過去にも未来にもいない、今の自分を知る企画 「0 to 100」#33 福場俊策 | 卓球専門WEBメディア「Rallys(ラリーズ)」
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第4回
2019.01.12

過去にも未来にもいない、今の自分を知る企画 「0 to 100」#33 福場俊策

今の自分ってどうやって出来たんだろう。
たまにはコーヒーでも飲みながら
過去を振り返る時間があっても良いかも。
0歳から100歳までのリアルトーク企画。
今回のゲストは俳優の福場俊策さん。

◼#33歳の自分とは

「水を得た魚は、その自由な環境を謳歌してどこまで大きく育ったのか。その答え合わせが今。」

2018年の暮れ。街中ではクリスマスソングが流れ、無意識に気持ちが忙しなくなる中、緩やかに始まった俳優 福場俊策のインタビュー。世間の慌ただしい潮流とは別に、どこか特別な緊張感を帯びた彼に今回は焦点を当てる。

島根県益田市出身の福場が俳優を目指し東京に来たのは26歳。右も左も分からず、何から始めて良いのかも分からない。お金も実績もなく、年齢的に遅いスタートであったことも上京してから知る。2013年、そんな何も知らない自分をさらけ出すことから福場の俳優人生は始まっている。


写真:福場俊策/撮影:ラリーズ編集部

毎年、地元・島根に来ていた巡業の舞台[親子劇場]や劇団四季の[子供ミュージカル]などを見てステージへの憧れを強くした福場は、子供が対象のこの舞台をなんと中学3年生まで観に行ったと言う。どうしたらステージへ上がれるのか、TVの向こう側へ行けるのか。島根ではその方法を見つけることができなかったが、大学へ進学した福岡で身近な繋がりからなんとTVに出ることができた。学生リポーターだった。幼少期からの念願かなったこの経験は舞台に上がる演者・俳優への興味を強くすると共に、後に自身の進退を悩ませる出来事となる。

舞台やステージへの憧れを抱いたまま専修免許(大学院を卒業しないと取得できない教員免許)取得のために福岡で更に大学院へと進学した福場は、目標であった教員になりながらも葛藤していた。日々生徒と向き合い夢の大切さを語る一方で、挑戦した芸能事務所への入所試験で落ちたことから教員として生活をしている自分にくすぶっていたのだ。


写真:福場俊策

どんよりとしていた視界は、唐突に告げられた祖母の言葉で晴れることになる。いつものように名古屋の祖母に電話をしたときだった。2011年の年明け直後。「しゅんくん、絶対に好きなことをやるんだよ」その言葉を遺して祖母はその3日後に亡くなった。なんの前触れもなく核心をついたその言葉が決定打となり、福場は大学教員としてのキャリアを捨て上京。俳優として幕を開けることになる。

現在俳優歴6年半の福場は、「めんたいぴりり」という作品とともに歩んできた。2013年に掴んだ役で、ドラマ、舞台、そして2019年は映画へと成長を遂げてきた。もちろんすべてが順調だったわけではない。「バイトをしている時が一番辛かった。東京での生活を目的にすり替えたら終わりだと思った」と話す。一方で演者としての悩みもあった。特に約5年続いている作品である「めんたいぴりり」では、「変わらない」ことが求められた。


写真:福場俊策/撮影:ラリーズ編集部

好きなことに挑戦すること=「自由」ということではない。そこには必ず責任が伴うからだ。それを福場はこれから突きつけられることになる。映画という大きな舞台の結果が数字となって表れる。自分にとって可能性となるのか、それとも調整すべきなのかという方向性を決めるファクトであり、俳優人生の答え合わせでもある。来る1月11日、福岡での幕開けとともに彼の緊張は最高潮を迎えることになる。

◼#as a player

「選択肢は一つしか見えなかった。病弱だった自分を制約から解き放ってくれた卓球。」

卓球プレーヤーとしての福場の記憶は少々苦い。卒園式を間近に控える幼少時に患った急性の腎臓病を理由に、多感な時期を様々な制約の下で過ごしていた。利尿作用のあるスイカばかりを食べ、小学校はみんな歩きで登下校だったのを自分は送り迎えをされ、体育の時間は体育座りでうずうずしながら過ごした。時々学校を抜け出して病院に連れて行かれ、家に戻ってはぼーっとしながらそれを母に監視される。毎朝の尿検査ではその結果を見て祖母が泣く日々。そんな記憶だ。


写真:福場俊策/撮影:ラリーズ編集部

だが転機は訪れる。担当医が軽運動を許したことで、福場は水を得た魚のように、運動ができる状況に喜びを噛み締め、感謝し、そして謳歌した。全校生徒が7名の小学校では、体格差や人数の問題からスポーツでは卓球を地域で推奨していた。現在広島で国体の監督を務める兄も卓球をしていたこともあり、福場は迷わず卓球にのめり込む。今まで体を動かすことのなかった反動がすべて卓球に注がれたことで高校、大学と卓球の推薦で進学し、全日本にも二度出場。段も持っている。

普通、何かに打ち込むと必ず挫折、敗けといった、越えるのに苦労する壁を感じるものだ。けれど26年の彼の卓球人生にはそれがない。手綱から放たれた犬がドッグランを延々と走り回るように、やっと与えられた環境を心から享受し、その喜びを噛み締めているからだ。

やりたいことができない、もどかしい経験をしているからこそ、やりたいことが見つかり、実際にそれができるようになったときに注がれる彼の集中力は、敬意を持って臨む彼のスタイルでもある。

Fin.

文:HARU(ラリーズ編集部)

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