水谷隼「一人で強くなってやる」すべては卓球界を変えるために | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:水谷隼(木下グループ)/撮影:伊藤圭

卓球×インタビュー 水谷隼「一人で強くなってやる」すべては卓球界を変えるために

2020.04.06 文:武田鼎(ラリーズ編集部)

東京五輪の代表に選ばれた水谷隼(木下グループ)は、過去3回五輪に出場し、日本卓球界の先頭に立って切り拓いてきた。過去の3大会の軌跡を振り返る。今回は水谷が「もう嫌気がさした」という、4年間について話を聞く。

(取材:川嶋弘文・ラリーズ編集長)

>>水谷隼ロングインタビュー 襲いかかる逆境 東京五輪「メダルの確率は…」

ブースター問題の告発、そしてロシアリーグへの参戦


写真:水谷隼/撮影:伊藤圭

ロンドン五輪で思うように結果を残せなかった水谷は自暴自棄になっていく。原因はロンドン五輪だけではない。「ブースター問題の告発」である。

ラバーに「ブースター」と呼ばれる補助剤を塗り込むことで反発力が強まり、打球を強め、よく弾むようにすることだ。ITTFは全面禁止を命じているが、実質的には野放しの状態だった。絶対にブースターには頼らないと決めた水谷は、ときにブースターラケット相手に負けることもあったが、不平は漏らさず戦い続けてきた。だが、我慢の限界が来ていた。不正に覆われていく卓球界を考えて、思い切って告発した。

世界トップクラスの選手の告発とあって、衝撃をもってこのニュースは受け止められた。水谷自身も世界に警鐘を鳴らすために、半年間の国際大会に出場しないことを明言。完全に練習を止め、卓球界を変えるべく奔走した。だが、手元に残ったのは徒労感と無力感だけだった。

自分のできることを全てやったと思うんですけど、業界は変わらなかった。ただただ無駄な半年を過ごしたっていう気持ちです」。


写真:水谷隼は自らの腕で道を切り開くことを選んだ/撮影:伊藤圭

誰からも差し伸べられない手、あまつさえ、「ロンドン五輪で勝てなかった言い訳をするな」と悪意に満ちた批判の声も寄せられた。「もう嫌気がさして、イライラしっぱなしでした」という水谷は大きな決断を下す。2013年にロシアに渡ったのだ。

このまま一人で強くなってやるって。ある意味、今まで自分が背負い込んできたものすべてと決別する気持ちでした」。

ロシアではプレミアリーグのUMMCに所属し、リーグで全勝優勝を果たし、日本に凱旋、全日本選手権でも優勝を重ね、2016年のリオ五輪の日本人初のメダルへとつながっていく。アスリートとして円熟味を増した黄金期とも言える4年間だったが、水谷の胸中には虚しさが募る4年だったと振り返る。

「ブースター問題は、現状、何も変わっていない。むしろ悪化している気さえする。最近の選手会とかでは、ラバーの厚さを一切制限しなくなるという噂も聞きました。そうしたら無法地帯。ある意味、ブースターでもなんでも全てオッケーみたいな。検査に引っ掛からないのであればオッケーだよ、みたいな感じにはなるかもしれないですね」。

水谷が見る 東京五輪団体戦の戦い方は


写真:水谷隼/撮影:伊藤圭

数々の大舞台を踏んできた水谷も過去3大会を振り返れば、その道程は平坦ではなかった。そして東京五輪の団体戦ではどのように戦うのか。張本智和、丹羽孝希に続き3人目の戦士として4度目の五輪に臨む。

水谷は「もちろんその可能性は高くない」と前置きしながらも、団体戦でのシングルス2本起用での出番も見据えている。

「一番の理想は、自分が昔みたいに強くなって、シングルス二点で出るっていうのが、理想。そう思うことが自分の成長に繋がる。シングルスで張本二点、僕と丹羽のどっちかがシングルス一点っていう方が、圧倒的に可能性は高いと思ってます」。


写真:丹羽孝希(スヴェンソン・左)と水谷隼(木下グループ)/撮影:ラリーズ編集部

団体戦で組むことが予想される丹羽との左利き同士のダブルスをどう見るか。

水谷は「基本4球目までに決まらない限りチャンスないっすね」ときっぱり。

「ラリーになると絶対無理っすね。4球目までで得点しない限りはもう全て失点になると思います。正確に言うと、サーブ3球目とレシーブ4球目までほぼ決まると思います」。

となればやることは見えている。ミックスのときと同様にサーブを磨き、相手に主導権を取らせない老獪なゲーム運びをしなければならない。

水谷はリオ五輪でメダルを獲得し、「世界が変わった」と語っていた。あの体験が選手を強くし、卓球界を変えることだと信じている

「卓球界に関して言えば、僕はよく言ってるのが、もっとトップ選手に力を入れて欲しい。トップ選手が活躍することが何よりも卓球界の発展に繋がると思うんです」。

東京五輪後には水谷という偉大なプレーヤーが一線を退く。だからこそ、最後に何を残せるか。あとは水谷の戦いの行く末を見届けるだけだ。

インタビュー動画はこちら

>>第1話「全盛期の7割あれば十分」 水谷隼、最後の大舞台へ懸ける思い

>>第2話 「金メダルの可能性は20%」伊藤美誠との“最強ペア”で描く水谷隼のゲームプラン

>>第3話 北京からロンドン、飛躍の4年間 きっかけは“中国武者修行”

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