日ペンの42歳と元中ペンの37歳が"昭和卓球"で挑んだ夢舞台「練習時間確保の秘訣は…」<全日本卓球2026> | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:川口富喜(写真・右)/斎藤悠一(吉水クラブ)/撮影:ラリーズ編集部

大会報道 日ペンの42歳と元中ペンの37歳が“昭和卓球”で挑んだ夢舞台「練習時間確保の秘訣は…」<全日本卓球2026>

2026.01.30

この記事を書いた人
インタビューから報道記事、選手・用具紹介記事まで幅広く担当。2019年の全日本で見た出澤杏佳選手のプレーに衝撃を受けて以降、粒高バックハンドドライブの習得に心血を注いでいる。
戦型:右シェーク裏粒

<全農杯 2026年全日本卓球選手権大会(ダブルスの部)日程:2026年1月29~2月1日 場所:スカイホール豊田(愛知)>

29日、全日本選手権男子ダブルス2回戦が行われ、和歌山県代表の川口富喜/斎藤悠一(吉水クラブ)ペアが出場した。

37歳の斎藤と42歳の川口というペアは、斎藤が全日本初出場、川口が18年ぶりの全日本出場という異色の経歴を持っている。

試合は、中央大学出身の吉田大輔と明治大学出身の平賀龍生(ともに松戸市役所)のペアにストレートで敗れたものの、第1、第3ゲームはデュースまで粘るなど、善戦した。

試合後、川口と斎藤に話を聞いた。

夢の舞台を終えて

── 試合お疲れ様でした。まずは今の率直な気持ちを聞かせてください。


写真:川口富喜(写真・右)/斎藤悠一(吉水クラブ)/撮影:ラリーズ編集部

川口富喜(以下、川口):緊張しましたが、ラリーが続いてめちゃくちゃ楽しかったです。

斎藤悠一(以下、斎藤):私はいわゆる「草の根プレーヤー」なので、こんな夢のような舞台に立てて本当に感動しています。

── 第1ゲームと第3ゲームはデュースになるなど、追い上げた場面もありましたが。

川口:ラリーは続いても決め球があんまりないので、「もうミスってくれないかな~」という思いで、なんとか繋いでいました(笑)。

斎藤:ラリーもバックハンドも相手の方がすごく上手でミスがなかったんですけど、逆に僕らはポロポロミスをしてしまったので、もう少し頑張りたいなと思いました(笑)。


写真:吉田大輔(写真右)/平賀龍生(松戸市役所)/撮影:ラリーズ編集部

水谷隼と戦ったジュニア時代の記憶

── お二人は今回が初の全日本選手権出場なのでしょうか?

斎藤:私は本当に初めてです。

川口:私は高校生のときにジュニアの部に出たのと、18年前に混合ダブルスに出たことがあったんですが、男子ダブルスは今回が初めてです。

── 最初に出たジュニアの部のことは覚えていらっしゃいますか?


写真:川口富喜(写真右)/斎藤悠一(吉水クラブ)/撮影:ラリーズ編集部

川口:よく覚えています。というのも、そのときの対戦相手が水谷隼さんだったんです。

当時はまだ21点マッチの時代だったんですが、20-21、19-21という大接戦で負けたんです。

── 本当に大接戦ですね。

川口:ええ。そのときの水谷さんはまだ小学6年生だったんですが、当時は小学生が全日本ジュニアに出てくること自体が珍しくて。いろんなメディアに注目されながら試合をしていたんですが、翌日の新聞に私の背中が載って、「小学生(水谷)が勝った!」と大きく報じられたのを覚えています。

── それは一生の思い出ですね(笑)。

川口:はい、一生言い続けられますね(笑)。

和歌山県予選突破の裏側


写真:川口富喜(写真左)/斎藤悠一(吉水クラブ)/撮影:ラリーズ編集部

── お二人はいつからペアを組まれていたのでしょうか?

川口:ちょうど2年前ぐらいですね。そこからはいろんな大会にこのペアで出ていました。

── 今回、和歌山県予選はどのように勝ち抜いたのでしょうか?

川口:自分は40歳を超えているので、この年齢で勝ち上がれるとは正直思っていませんでした。

和歌山には日鉄物流ブレイザーズがいるので、普段はなかなか枠が回ってこないんです。ですが今回、日鉄物流ブレイザーズが推薦枠でダブルスに出場することになって、なんとか1枠を掴み取ることができました。

── 和歌山の場合は、そこがスタートですよね(笑)。とはいえ、日鉄がいなくても他にも高校生や大学生などの若い選手もいるなかで勝ち上がるのは、簡単ではないと思います。


写真:川口富喜/斎藤悠一(吉水クラブ)/撮影:ラリーズ編集部

斎藤:そうですね。正直、県内の選手だとほとんど知っている選手ばかりなので、だいたい手の内もバレているんです。

それに、僕自身はバックハンドも振れないので、もうひたすらフォアでねじこむ“昭和卓球”で頑張っています(笑)。

── 実際に代表が決まったときはいかがでしたか?

斎藤:私は感動しすぎてしまって…。その感動のあまり、コンタクトレンズが目の裏側に回って外れなくなってしまい、その後のシングルスを棄権するという…(笑)。

「昭和卓球」の意地と用具へのこだわり

── プレースタイルについても伺いたいのですが、川口選手は日ペン(日本式ペンホルダー)の片面ですよね?

川口:はい。裏面なしの「昭和卓球」です(笑)。全部フォアハンドで振らなければならないので、足が動かなくなったら終わりだと思っています(笑)。

── なぜペンホルダーで始めようと思われたのでしょうか?


写真:川口富喜(写真左)/斎藤悠一(吉水クラブ)/撮影:ラリーズ編集部

川口:姉がペンだったのと、当時はペンの選手が多かった影響で僕もペンで始めました。ですが、今思えば「シェークで始めておけば、もっと伸びしろがあったかも」と後悔することもありますね(笑)。でも、このスタイルでやり抜くしかない。

── 斎藤選手は、ずっとシェークハンドなのでしょうか?

斎藤:実は学生時代はずっと中ペン(中国式ペンホルダー)だったんです。25歳で地元の和歌山に戻ったタイミングで、中ペンからシェークに変えました。

── なぜ、中ペンからシェークに変えたのでしょうか?

斎藤:中ペンだとどうしても指に当たってしまうのが気になって。レシーブやサーブの感覚がまったく違うので、慣れるまでには2年ほどかかりましたが、市役所の同僚たちと夜に練習を重ねて、少しずつ形にしていきました。

仕事・家事・子育てとの両立

── 普段の練習頻度はどのくらいなのでしょうか?

川口:私は週3回ほど練習しています。

斎藤:私は週1~2回ですね。

── 30代、40代になると、練習時間の確保はより難しくなると思いますが、普段の練習時間はどのように確保していますか?


写真:川口富喜(写真左)/斎藤悠一(吉水クラブ)/撮影:ラリーズ編集部

川口:私は、中学生の娘が卓球を始めたので、娘に教えながら自分の練習もさせてもらっています。そうしないと、なかなか自分のためだけの時間は作れないですね。

斎藤:私はもう、家に帰ってからの家事を頑張っています(笑)。

── (笑)。でも、社会人になって練習するというのは、そういうことですよね。

斎藤:そうですね。練習で遅くなった日は、帰宅が深夜1時を過ぎることもあるんですが、それでも練習を続けさせてくれる妻や家族には本当に感謝しかありません。

── 改めて、今後の目標を聞かせてください。


写真:川口富喜(写真右)/斎藤悠一(吉水クラブ)/撮影:ラリーズ編集部

川口:出られる限りはまた全日本を狙いたいですね。今回みたいな予選突破のチャンスがいつ来るかはわからないので、それまで実力を維持するために日々の練習と筋トレも欠かさずやっていきたいです。

また、全日本マスターズでは昨年初めてベスト16に入れたので、一生に一度でいいからランクに入りたいですね。

斎藤:私は毎年クラブ選手権に出ているんですが、毎年1回戦負けなので、なんとか1回勝って、チーム全員で「祝い酒」を飲みたいですね。それが社会人卓球の醍醐味ですから(笑)。

── 最後に、お二人にとって全日本選手権はどのような存在ですか?

川口:まさに夢の舞台ですね。42歳という年齢でまたここに戻ってこられて、本当によかったです。

斎藤:私は37歳になりますが、これまで全日本にはかすりもしませんでした。今回こうして連れてきてくれた相方の川口さんには、本当に感謝しています。

試合結果

男子ダブルス2回戦


写真:川口富喜(写真右)/斎藤悠一(吉水クラブ)/撮影:ラリーズ編集部

〇吉田大輔/平賀龍生(松戸市役所)3-0 川口富喜/斎藤悠一(吉水クラブ)
12-10 / 11-3 / 12-10

全日本2026ダブルスの部 速報中

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