世界卓球、メダルラッシュの裏側にあるチームJAPANの"勝負メシ" | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:石川佳純(全農・左)と吉村真晴(名古屋ダイハツ)/提供:田村翔(アフロスポーツ)

卓球ニュース 世界卓球、メダルラッシュの裏側にあるチームJAPANの“勝負メシ”

2019.04.28

文:川嶋弘文(ラリーズ編集長)

21日から行われている世界卓球選手権ブダペスト大会で3つのメダル獲得を果たした卓球日本代表チーム。石川佳純(全農)と吉村真晴(名古屋ダイハツ)の混合ダブルスは3大会連続で決勝に進出し銀メダルを獲得した。女子ダブルスも前回銅メダルの伊藤美誠(スターツ)/早田ひな(日本生命)ペアが決勝に進出し金メダルを狙う。佐藤瞳/橋本帆乃香(ともにミキハウス)ペアも初出場ながら銅メダルを獲得した。

3つのメダル獲得の裏側には緻密な調整が


写真:石川/吉村ペアは2015年「銀」、2017年「金」、2019年「銀」と世界選手権で3つのメダルを獲得する快挙を果たした。/提供:田村翔(アフロスポーツ)

この大舞台での日本選手団の活躍の裏側には、試合を見ているだけでは分からない緻密な調整があった。7時間あるハンガリーと日本の時差を埋めるべく、事前にドイツで現地時間に体を慣らしてからハンガリー入りした選手たちが、今大会、特に気をつけていたのが現地での食事だ。大会前、ナショナルチームスポンサーの全農から出場選手に対し、大会期間に加えて練習日を含めた約10日間分の食材提供が行われた。また、日本選手団に栄養士が帯同し、選手が大会会場でも常に日本食を食べられるようにサポートしていた。

万全のコンディションで戦う選手団

男子で唯一3種目(男子シングルス、男子ダブルス、混合ダブルス)に出場した森薗政崇は「今大会、いつものワールドツアーと比べても特にサポートが充実していて有り難い。試合前はナーバスになる方なので、試合会場でもホテルの部屋でも、日本と同じものが食べられるというのは安心。今後もワールドツアーが続くので同じ用なサポートをしていただけたら有り難い」とコメント。


写真:日本代表全選手に支給されたパックごはん、味噌汁、梅干し、ドライフルーツ。大会期間だけでなく、練習日を含めた約10日間分の食材が贈呈され、選手たちは主にホテルの部屋で食したという。/提供:全農

世界選手権初出場となった吉村和弘は、大会期間中の食事について「朝はホテルのバイキングでスクランブルエッグ系と野菜、ヨーグルト、オレンジジュースをしっかり食べる。昼と夜は日本食のお弁当。合間に捕食でおにぎり。練習をやりこんでお腹がすくので、ホテルの部屋でも提供されたパックのご飯とか梅干しとかを食べていた。ポットでお湯を沸かして突っ込むだけで食べられるのが良かった。今大会日本選手で食事でパフォーマンスが落ちている選手、コンディションが悪い選手はいなかった。ここまで食事を徹底しているのは日本ぐらいだと思うので、本当にありがたい」とサポートに感謝した。「世界選手権が終わったらチャイナ、香港、ジャパンとワールドツアーが待っているので、そこでも万全のコンディションで望みたい。サポートに対しては結果で恩返ししないと」と昨年優勝している香港オープンを含むワールド・ツアーに早くも照準を合わせる。

世界卓球の次はワールドツアー。戦いは続く


写真:大会直前の19日に現地ハンガリー・ブダペストで行われた食材贈呈式の様子/提供:全農

世界選手権が終わると、1ヶ月後の5月28日には中国オープン(深圳)がはじまる。その後、香港オープン、ジャパンオープン(札幌)と約3週に渡り、ITTFワールドツアーアジア3連戦が選手たちを待ち受ける。以降も7月に韓国とオーストラリア、8月にはブルガリア、チェコと世界を舞台に決戦が続く。全農で卓球日本代表チームのサポートを担当する沢登幸徳氏(広報・調査部 次長)は「全農としても卓球日本代表のオフィシャルスポンサーとして、今後のワールドツアーでも日本食の食材提供を行う予定。東京五輪に向け、海外での連戦が続く日本代表チームには、できるだけ日本と同じ食事をし、少しでもいいコンディションでプレーしていただきたい」と東京五輪に向け、これまで以上のサポートを予定しているという。

長期の海外旅行で誰もが経験する“日本食が恋しくなる”感覚は、アスリートにとってはパフォーマンスに直結するため、あってはならない。