文:ラリーズ編集部
1月6日、東京五輪から新たに種目に加わる混合ダブルスの日本代表候補ペアが発表され、水谷隼(木下グループ)/伊藤美誠(スターツ)ペアが選出された。
水谷/伊藤ペアの強さの秘訣とは
写真:全日本2020の開会式で笑顔を見せる水谷・伊藤ペア/撮影:西村尚己/アフロスポーツ
水谷、伊藤と言えば、シングルスでの圧倒的な実力もさることながら、ともにダブルス巧者としても知られている。
卓球のダブルスはペアを組んだ2人が必ず交互に打たなければならない等の制約もあるため、単純にシングルスの強さの掛け合わせがダブルスの強さとなるわけではない。
その点、水谷は全日本卓球選手権大会の男子ダブルスにおいて通算7度の優勝、伊藤はワールドツアーグランドファイナルの女子ダブルスにおいて2度の優勝を誇るなど、2人はダブルスでも数々の輝かしい成績を残している。
それらの実績を持つ2人が組むダブルスの強さは、伊藤の多彩なサーブレシーブやバック面の表ラバーを使った変幻自在のプレーと、その伊藤のプレーに対応できる水谷の高い次元で安定したプレー、この両者のプレーから生み出される安定感と爆発力にある。
特に、伊藤の巻き込みサーブからの水谷の3球目フォアハンドドライブや、伊藤のバック面を利用した回り込みレシーブで相手を崩してからの水谷の攻撃で、ラリーの主導権を握っていく展開などがよく見られる。
水谷/伊藤ペアの戦績
写真:韓国オープンでの水谷隼・伊藤美誠/撮影:千葉格/アフロ
次に、水谷/伊藤ペアの戦績について見てみたい。
2019年
・韓国オープン 準決勝敗退
1-3 許昕(シュシン)/劉詩雯(リュウスーウェン・中国)
・オーストラリアオープン 準優勝
1-3 黄鎮廷(ウォンチュンティン)/杜凱琹(ドゥホイカン・中国香港)
・ブルガリアオープン 優勝
・チェコオープン 準優勝
2-3 趙大成(チョデソン)/申裕斌(シンユビン・韓国)
・スウェーデンオープン 準優勝
2-3 許昕/劉詩雯
・ドイツオープン 準々決勝敗退
1-3 許昕/孫穎莎(スンイーシャ・中国)
・オーストリアオープン 準々決勝敗退
1-3 張本智和(木下グループ)/早田ひな(日本生命)
・グランドファイナル 準優勝
2-3 許昕/劉詩雯
昨年は8大会に出場、そのうち優勝が1回、準優勝が4回という素晴らしい成績を残している。東京五輪においても、メダルが期待できるペアであることは間違いない。
2020年
・ドイツオープン 準優勝
1-3 許昕/劉詩雯
2020年初戦、ドイツオープンでは1回戦でいきなり中国の林高遠(リンガオユエン)/孫穎莎(スンイーシャ)ペアを撃破し、決勝まで勝ち進んだ。決勝ではまたしても許昕/劉詩雯に苦杯をなめたが、2020年上々のスタートを切った。
水谷/伊藤ペアに立ちはだかる壁とは
写真:グランドファイナル混合ダブルスで優勝を果たした許昕・劉詩雯/撮影:ラリーズ編集部
素晴らしい成績を残している水谷/伊藤ペアだが、五輪における最大の強敵となるのは、中国の許昕のペアだろう。
上記9大会のうち、5大会において許昕のペアに敗北している。ダブルスの名手として知られる許昕は、東京五輪の混合ダブルスの代表に選出される可能性が高いとみている。
もちろんパートナーに対しても警戒が必要であるが、伊藤が「“J”くらい曲がる」と評する許昕の独特かつ強力なフォアハンドドライブに対してどこまで対応できるか、どのように試合を組み立てていくかというのは重要な要素の1つとなるだろう。五輪金メダル獲得に向けては、避けては通れない相手だ。
東京五輪開催まで残すところ約半年となった。これから水谷/伊藤ペアは練習を重ね、さらにコンビネーションに磨きをかけてくるのは間違いない。新種目である混合ダブルスにおいて、水谷/伊藤ペアは日本にメダルをもたらすのか。水谷/伊藤ペアの活躍から、ますます目が離せない。