「卓球の楽しさを知ってほしい」出雲北陵・古瀬泰之監督の想いが詰まった"手作りのオープン戦"北陵杯 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:古瀬泰之監督/撮影:ラリーズ編集部

卓球×インタビュー 「卓球の楽しさを知ってほしい」出雲北陵・古瀬泰之監督の想いが詰まった“手作りのオープン戦”北陵杯

2025.01.27

この記事を書いた人
学生時代は出雲北陵高校→明治大学と強豪校でプレー。現在はフリーランスのクリエイターとして映像やデザインの制作活動をしながら、卓球メディアRallysの中国地方の物販営業を担当している。

11/30〜12/1に出雲北陵中・高が主催の「北陵杯」が出雲市で開催された。同大会は、地元島根県の中学校のほか、鳥取県や山口県から約150人の小中学生が参加した。

大会の設営には出雲北陵の高校生や卒業生が務め、また試合終了後には出場者とのふれあいの場が設けられ交流を深めていた。

今年で19回目を数える同大会について、出雲北陵中・高で監督を務める古瀬泰之監督に「北陵杯」を開催する理由について伺った。

※ちなみに、筆者も出雲北陵のOBで古瀬監督には中学時代からお世話になっている間柄です。

監督業はほぼ24時間体制

――ご無沙汰しております。本日はよろしくお願いいたします。
古瀬泰之監督:よろしくお願いします。
――改めまして、昨年の全国選抜、そしてインターハイ個人戦のタイトル獲得おめでとうございます。創部20周年という節目の年で悲願のタイトルを獲得されていかがでしたか?


写真:2024年インターハイ男子シングルスを制した小野泰和(出雲北陵高)/撮影:ラリーズ編集部

古瀬泰之監督:ありがとうございます。実は創部から卓球ノートを書いているのですが、中長期計画として「創部5年以内にインターハイ出場」、「10年以内にインターハイランク入り」、「15年以内にベスト4」、「20年以内に日本一」と書いていたんです。

そして、結果的にその通りに目標を達成させてもらえて選手達には感謝しかないです。

――OBとしては嬉しい限りなのですが、正直に言えば驚きの方が大きいです。母校が日本一になるなんて想像していませんでした。どんなマジックを使ったのですか?(笑)
古瀬泰之監督:大したことは何もしていません。強いて言えば、選手達とほぼ24時間一緒に生活しているので、そこは他の学校ではなかなかできないことだと思います。
――ほぼ24時間ですか?


写真:黒田昌秀(出雲北陵高)/撮影:ラリーズ編集部

古瀬泰之監督:寮監として住み込みで選手と一緒に生活しているんですが、朝5:30に起床してトレーニングをしてから学校に行って、勉強して練習して寮に帰ってご飯を食べて寝ているので、ほぼ24時間一緒ですね。

もちろん、他の学校もやろうと思えばできなくはないと思いますが続けることは難しい。そういったことを続けた結果として、今があると思っています。

――生徒の親御さんからしたら生活面も含めて指導してくれていると安心ですよね。

以前Rallysで取り上げさせていただいたYouTubeでは寮に帰ってから勉強している子もいましたが、変わらず「文武両道」をモットーに指導されているのですね。

古瀬泰之監督:全員が卓球だけでご飯を食べれるわけではありませんから。もちろん、選手には夢や目標を叶えてもらいたいですが、それが叶えられる選手は一握りじゃないですか。

ですので、卓球から離れたときに何も残らない人間にならないように、人間として基本的なことは厳しく指導しているつもりです。


写真:出雲北陵高校卓球部/撮影:ラリーズ編集部

古瀬泰之監督:そもそも学生の本分は勉強ですから。過去にある生徒に勉強も頑張るよう厳しく指導していたら、親御さんから「うちの子に勉強を教えなくても良いです。卓球をさせに行かせてるわけですから」と言われたんです。

「そういうニーズがあるなら」と思い、その子には一年間勉強に関しては何も言わなかったのですが、その間卓球の成績はまったく出ませんでした。そこからはその生徒も考えを改めて勉強も頑張ったところ、卓球の成績が上がり出しましたね。

――勉強を頑張ったほうが卓球でも上手くいく、というのは不思議なものですね。
古瀬泰之監督:はい。どういった因果関係があるかは言語化できていませんが、そういった経験もあって、出雲北陵では「文武両道」を掲げてやっています。

ですので、卓球だけを思いきりやりたい選手はうちのスタイルには合わないと思いますし、それは入学前に親御さんにも伝えています。うちに入ったからには卓球も勉強も頑張らせて、卒業するときには社会に出て恥ずかしくないような人間に育てます。

高校生になっても卓球を続けてもらうために

――本日の北陵杯についてもお聞かせください。


写真:北陵杯/撮影:ラリーズ編集部

古瀬泰之監督:出雲北陵では創部当初から毎年(2020年はコロナのため中止)、小中学生を対象とした大会を開催しています。地域の方への卓球の普及が目的なのですが、実は島根県の中学校の卓球人口の比率って意外と高いんですよ。

ところが高校になるとそこまで卓球人口が多くない。その理由を考えたときに、中学時代に卓球で楽しい思い出がなくて卓球から離れてしまう子が多いのではないかと思ったんです。

ですので、北陵杯はたくさん試合ができるように試合をセッティングしたり、楽しんでもらえるようなレクリエーションを用意しています。参加者に「良い思い出になった」と思ってもらえたら御の字です。


写真:北陵杯でのレクリエーション/撮影:ラリーズ編集部

――私が高校生のときは、近隣の小中学生が数十人程度集まって行われていたのですが、今日見たら県外からも参加されて規模が大きくなっていることに驚きました。

出雲北陵高校の生徒も設営やレクリエーションに参加していて、参加した子どもたちは嬉しそうでしたね。


写真:北陵杯の運営に参加する出雲北陵生/撮影:ラリーズ編集部

古瀬泰之監督:この大会の開催は出雲北陵の生徒のためでもあるんです。

普段は勝つことを考えて試合に臨んで欲しいのですが、その裏側でいろんな人の協力があって試合ができていることをわかってほしい。時には主役でいられないときもあることは、生徒達にとって良い経験だと思ってやってもらっています。

――生徒にとっても、非常にいい経験になりますね。

最後に今後の抱負を教えてください。

古瀬泰之監督:一つはインターハイ学校対抗のタイトルを獲ること、もう一つはオリンピック選手を出雲北陵から輩出することですね。
――陰ながら応援しております。本日はありがとうございました。

北陵杯結果

男子団体

優勝:出雲北陵中学校
2位:MTC鳥取
3位:松江ジュニアクラブ

女子団体


写真:さくら組ジュニア(山口)/撮影:ラリーズ編集部

優勝:さくら組ジュニア(山口)
2位:松江市立湖南中学校
3位:松江市立第二中学校・出雲市立斐川東中学校

男子シングルス


写真:前田文汰(MTC鳥取)/撮影:ラリーズ編集部

優勝:前田文汰(MTC鳥取)
2位:住田光亮(出雲北陵中学校)
3位:中司良心(出雲北陵中学校)

女子シングルス


写真:竹本悠奈(MTC鳥取)/撮影:ラリーズ編集部

優勝:竹本悠奈(MTC鳥取)
2位:吉井美寿紀(さくら組ジュニア)
3位:岸本真采(さくら組ジュニア)

男子ダブルス

1位 波多間 怜偉・松崎 優樹(出雲北陵中)
2位 白根 洸太・中村 来哉 (出雲北陵中)
3位 秦 歩生・橋谷 知明 (湖南中)

女子ダブルス


写真:吉山奈那・大津果南 (松江二中)/撮影:ラリーズ編集部

1位 吉山奈那・大津果南 (松江二中)
2位 伊藤 玲菜・肥後 杏奈 (斐川東中)
3位 落合ひめの・原史奈(平田中)

【動画】出雲北陵の1日に密着