動能力は年齢とともに落ちていきますし、今よりも卓球が弱くなる可能性もあります。であれば、最初から卓球とは違う分野に進んだほうが将来的な成長が期待できると考えました。


写真:学生時代の三浦さん/撮影:ラリーズ編集部

三浦竜樹さん:あとは、大学時代に怪我が多かったというのも理由の一つです。社会人になっても本気で卓球を続けると、ケアしなければいけない箇所がどんどん増えていきます。そういったことを考えて、卓球の道は一区切りにしようと決めました。
河野凪紗さん:私は「やりたい職種」を重視して就活をしました。営業職を選んだのは、営業がやりたかったというよりも、「人と関わりたい」という軸があったからです。卓球をするか、就職するかも悩んだんですけど、「人生経験として営業はやっておいたほうがいい」と思い、営業職への就職を決めました。

就活の進め方と軸の設定

――就活はいつ頃から始められたのでしょうか?
三浦竜樹さん:大学3年の夏頃から始めました。
河野凪紗さん:私も同じくらいです。立命館のなかでは早かったほうだと思います。


写真:インタビューに答える河野さんと三浦さん/撮影:ラリーズ編集部

――当時の具体的な就活の流れを教えてもらえますか?
河野凪紗さん:まず3年の夏に、自分のやりたいことを書き出してノートに整理する作業を始めました。ただ、私は特にやりたいことがなかったので、まずは自分と向き合うことから始めました。そのなかで、両親に相談したり、先輩に相談したりしながら、自分の興味を徐々に絞っていった感じですね。
――河野さんはどういったことに興味を持たれていたのでしょうか?
河野凪紗さん:私の場合は仕事内容よりも、「人と関われて、社員同士の雰囲気がいい会社に勤めたい」という点が一番の軸でした。なので、業界では絞らず、合同説明会やインターンに何度も足を運んで、実際に会社の方々を見て判断していました。

興味を持った企業を20社ほど見て、そのなかから気になった会社に絞って選考に進んだ感じです。

――ありがとうございます。三浦さんはどうでしょうか?
三浦竜樹さん:私は、「20代のうちに自己成長ができる」「その成長を受け止める評価制度がしっかり整っている」「企業全体として成長している」という3つの軸を持って、就活を進めました。

そのなかでIT業界に絞った理由としては、業界として成長していることと、自分が興味のある業界だったからです。小さい頃から電子機器に興味があって、ゲーミングPCなども持っていたので、自然とIT業界に興味を持つようになった感じですね。

――企業を選ぶ際の決め手は何でしたか?
河野凪紗さん:私は、インターンで早期選考の招待をいただいたことが大きかったです。

でも、最終的な決め手は「人」ですね。その会社のインターンは平日に開催されていたんですが、役職者の方から一般社員の方まで全員がインターンに参加してくださって、気軽に会社に関する質問に答えてくださったんです。平日で、自分の業務もあるなか、そこまで丁寧に対応してくださった会社は他にはなかったので、会社の雰囲気で決めました。

あとは、3回生で就職先を決めれば、4回生では悔いなく卓球に打ち込めるかなと。

三浦竜樹さん:自分の場合は、3つの軸がしっかり網羅できているかを面接や面談を通じて確認しました。その3つがすべて確認できた会社から内定をいただけたので、承諾させていただいた形です。

卓球が就活で活きたこと


写真:学生時代の河野さん/撮影:ラリーズ編集部

――卓球経験はガクチカ(学生時代に力を入れたこと)として就活で活きましたか?
河野凪紗さん:本当に活きました。インターンで体育会系じゃない学生と話したときも、「ガクチカが書けない」とよく言っていました。でも、自分たちはその点で苦労がなかったんです。

特に私はキャプテンもさせていただいたので、ガクチカはすらすら書けました。キャプテンという立場で、インカレ2位という結果から何を学んだかを伝えるために、「周りを見る力」と「最後まで絶対頑張れる力」をアピールしました。

三浦竜樹さん:自分も、ガクチカはスムーズに書けたと思います。卓球は良くも悪くも成績が明確に出るので、その成績に至るまでの過程を言語化できれば、それがそのままガクチカになるんです。

自分が書いたのは「当事者意識」という部分です。スポーツ選手、特に大学生は、自分がアクションを起こさないと成長は見込めません。周りの影響も大事ですが、自分から何かに取り組まないと卓球のスキルも人間的な成長も難しい。その当事者意識を持った取組をしてきたということを、ガクチカには書きました。


写真:インタビューに答える三浦さんと河野さん/撮影:ラリーズ編集部

――選考で落選したこともあったでしょうか?
河野凪紗さん:めっちゃありました。選考は全然落ちます(笑)。

特に、私はガクチカはあっても、それを言語化したり文章にしたりするのに苦労しました。なので、同期同士でガクチカを見せ合って添削し合ったりしていました。

あとは、落ちたときにはメンタルの持ちようも大事でした。「この企業とは縁がなかった」「向こうも後悔するだろう」ぐらいの強気な気持ちでいられれば、いずれ自分に合う企業が見つかると思えました。落ち込みすぎず、「まだまだ」という感じでコントロールすることが大事だと思います。

社会人2年目の現状と卓球とのバランス

――現在の仕事とプライベートのバランスはどうですか?
三浦竜樹さん:仕事内容は結構きついんですけど、残業はほとんどありません。なので、プライベートも充実していて、卓球も週2~3回くらいはできています。点数をつけるなら80点くらいですかね。
河野凪紗さん:私は残業が結構あるので、平日は卓球をする時間がなかなか取れないんです。ただ、試合前は週2回くらい、みんなと集まって練習します。満足度としては70点くらいですね。

でも、2年目になってできることが増えたり、要領が良くなったりで、少しずつ自分のやりたい営業ができるようになってきました。


写真:インタビューは終始和やかな雰囲気で進んだ/撮影:ラリーズ編集部

――最後に、大学で卓球を続けている方に向けて就活のアドバイスをお願いします。
河野凪紗さん:まず、卒業後も卓球をするかしないか、その選択が一番の悩みどころだと思います。でも、公開しない選択をするためには卓球以外のこともたくさん知る必要があります。

だからこそ、まずはとにかくいろんな業界についての知識を得ることが大切です。人に聞いたり、自分で調べたりして、とにかく情報収集をしてください。その過程で自分がやりたいことを書き出したり、自分と向き合う時間を作ることで、自分がやりたいことが見えてくると思います。


写真:河野さんは所属する「MISCH-MASCH」からクラブ選手権にも出場/撮影:ラリーズ編集部

河野凪紗さん:あとは、メンタルは本当に大事です。予想以上に落選することもありますし、卓球が上手くいかない時期と重なることもあるかもしれません。でも、そんなときこそ「この企業は私を取らなかったことを後悔するだろう」くらいの強気な気持ちを持つことが大切です。そうすれば、いずれ自分に合う企業が見つかります。気持ちだけは強く持ってください。
三浦竜樹さん:まずは自己分析をしっかりやってほしいです。自己分析ができていないと、いくら就活を進めても何も定まりません。自分のやりたいことや、興味のある業界や職種といった軸を明確にしたうえで、業界研究や企業研究、面接に進んでください。

そうすることで、就活も短期間で終わらせることができますし、その分4年生のリーグ戦やインカレで思う存分卓球に打ち込めると思います。就活期間を短くしたいのであれば、自己分析に時間をかけてほしいと思います。

動画はこちら

堀本真之介インタビュー

“寄せ集め集団”MISCH-MASCH、設立1年で卓球クラブ日本一 チーム結成の裏には堀本真之介監督の熱い思い/