文:ラリーズ編集部
4日から8日にかけてITTFチャレンジプラス・ノースアメリカンオープンが開催され、男女シングルス・ダブルス、混合ダブルス、およびU21男女シングルスの7種目が行われた。東京五輪のシングルス枠を争う石川佳純(全農)と平野美宇(日本生命)らが出場。他国からのトップ選手の出場は少なかったが、女子では2枚の金メダルと1枚の銀メダルを獲得した。
時を同じくしてTリーグの試合が再開し、ジュニア世代の選手の活躍が目を引いた。男子では一時琉球アスティーダが首位に浮上するも、木下マイスター東京がT.T彩たまと岡山リベッツに勝利し、首位を奪還した。女子でも首位の日本生命レッドエルフが日本ペイントマレッツに勝利し、首位を維持している。
一方徳島市立体育館では、日本卓球リーグの年間王者を争う「JTTLプレーオフファイナル4」が開催され、男子は愛知工業大学が、女子は十六銀行がそれぞれ初優勝を遂げた。
>>石川佳純と平野美宇 東京五輪シングルス代表権はどちらの手に
石川佳純、シングルス代表の希望をつなぐ優勝
写真:平野美宇(日本生命)/提供:ittfworld
日本男子から唯一の出場者の吉村真晴(名古屋ダイハツ)は本戦からの登場になり、危なげなく1,2回戦を勝ち抜いた。3回戦で2018年世界ジュニア王者の徐海東(シューハイドン・中国)と対戦。上位進出をかけた山場となったが、吉村は惜しくもフルゲームの激戦を制しきれずに敗退となった。
女子ではベスト4以上を日本が独占。準決勝では石川佳純が加藤美優(日本ペイントホールディングス)を下し、もう一方の準決勝では2戦連続でカットマンとの対戦となった平野美宇が競り合いながらも佐藤瞳(ミキハウス)を破り決勝に進んだ。
決勝では尋常ではない緊張感のもと試合が進む。石川が序盤の2ゲームを連取すると、拮抗したシーソーゲームにもつれ込んだ。最後は序盤で2ゲームを奪った石川がリードを活かして逃げ切り、涙の優勝を果たした。
また女子ダブルスでは世界的に見て珍しいペアリングである佐藤瞳/橋本帆乃香のカットマンダブルスが優勝。初戦から決勝まで全試合を3-0のストレートで勝利する圧巻の鉄壁ぶりだった。
U21女子シングルスには、塩見真希(ミキハウス)のみが出場した。第1シードの塩見は準決勝で中国選手を退けるも、決勝では王暁彤(ワンシャオタン・中国)に敗れ、惜しくも準優勝となった。
>>石川佳純「予約制にした方が良いくらい」 全農、ドイツOPで“どんぶり”提供
Tリーグ、各チームのジュニア世代が大活躍
写真:大活躍の宇田幸矢(木下マイスター東京)/提供:©T.LEAGUE
男子総括
Tリーグでは男子の試合が12月4日から再開された。その初戦となる琉球アスティーダ(以下琉球)対T.T彩たまの試合は、琉球が勝利し首位に立った。
続く5日には木下マイスター東京(以下KM東京)対T.T彩たまの試合が行われ、宇田幸矢(KM東京)が単複で2点の勝ち星を挙げ、チームも勝利。KM東京は7日の岡山リベッツ(以下岡山)戦でも宇田を単複の2点起用するオーダーで連勝し、水谷隼、張本智和、丹羽孝希抜きの中で首位を奪還した。
5日にKM東京に敗れたT.T彩たまは4連敗で苦境に立たされたが、8日の岡山とのアウェー戦では戸上が単複2点取りで、アウェーの中、観客と大いに盛り上がって勝利を掴んだ。T.T彩たまが連敗から脱却したが、昨シーズン2位となった岡山が連敗で勝ち点を伸ばせず、最下位に沈んでいる。
この結果を受け、男子の順位は以下の通りになる。
1位:木下マイスター東京(勝ち点24)
2位:琉球アスティーダ(勝ち点23)
3位:T.T彩たま(勝ち点19)
4位:岡山リベッツ(勝ち点11)
女子総括
写真:木原美悠(木下アビエル神奈川・写真左)と長﨑美柚(木下アビエル神奈川・写真右)/提供:©T.LEAGUE
女子は11月24日以来の試合となった。7日には日本生命レッドエルフ(以下日本生命)対日本ペイントマレッツ(以下ニッペM)の大阪ダービーと、木下アビエル神奈川(KA神奈川)対トップ名古屋(以下トップ)の試合が行われた。
大阪ダービーでは15歳の赤江夏星(日本生命)がTリーグデビュー戦を果たす。前田美優と組んだダブルスで1ゲームを先取されながらも逆転で勝利を収めた。一方、ニッペMからは世界ジュニア準優勝の小塩遥菜がシングルスに抜擢された。森さくら(日本生命)との対戦では敗れたものの、緊張の中小塩らしいプレーを発揮した。勝利に王手をかけた日本生命は第3マッチで前田が松平志穂(ニッペM)に敗れたが、第4マッチで陳思羽(チェンズーユ)が蘇慧音(スーワイヤムミニー)を下し、4度目の大阪ダービーを制した。
ヴィクトリーマッチ(以下VM)までもつれたKA神奈川対トップ名古屋の試合では、第2マッチとVMで木原美悠(KA神奈川)がハン・イン(トップ)を2度破り、第4マッチで長﨑美柚(KA神奈川)が笹尾明日香(トップ)を破って逆転勝利。
続く8日にはトップ名古屋対ニッペM、日本生命対KA神奈川が行われた。トップは森田彩音/梅村優香のダブルスを落とすも、出澤杏佳が松平を破ると、勢いに乗ってその後もシングルスでハン・インとエリザベタ・サマラが2勝し、ホーム戦での初勝利を手にした。
KA神奈川対日本生命では、赤江がダブルスで今季2勝目を挙げる。続く第2マッチでは木原美悠が森に敗れてKA神奈川は早くも後がなくなる。しかし、長﨑が第3マッチで勝利すると、浜本由惟(KA神奈川)がこれに続いて勝利。勝負の行方は第2マッチの再戦となったVMへ。VMでは、木原が第2マッチで苦杯をなめたリベンジをしっかりと果たし、マッチカウント0-2からKA神奈川が大逆転勝利した。
1位:日本生命レッドエルフ(勝ち点22)
2位:木下アビエル神奈川(勝ち点20)
3位:日本ペイントマレッツ(勝ち点15)
4位:トップ名古屋(勝ち点15)
>>長﨑美柚のアヒル走りが「可愛い」と話題に 緊迫した決勝の微笑ましい一幕
愛知工業大、死闘制してファイナル4優勝
写真:初優勝を果たした愛知工業大学/提供:日本卓球リーグ実業団連盟
日本リーグの年間締めくくりとなる大会「JTTLファイナル4」には、男子から東京アート、協和キリン、愛知工業大、シチズン時計が出場。女子からは中国電力、十六銀行、日立化成、デンソーが出場した。
男子では、前後期日本リーグだけでなく、全日本実業団、全日本団体などのビッグタイトルを総なめにしていた東京アートが、準決勝でシチズン時計に敗れる予想外の展開に。また、年間総合3位の愛知工業大が同2位の協和キリンに3-2で勝利するなどどのチームも実力が均衡している様子。決勝では愛知工業大が再び3-2の激戦を制し、JTTLファイナル4初優勝を果たした。
対する女子では一転して、前期日本リーグ優勝の十六銀行と、後期日本リーグ優勝の中国電力が順当に勝ち上がり、決勝で激突。中国電力では宋恵佳が単複で2点取りを果たしたが、総合力で十六銀行が逆転で勝利し、初優勝となった。