<天皇杯・皇后杯 2024年全日本卓球選手権大会(一般・ジュニアの部) 日程:2024年1月22~28日 場所:東京体育館(東京)>
26日、2024年全日本卓球選手権大会の5日目を迎え、男子シングルス4回戦で松平賢二(協和キリン)と松平健太(ファースト)の兄弟が対戦、弟の健太がゲームカウント4-2で勝利した。
「僕らの対決が、被災した地元の人たちに少しでも“松平も頑張ってるな”と、明るいニュースになれば嬉しいです」試合後、松平賢二が振り返った。
写真:松平賢二(協和キリン)/撮影:ラリーズ編集部
忘れられない全日本
これまで数多くの記憶を全日本で刻んできた松平家にとっても、今年は忘れられない全日本だろう。
妹・松平志穂が最後と決めた全日本。
賢二と健太が、全日本では7年ぶりに直接対決をした全日本。
能登半島地震で、実家の松平スポーツを含めた地元が被災し、その思いを背負った全日本。
写真:松平健太(ファースト)/撮影:ラリーズ編集部
賢二「やっと健太たちが見えている景色が見えてきた」
「思ったよりもチキータを使わされてしまった。(健太が)1テンポ遅らせて攻撃してきたので、こっちが固くなった。勝負どころで僕に力みと焦りが出たことが敗因です」と、試合を冷静に振り返った賢二。
手応えもある。
「僕も以前にようにガツガツするだけでなく、違った形で点が取れるようになってきて、やっと、健太たちの景色が見えてきました(笑)。まだまだ現役をやれるな、やりたいなと改めて思いました」
「情が移るので相談できなかった」
「本当は、能登半島地震があってからすぐ健太と相談したかったんですが、(全日本で当たる可能性があったので)健太とそのやりとりや相談をしていると、僕は情が移ってしまう。やっぱり勝負ごとなので、(家族の中でも)健太とはやりとりしないようにしていました」と苦しかった胸の内を明かす。
「全日本が終わったら、僕らがどういう支援活動をできるか、健太と話そうと思ってます」
写真:松平賢二(写真手前)と松平健太(写真奥)/撮影:ラリーズ編集部
トロフィーは壊れても
震災前、七尾市にある松平家の実家には、子どもたちの歴戦の賞状やトロフィーが、実に大切に飾られていた。今回、その実家も例外なく地震の被害を受けた。それでも、両親は全日本の会場・東京体育館に駆けつけた。
「両親にとっては、今回の全日本は志穂の引退が一番でしょうし、僕らの対決はデモンストレーションみたいなものですよ」爽やかな兄の顔で笑う。
過去のトロフィーは破損しても、家族、そして地元との絆は決して壊れないことを松平家が教えてくれる。
写真:松平賢二(写真右)と松平健太(写真左)/撮影:ラリーズ編集部