文:ラリーズ編集部
26日、2025年全日本卓球選手権大会は大会最終日を迎えた。
女子シングルス決勝では早田ひな(日本生命)と張本美和(木下グループ)が対戦。早田がゲームカウント4-0のストレートで勝利し、3連覇を達成した。
試合後、早田が報道陣の質問に答えた。
早田ひな 試合後コメント
写真:早田ひな(日本生命)/撮影:ラリーズ編集部
今の心境は
素直に嬉しいです。昨年の優勝とはまた違った感じです。
今年はすごい軽い気持ちで全日本に入ったので、絶対優勝するぞという自信はもちろん持てませんでした。
ここまで来ることができたので、最後はすべてを出し切ろうと思いました。
優勝したことよりも、本当に全て出し切れたことの嬉しさがあります。
(負傷した)左腕の状態は
今日もまた2試合あって、準決勝と決勝で質が高い選手と試合することになるので、結構怖い部分はありました。
準決勝が終わってから、少し痛みがありながらプレーしていたところもありましたが、このレベルと常に世界では戦っていかなきゃいけないと思います。
時間が解決してくれると思いますし、徐々に慣れていけばそれでいいかなと思います。
今後の意気込みや抱負は
今回は自分の中で強さというよりも上手さで勝たないといけない。
頭がついていかなかったら負けだと思っていたので、去年よりも考えることっていうのは細かかったかなと思います。
この半年、1年で腕が安定した状態に戻ってくるまでは、強さよりもそういった部分の方が重要になってくると思うので、そこの精度を上げていく期間にしていきたいなと思います。
パリの戦いを終えて、今日の優勝にはどんな意味があるか
優勝できるとは正直思ってなかったですし、決勝も4-0で勝てるとは思ってませんでした。
怪我してるからこそ私生活など本当に色々なところの細かい調整や配慮が昔よりもうまくなったなと思います。
今回も腕のことを考えて、練習を短くして試合に入ったりしていました。
自信はないけど、そうやっていかないと体に負担になってくるので、自分との向き合い方が変わってきたかなと思います。
写真:早田ひな(日本生命)/撮影:ラリーズ編集部
怪我をしたからこそもっと強くなれるとおっしゃっていたが
先ほども言ったように毎日感覚が変わってしまって、昨日できていたことが今日できなくなっている。
そこに自分自身がついていかないと、自分の中で矛盾が起きて試合どうこうではなくなってしまうので、それは今後もすごく大事だなと思います。
自分自身の強みは両ハンドの強さだと感じてるんですけど、今はそこだけでは点数が取れない。
やっぱり腕のことを考えても、やっぱ他の台上やサービス、レシーブなどの細かいところもすごく重要だなと思います。
写真:早田ひな(日本生命)/撮影:ラリーズ編集部
頭を使うということでこれまで以上にコース取りや回転を意識していると思うが、かなり疲れるか
そうですね。今回久々に4日間で6試合して、頭が疲れて体も疲れました。
今まで普通にやってきてたところに徐々に戻ってきているというのはすごく嬉しいです。
試合勘というのがほぼ戻ってきたんじゃないかなと思うので、あとは自分の腕の状態と向き合ってそれをどう使っていくかというのがここからの課題かなと思います。
決勝戦でのベストプレーは
いつもは結構覚えているんですけど、今回はあまり覚えていないです。
今回は1球1球に集中していたところもあって、入ったボールすべてがもう自分の中でいいボールだったんじゃないかなと思います。
強いてあげれば4ゲーム目の7-6でのバックハンドドライブ打った後の回り込みかな。
今日の前半からフォアドライブの感覚が良くて、勝負にいったときに自分自身が狙っていたコースと相手の読みを外すことができたので、すごく良かったなと思います。
写真:早田ひな(日本生命)/撮影:ラリーズ編集部
「試合をするごとにたくさんの気づきを得ている」ということについて
もちろん優勝して自信に繋がったっていうのも1つあります。
あとは「試合をしてくれた」というのはちょっとおかしい表現にはなりますけど、試合ができたこと、そして「試合をして学んだ」というのは6選手と試合をしないとできませんでした。
トップ選手と試合することで、自分も一気にトップ選手とやっていた時の感覚は戻ってきたので、試合ができることに感謝したいですし、嬉しい気持ちです。
「パリまでの自分には戻れない、シーズン2に入らないといけない」とおっしゃっていたが、いつそのように踏ん切りをつけたのか
今の練習ができるようになってからちょうど1ヶ月くらいで、12月中旬からいつもの感覚でできるようになりました。
いつもの感覚に戻したことによって「これもできない、あれもできない」ということを気づき始めました。
練習だけでなくて、試合の中でもそういった気づきがありました。
でも12月末からの試合の経験を生かして、諦めるところは諦める。できないものは、まだできない。
私の中ではサボテンを育てているような感覚で。サボテンは水やりを1カ月に1、2回ぐらいで、勝手に成長してくれるじゃないですか。
それで勝手に成長してくれてその間に他の花を咲かせられるように頑張っている感じです。
放置するところは放置して、試合をすることで勝手に感覚が戻って、でも重要なところだけピンポイントで練習するという毎日になっています。
パリ五輪前よりもどのくらい練習時間を減らしているか、また減った時間をどんなことに充てているのか
大体1、2時間ぐらい減ってるような感じで、毎日3時間半ぐらい、半日練習ですね。
そこからトレーニングしたり勉強したりしています。
戦術もそうですし、根本的な技術をビデオを見て(勉強する)という時間を作っています。
どっちかっていうと、やっぱりトレーニングの時間にかけれるようになったのが大きいかなと思います。
逆に言うとここからは試合が続いてまたトレーニングできなくなるので。
でも、練習はやるとこまでやったらこれ以上今はできないのでバランスを見てやっていましたが、これでもできるんだって今回自信がついたので色々なことに挑戦して、色々なものと向き合っていきたいなと思っています。
コーチングの部分はどういう感じか
日頃から見てくれている方がたくさんいるので、色々な方の意見を聞きながら(やっています)。
日本生命というすごいいい環境の中で練習させてもらっていて、色々な方に技術や考え方を教えてもらいながら(自分の中でも)ちょっとずつ変化しているのかなって思います。
シーズン2はどのような卓球フェーズにしたいか
シーズン1は、石田コーチに14歳くらいから10年間見ていただいて、そこで技術など色々なことを教えていただいてパリ五輪に臨みました。
今までは大輔先生が基礎を教えてくれましたが、そこから自分がさらに飛び立つためにシーズン2で色々な人の力を借りて強くなっていくっていうのが目指してるところかなと思います。
世界卓球に向けて向けてどういう風に自分を上げていきたいか
まずは腕の状態がどれぐらい回復してるかにもよると思うんですけど、大丈夫になってるのであれば今回の試合でできなかったことだったり、新しいことの精度を上げていったり、あとは元々持ってるものをさらに進化させていったり、そういう時間に使えたらいいなとは思います。
でもそれは試合をしながらになってくると思うので、腕のバランスを見ながらになってくると思います。
本大会ではどのような準備をしてきたのか、また世界卓球で成し遂げたいことは
去年の自分は強さや気持ちが前面に出ていて、技術も自信を持って試合をしていた感覚でした。
でも今回は練習を積み上げられてないので技術の自信っていうのがちょっとなかったです。
だからこそ逃げるときもあれば真っ向勝負をするときもあって、自分をコントロールするために今回はうまさが大事だなって思っていました。
やはり強さだけだと手に負担がかかってくる可能性もあってできれば4-0で逃げ切りたいというのが今の現状でもあるので、相手の読みを外すことがすごく重要だなと思います。
今までよりも結構自分の現状を受け入れながら相手と試合をしている感じですね。
昔まではただ相手と試合をしているような感覚だったんですけど、やっぱり自分の感覚がすごく変わるので、そういった上手さっていうのが今回は多少あったんじゃないかなって思います。
世界選手権に出られるという感覚を持って今回臨んできていなかったので、出られることがまず嬉しいです。
あとは腕を回復させていくことも重要かなと思います。
また新しい、真っ向勝負じゃない、今回みたいな上手さを出した試合ができればいいなと思っていますし、目標としては前回よりも上には行きたいなと思ってますけど、その時の自分でベストを尽くせればそれでいいかなと思っています。
女子シングルス決勝
〇早田ひな(日本生命) 4-0 張本美和(木下グループ)
11-3/11-6/13-11/11-6








