吉村真晴(愛知ダイハツ)。この男、やはり“持っている”が、今年はそれだけではない。
研ぎ澄まされている。
写真:吉村真晴(愛知ダイハツ)/撮影:ラリーズ編集部
「ここ数年勝ったことがなかった」
男子シングルスベスト8決定戦は、現在の“日本のエース”、張本智和(木下グループ)との戦いだった。
この4、5年、一度も張本に勝ったことがない、何なら1ゲームも取った記憶がない、と真晴本人は言う。
しかし今回、真晴は張本の得意なバック対バックでも一歩も譲らず、最後に真晴がフォアハンドで決定打を打つ展開に持ち込み、ゲームカウント4-2で勝利した。
写真:吉村真晴(愛知ダイハツ)/撮影:ラリーズ編集部
涙の理由
その勝利の後、真晴はベンチでしばらく涙をこらえていた。
写真:吉村真晴(愛知ダイハツ)/撮影:ラリーズ編集部
「なかなか勝てる相手じゃないんでホッとした部分と、今回いろんな方の支えでこのコートに立てた、感謝の気持ちです」
その直前のランク決定戦で、町飛鳥(ファースト)とのラリー戦に勝利した瞬間にも、こみ上げるものがあった。
多くの試練を乗り越え、パリ五輪選考会への切符を掴み取った瞬間だった。
写真:吉村真晴(愛知ダイハツ)/撮影:ラリーズ編集部
やってきた多くの試練
吉村真晴にとって、今年の全日本までの道のりは困難を極めた。
昨年10月末に番組収録で肋骨を骨折、全治8週間の診断を受け、年内は療養を余儀なくされた。
今回、兄弟ペアとして注目を集めていた弟の吉村和弘(岡山リベッツ)との男子ダブルスは、25日試合当日の朝、和弘のコロナ陽性により棄権となった。
真晴自身も昨年8月に新型コロナ陽性により、世界選手権選考会を辞退した経験がある。
写真:吉村真晴(愛知ダイハツ)/撮影:ラリーズ編集部
練習時間は例年の全日本前に比べて極端に少ない。それでも全ての時間を卓球に捧げることに迷いはなかった。
パリ五輪を目指すことに、もう決めたからだ。
「個人の専任コーチをお願いしました。僕はこれまで相手に合わせる戦い方が多かったんですけど、そのあたりもコーチと一緒に見直しました」
狙うはパリ五輪
昨日、混合ダブルスで鈴木李茄(昭和電工マテリアルズ)とペアを組み準優勝した戦いぶりにも、既に吉村真晴の充実は際立っていた。
得意なサービスの得点力はさらに増し、一球ずつの質がさらに磨かれていた。
写真:吉村真晴(愛知ダイハツ)/撮影:ラリーズ編集部
目標が明確に定まったときの吉村真晴は、強い。
10年ぶりの男子シングルスでの全日本タイトル、そしてその後に続くパリ五輪へと、一段としなやかさを増した吉村真晴が、駆け上がろうとしている。
写真:吉村真晴(愛知ダイハツ)/撮影:ラリーズ編集部
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