卓球選手がコンテンツになる時代が到来。T3に見る卓球ビジネスの可能性とは。


文・写真:川嶋弘文(ラリーズ編集部)

一緒に写真撮っていいですか?
ずっとファンでした!応援してます!

ここはアイドルの握手会ではない。

9月10日に開催されたイオンレイクタウン(埼玉・越谷市)での卓球イベント「T3」での1コマだ。

「T3」は卓球アスリートによるエキシビションマッチや地元の子供たちとのチャレンジマッチやトークショー、握手会をパッケージとした総合卓球イベントで、今回初開催された。

ファンとの握手会に笑顔で応じる松平健太(手前)と水谷隼

目の前で神ラリーを披露した卓球トップアスリートたちと握手が出来るとあって、早朝から並んで整理券を入手した卓球ファンが、スーパーの売り場の前に長蛇の列をなした。

主催者も「予想以上の集客」と話す大盛況となった。

老若男女を集客できる卓球

この日のイベントは13時30分開演だったが、席は自由、入場無料ということもあり、早朝6:00から店外に卓球ウェアを着た少年たちが並びはじめた。

また、「リオ五輪以降卓球が好きになった」というダルビッシュ投手のTシャツを着た沿線のスポーツファンや「毎週末レイクタウンに来ている」という地元の家族連れの買い物客らが殺到。

11時過ぎには卓球台とステージが設営されたイベント会場の周りは、席取りをする観客でいっぱいに。その30分後には卓球イベントを上から見ようと、吹き抜けになったホールの2階3階も埋めつくされた。

イベント開始前に関連グッズは即完売となった。

そしてイベントが始まり日本代表の水谷隼・松平健太が登場。

ラリーが始まるとそのピンポン玉の独特の音に吸い寄せられるように立ち見客が増え、1階席の周囲からは選手たちのプレーが見えなくなるほどだった。それでも珍しい卓球選手のプレーを一目見ようと靴を脱いでベンチの上に立ち上がる人や、エスカレーターで1階から2階に移動しながらイベントを見下す光景もちらほら。

主催者によれば初回のイベント成功を受け「今後も第2回、第3回目の開催を検討している」という。

「安全性・スペース・コスト」の三要素を兼ねそろえた卓球イベント

大型のショッピングモールでは、集客のために週末にイベントを開催するのが一般的だが、実演を伴うスポーツイベントは「安全性の確保が難しい」「広いスペースが必要」「設営コストが高い」といった理由で敬遠されがちだ。

そのためイベントの内容も芸人やミュージシャンのライブ、タレントやスポーツ選手によるトークショーに落ち着くことが多い。

卓球の場合は、ボールが飛んでいっても安全であり、台を1台置けるスペースがあれば実演が可能。そして設営コストも他と比べて安いため、集客効果さえ見込めるのであれば採用がしやすい。

これまでは「卓球選手を呼んで本当に人が来るのか?」「本当にイベントが盛り上がるのか?」と集客効果に疑問があったが、リオ五輪以降の男女トップアスリートの人気向上や東京五輪でのメダルへの期待も相まって、今回のT3で集客効果があることが証明された。

抽選会で当選したファンに直筆サインをプレゼントする水谷隼

卓球が真の集客コンテンツとして根付くか

今後、こういった商業施設での卓球イベントが全国各地で根付くためにはいくつか検証すべき課題がある。

1つは立地の問題。今回のT3が開催された越谷は郊外とはいえ都心からもアクセス可能な立地での開催となったが、今後地方で開催した場合に効果はどうなるのか。

2つ目は出演者の問題だ。今回は水谷・松平という人気・知名度の高い選手の出演が叶ったが、ワールドツアーを転戦するトップアスリートが出演できない場合に地元の実業団選手や学生アスリートのキャスティングでも集客効果はあるのか。

(写真提供:タマス/卓球レポート)
1階で行われた卓球イベントだったが、2階・3階から見下ろす形でイベントを楽しむ観客も多数いた。

全国に500万人いるとされる卓球愛好家を中心に、卓球が国民的スポーツとして根付く可能性がT3によって示された。

今後の展開が楽しみだ。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう