取材・文:ラリーズ編集部
7日、タマスの新製品展示会「バタフライブランドフェア2023」が、コロナ禍以来、久しぶりに開催された。
全国から小売店や販売代理店が駆けつけた待望の展示会の目玉は、その発表以来、市場を席巻するのではと話題を呼ぶ『グレイザー』『グレイザー09C』、そして水谷隼氏がプロデュースした、新時代の入門用ラケット『水谷隼メジャー』だ。
“バタフライ・ゴールドメダル・アドバイザー”を務める水谷氏も登場し、自身の名を冠した入門用ラケットに込めた思いや意図を語った。
写真:『水谷隼メジャー』について語る水谷隼氏/撮影:ラリーズ編集部
入門用ラケット「水谷隼 メジャー」
「卓球って楽しいな、やってみたいなと思ってくれた方が、まず最初に手にするラケットを作りたいなと思いました。」
現役引退後は、テレビ番組出演の他、バタフライと共に講習会を全国で開催しながら卓球普及に務める水谷氏が、入門用ラケットをプロデュースした理由をこう明かす。
写真:ラケット「水谷隼メジャー」/撮影:ラリーズ編集部
こだわったのは“バランス”
水谷氏が、バタフライ研究チームへ口を酸っぱくして言い続けたのが“バランス”だと言う。
「弾みが高いラケットは直線的なボールになり、弾みが低いラケットは大きな弧線を描くので、安心してボールに弧線が出やすい程度に調整しました。重量は、軽すぎず重すぎない程度に。板の組み合わせが固く仕上がるほど威力は出ますが弧線が出づらくなってしまいます。ただ、柔らかすぎるとボールを吸収しすぎてコントロールが難しくなってしまう。試打や検証をバタフライ研究チームと繰り返すことで、最適なバランスに仕上げました。」
合板仕様の組み合わせも、長いバタフライ開発史上でも初めてのものになった、とバタフライ研究チームが明かす。上板は水谷隼ZLCと同じもの、中板の組み合わせを調整したという。
写真:「水谷隼メジャー」でエキシビジョンマッチを行う水谷隼氏/撮影:ラリーズ編集部
「合わせるラバーはロゼナがお勧め」
合わせるラバーはロゼナがお勧め、と水谷氏は即答する。
「ボールが上に飛ぶので、初級・中級者、もう少し上のプレイヤーも、このロゼナの噛み具合にこのラケットのバランスを合わせることで理想の弧線が描けます。」
現代卓球において、卓球を始めたときから前に振るスイングを身につける必要性を考えても、現代の入門用組み合わせとして最適かもしれない。
写真:エキシビジョンマッチに登場した有延大夢(写真右、琉球アスティーダ)/撮影:ラリーズ編集部
注目を集めるグレイザー/グレイザー09C
そして、水谷氏も“あっぱれです”と舌を巻く新製品ラバーが、ディグニクスに搭載されているスプリングスポンジXを採用しながら価格も抑えた『グレイザー』と『グレイザー09C』だ。
ハイテンション裏ラバー『グレイザー』と、粘着性の『グレイザー09C』の2つのラインナップは、“ディグニクス”を使いたい選手が、その前にグレイザーから、という位置づけになるだろう。
写真:新製品『グレイザー』/撮影:ラリーズ編集部
「トップクラスにまだ到達していない選手にとって、ディグニクスより少し柔らかめのスポンジで、でもしっかり食い込んでくれて、シートもそのスイングに応じた反応をしてくれるグレイザーを使うことで、トップ選手と同じ弧線を描くことができると思います。」
水谷氏もその性能に太鼓判を押す。
写真:グレイザーのスポンジ色はグレー/撮影:ラリーズ編集部
価格も、メーカー希望小売価格を6,050円(税込)と抑えたうえで、同じ箇所に1,000回ボールを当てて摩耗度合いを測る耐久性テストでも、高い数字を示す。
発表以来話題を呼ぶ理由にも納得の、これからのスタンダードになりうるバタフライ新製品の登場である。
写真:タマスの新製品展示会「バタフライブランドフェア2023」/撮影:ラリーズ編集部