文:ラリーズ編集部
<2021年全日本卓球選手権大会(一般・ジュニアの部)、2021年1月11日~17日>
全日本が閉幕した。男女卓球日本代表監督の倉嶋洋介氏、馬場美香氏が、報道陣へのオンライン記者会見にて、それぞれ今年の全日本を振り返った。
倉嶋洋介監督、今年の全日本を振り返って
写真:卓球日本代表倉嶋洋介監督/撮影:ラリーズ編集部
「海外での環境が今年の全日本に結びついた」
写真:優勝した及川瑞基(木下グループ)/撮影:ラリーズ編集部
コロナ禍で行われた全日本ということで、いつもと違う全日本でした。ベスト4の顔ぶれを見ても、森薗、及川、吉田という海外のリーグで10年近くやってきた選手が勝ち残っていた。移動後すぐ試合だったり、観客がほぼいない中での試合だったり、海外リーグでの環境でやってきた経験が、全日本に結びついている。べスト4の選手は、心技体と粘り強さがあったなと実感した。
写真:吉田雅己(栃木県スポーツ協会)/撮影:ラリーズ編集部
丹羽孝希について
丹羽についてはプレー自体は悪くなかった。(準々決勝で丹羽に勝利した)田中佑汰はサムソノフを倒すくらいの実力は持っているので、丹羽の内容は悪くはなかった。
写真:丹羽孝希(スヴェンソン)/撮影:ラリーズ編集部
張本智和について
張本については、昨年からのコロナの影響で自宅で半年以上自粛生活をしていたので、なかなか戻ってきていないというのが正直な感想。オリンピックまでしっかりとした強化していかないといけない。
写真:張本智和(木下グループ)/撮影:ラリーズ編集部
優勝した及川瑞基について
この1,2年でものすごく力をつけている。海外の経験も豊富で、今回も吉村真晴、張本に勝ったのは評価できる。決勝も最後まで慌てずにプレーできてたのが、逆転の要因だろう。
写真:及川瑞基(木下グループ)/撮影:ラリーズ編集部
準優勝の森薗政崇について
2017年(の世界卓球)でダブルス銀メダルに輝いてからも、シングルスで勝ちたいんだという気持ちをもって、常に進化を追い求める選手。この1,2年はすごく迷っていたんですけど、自分を進化させようとした気持ちがまとまって全日本に繋がってきたのでは。
写真:森薗政崇(BOBSON)/撮影:ラリーズ編集部
東京五輪に向けた強化について
よく聞かれることだが、経済とコロナをどうアクセルとブレーキを踏むか。同じようにこういう風に強化しようとアクセルを踏もうとしっているが、そういうことができる環境を整えていかないといけない。
国際大会にから行って帰ってくると2週間自主隔離で練習ができない。自分たちでも強化の面でどうしようもない部分がある。悩みながらやっている状況なので、五輪選手とはコミュニケーションを取りながら、しっかり話し合ってやっていきたい。
前回のリオ以上の結果を目標、使命として頑張りたいという気持ちは常に持ってますし、選手もそうだと思います。五輪に向けてどのように強化できるか、環境を整備しながら、オリンピックに向けて進めていけたらなと思ってます。
今大会の張本智和をどう見たか
写真:張本智和(木下グループ)/撮影:ラリーズ編集部
自宅でやっている練習はナショナルチームみたいに施設が整っていませんし、練習相手も同じパートナーで、強い相手もいない中でどう強くなるのかというところ。僕が前から言っているフットワークとフォアハンドがしっかりしていないと、得意のバックハンドも効果をなさない。(昨年11月の)W杯では3位に入りましたけども、試合を見ていても今後危ないなという思いは持っていました。
写真:張本智和(木下グループ)/撮影:ラリーズ編集部
全日本が終わってから少しずつ改善していって、1,2か月後は自信にみなぎっている姿を皆さんにお見せできれば。フォームも含めて、少し張本が目指す方向ではなかったなと思ってます。
写真:張本智和(木下グループ)/撮影:ラリーズ編集部
本人の中でも、いま自分はダメだなという思いはあったのかなというような感じはします。でも元々彼はいつも負けた後落ち込みますけど、すぐに次に進むという傾向がある。昨夜話したときは、立ち直って前を向いて、自分は今どん底で、後は這い上がっていくだけだという気持ちを強く感じました。
写真:及川瑞基に敗れ、会場を後にする張本智和(木下グループ)/撮影:ラリーズ編集部
馬場美香監督、今年の全日本を振り返って
写真:馬場美香女子監督/撮影:ラリーズ編集部
総括
準決勝には予想した部分の選手が進出しまして、準決勝も決勝も内容のある良かった試合だったので、監督としては満足しています。
伊藤美誠、早田ひなについて
写真:早田ひな(日本生命)/撮影:ラリーズ編集部
今回の全日本で2人の試合を見ていて、(序盤の試合では)動きが良くない部分があったが、(準決勝の対戦は)良い部分がたくさん出てましたし、内容も良かった。
写真:伊藤美誠(スターツ)/撮影:ラリーズ編集部
(伊藤美誠は)昨年一年間実力をつけると本人も思って取り組んでいた。ただ、この大会では他の選手は伊藤選手に勝ちたいと挑戦する気持ちで臨んでくる。伊藤選手が決勝ではいつもの思い切ったプレーが少なかったように思います。伊藤選手はこの大会でうまくいかなかった部分を課題をもって調整していくだろう。
石川佳純について
写真:石川佳純(全農)/撮影:ラリーズ編集部
決勝では思い切って良いプレーも出てました。こういう上り調子でオリンピックを迎えてほしい。
平野美宇について
写真:平野美宇(日本生命)/撮影:ラリーズ編集部
3月のカタール以来の試合。腰の故障もありましたので、ボールを打てない期間が何か月かあって、試合形式が12月頃。全日本までに試合ができなかったので、試合の感覚が薄かったですし、調整は万全ではなかったのではと思いました。
若手選手の台頭について
写真:長﨑美柚(JOCエリートアカデミー/大原学園)/撮影:ラリーズ編集部
非常にナショナルチームにとっても刺激になると思います。去年一年間国際大会がなくて、NT合宿の際に若い選手を見ていると、一生懸命練習して強くなろうと練習していたので、そういうのがこの試合で出ていた。
東京五輪について
まず一番は東京五輪で自分たちの力を発揮できるように持っていきたい。
写真:石川佳純(全農)/撮影:ラリーズ編集部
伊藤はシングルス、ミックス、団体戦。石川はシングルスと団体戦。平野は団体戦。出る種目が違う。それぞれによって課題がありますので、各自その課題を達成できるように五輪まで努力させていきたいと思っています。
五輪代表のそれぞれ伸びたところ
伊藤はフォアハンドの強化を非常にやっている。石川は両ハンドを思い切って振っていて、スピードとパワーが増している。戦い方も以前にも増して忍耐強く、戦い方をよく考えながら1球1球できていた。
平野はしばらく卓球できてない時期から復活して、故障した後初めてでしたので、試合の調整はうまくいってなかった。国際大会に出れたら出て、勝負勘を養ってオリンピックを迎えたいと思ってます。