「卓球を続けるか迷っていた」少女が進学校からインターハイ、全日本ジュニアに出場した話<全日本卓球2025> | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:太田優奈(桐蔭高)/撮影:ラリーズ編集部

大会報道 「卓球を続けるか迷っていた」少女が進学校からインターハイ、全日本ジュニアに出場した話<全日本卓球2025>

2025.01.23

この記事を書いた人
インタビューから報道記事、選手・用具紹介記事まで幅広く担当。2019年の全日本で見た出澤杏佳選手のプレーに衝撃を受けて以降、粒高バックハンドドライブの習得に心血を注いでいる。
戦型:右シェーク裏粒

<天皇杯・皇后杯 2025年全日本卓球選手権大会(一般・ジュニアの部) 日程:2024年1月21~26日 場所:東京体育館(東京)>

「桐蔭」と聞けば、多くの卓球人は「大阪桐蔭高校」が真っ先に思い浮かぶのではなかろうか。(神奈川県内の人なら「桐蔭学園高校」かもしれない)

しかし、和歌山県内で「桐蔭」と言えば、県内トップの進学校である「和歌山県立桐蔭高校」になる。

和歌山県立桐蔭高校は、東京大学や京都大学をはじめとする国公立大学に毎年多数の合格者を輩出しており、和歌山県はもちろん、近畿圏内でも屈指の進学校である。

そんな桐蔭高校から全日本ジュニアに出場を決めたのが、太田優奈だ。


写真:太田優奈(桐蔭高)/撮影:ラリーズ編集部

和歌山県内には10大会連続でインターハイ学校対抗に出場している名門・粉河高校が存在し、ここ数年の全国大会の和歌山県代表は粉河高校がほぼ独占している。

そんな和歌山県で、太田は昨夏のインターハイ予選を突破し、代表枠が2つしかない今回の全日本ジュニア予選も勝ち上がった。その実力はフロックではない。

「けど、高校で卓球を続けるかどうかは迷っていたんです」

「高校で卓球を続けるか迷っていた」

太田は小学2年生のときに、和歌山県の岩出S.P.Cで卓球を始めた。

岩出S.P.Cは和歌山県トップレベルのクラブチームで、全日本ホカバや全日本カデットなどの年代別の全国大会へ出場者を多数輩出している。


写真:太田優奈(桐蔭高)/撮影:ラリーズ編集部

そんな太田も全日本ホカバ、全日本カデットの出場経験を持つ。しかし、その舞台で勝ち進むことは叶わなかった。

「全国大会には何度か出たんですけど、中学2年生の全日本カデットで1回勝てた以外は全然勝てなかったです」

本気でやっていたからこそ、結果が出ない現実は太田の心に重くのしかかった。そして、中学卒業後の進路選択の時期に差し掛かると、悩んだ末に高校は勉強で進学する道を選んだ。


写真:太田優奈(桐蔭高)/撮影:ラリーズ編集部

「卓球を高校に行ってから続けるかどうか迷っていたぐらい、当時は卓球への熱はなくなっていました」

桐蔭高校入学後には一応部活には入ったものの、「“楽しくできればいいか”ぐらいに考えていた」という。

しかしながら、太田の考えは入部後に大きく変えられることとなる。

「桐蔭高校の練習は、みんな真面目にやっていて思ったよりも厳しくて(笑)。なので、私も“もうちょっと頑張ってみようかな”って思って、練習するようになりました」


写真:太田優奈(桐蔭高)/撮影:ラリーズ編集部

再び卓球熱が再燃した太田はそのポテンシャルを如何なく発揮し、高校1年生にしてインターハイ、全日本ジュニアに出場するまでに成長した。

全国大会での勝利を目指して

とはいえ、太田にとって大きな課題であった「全国大会での勝利」はまだ叶っていなかった。

「去年のインターハイも初戦で負けちゃったので、まだ全国大会で勝ち進めてないんです」

加えて、全日本ジュニアは今回が初出場。並々ならぬ思いで挑んだ今大会。初戦の相手は、島根県の名門・明誠高校の大崎陽歌里に決まった。


写真:大崎陽歌里(明誠高校)/撮影:ラリーズ編集部

大崎は島根県予選を1位で通過した実力者で、前日の女子シングルス2回戦では、日本代表・平野美宇(木下グループ)の妹である平野亜子(都留文科大)と激戦を繰り広げていた相手だ。


写真:太田優奈(桐蔭高)/撮影:ラリーズ編集部

初戦から厳しい組み合わせになった太田だったが、第1ゲームは相手に固さが見られミスが続いたこともあり、11-8で太田が奪取。続く第2ゲームも、太田はバックハンドのラリーを中心に攻め、中盤まで互角の展開とする。

しかし、大崎は第2ゲームを11-8で奪うと、第3、第4ゲームで完全リズムを取り戻す。太田もブロックやカウンターで応戦するも、回転量やコースの打ち分けで優位に立った大崎に追い付けず、ゲームカウント1-3で太田は敗北。勝利には届かなかった。


写真:太田優奈(桐蔭高)/撮影:ラリーズ編集部

「県内での試合だと、自分が強打したらブロックで返ってくることが多いんですけど、今日はほとんどカウンターで返されてしまいました。1ゲーム取れて思ったよりも勝負にはなったと思いますが、勝つにはまだまだ遠かったですね」

目標としていた全国大会での勝利は届かなかったものの、太田は既に前を向いている。

「まだ1年生なので来年も全日本ジュニアに出場するチャンスはありますし、インターハイのチャンスもあります。なので、まずはその2つに出場することを目標にして、そこで勝てるようになるまで成長していきたいです」

卓球を続けるかどうか迷った一年ほど前が、遠い昔のようである。

全日本卓球選手権 ジュニア女子シングルス1回戦

太田優奈(桐蔭高)1-3 大崎陽歌里(明誠高)〇
11-8/8-11/8-11/3-11

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