*写真:伊藤美誠(スターツSC・左)、早田ひな(日本生命)/撮影:ラリーズ編集部
大会報道 【卓球】全日本開幕直前 男女ダブルス、混合ダブルス注目ペアの見どころを一挙紹介<全日本2019>
2019.01.12
先日紹介させてもらった男女一般シングルスに引き続き、今回は男女ダブルス、混合ダブルスの見どころを解説していく。
男子ダブルススーパーシードの組み合わせ
写真:男子ダブルススーパーシードの組み合わせ/図:ラリーズ編集部
中国撃破の若手最強ペア再結成
男子ダブルスで最も注目すべきは、張本智和(JOCエリートアカデミー)・木造勇人(愛知工業大)ペアであろう。このペアが2017年のワールドツアーで世界選手権金メダルの樊振東・許昕の中国ペアに、二度勝利したことは記憶に新しい。このまま張本のダブルスペアが確定かと思われたが2018年の全日本選手権はそれぞれ異なるペアで出場し、今回久々の結成となる。両者ともに前陣での鬼のようなカウンタープレーを得意とするので、当たりだしたらこのペアを打ち崩すのは至難の業であろう。
順当に勝ち進めればおそらく準決勝で森田侑樹・神巧也(シチズン時計)、鹿屋良平・有延大夢(リコー)ペアの勝者と対決し、これを突破すると前回大会王者の水谷隼・大島祐哉(木下グループ)ペアの山を勝ち上がった強者との対戦になる。
連覇なるか 水谷・大島ペア。思わぬ追い風も
そして昨年の優勝ペアである水谷隼・大島祐哉(木下グループ)ペアであるが、最近は本来の強さを発揮できずにおり、Tリーグでは二度出場する機会があったがどちらもストレートで敗れる結果となっている。
少し不安要素を残しての出場となるが、今回の全日本選手権のダブルスには出場する選手にとって朗報がある。ダブルスの名手とされる森薗政崇選手(岡山リベッツ)、丹羽孝希選手(スヴェンソン)がともに欠場であることだ。より今年の男子ダブルスは混戦模様となるだろう。
ガッツあふれるプレーで会場を魅了。松平・平野ペア
また今回はシングルスに続きダブルスにも多くのTリーガーが登場する。中でも筆者が特に注目しているのは松平賢二・平野友樹(協和発酵キリンペア)である。
2019年世界選手権の一次選考会では平野2位、松平4位と二人とも好調であり、特に平野はTリーグで昨年の12月からダブルスの試合も含めると6連勝中で、12月23日の試合では水谷隼をストレートで破っている。二人のガッツあふれるプレースタイルで会場を大いに盛り上げてくれることに期待したい。順当に勝ち進めれば準決勝で上田仁・吉田雅己(岡山リベッツ)ペアとの対戦が予想される。
二人合わせて80歳 ベテランコンビ関西地元での活躍なるか
そして今大会、初の関西での開催ということもあり個人的に注目しているペアがある。張一博(Y.Y卓球クラブ)・柳延恒(TEAM SATO)ペアだ。
張一博は言うまでもなく現在も琉球アスティーダに所属するトップ選手の一人であり、相方の柳延恒(リュウエンコウ)選手は以前TTSタカハシに所属し、日本リーガーとして活躍した選手で、平成18年度の東京選手権で準優勝の実績を持つ。
30代以上の関西圏の方々はおそらく皆知っているのではないだろうか。二人合わせて80歳近いというから驚きである。県予選から勝ち上がり、1回戦からの出場となるが老獪なプレーで若手を退ける姿を見るべく、是非ダブルスの初日から会場に足を運んでみてはいかがだろうか。
女子ダブルススーパーシードの組み合わせ
写真:女子ダブルススーパーシードの組み合わせ/図:ラリーズ編集部
ファイナル制覇の「みまひな」に死角なし
女子ダブルスの優勝候補はもちろん、伊藤美誠(スターツSC)・早田ひな(日本生命)ペアだ。公私ともに相性抜群の二人は、昨年は3度ワールドツアーを制し、グランドファイナルでは圧倒的な強さで年間王者に輝いたまさに世界最強ダブルスである。飛ぶ鳥を落とす勢いで躍進中のコンビがこのまま世界選手権、東京へと突き進むのだろうか。順当に勝ち進めば準決勝で石川佳純・平野美宇の山を突破したペアとの対戦となる。
王者に一矢報いるか、石川・平野ペア
「みまひな」ペアに待ったをかけるのが、満を持しての登場となる石川佳純(全農)・平野美宇(日本生命)ペアである。実績では伊藤・早田ペアに劣るものの、2017年の世界選手権にも出場した経験を持ち、またそれぞれ個人の最新世界ランキングは石川3位、平野9位とまさに世界トップクラスのコンビであり、対抗馬の筆頭であることに異論はないだろう。最初の山場となるのは5回戦の佐藤瞳・橋本帆乃香(ミキハウス)ペアか。ここを突破し、その勢いで決勝まで進みたいものである。
全日本でも躍進なるか。学生Tリーガーコンビ
もう一組注目すべきペアは、エリートアカデミーの長﨑美柚・木原美悠ペアである。二人はTリーグでもダブルスを組んでおり息もぴったり。現在4連勝中の波に乗っている若手コンビだ。昨年は3回戦敗退であったが、大会期間中に成長する可能性も大いにあり、どこまで快進撃を続けることができるか非常に楽しみである。
混合ダブルススーパーシードの組み合わせ
写真:混合ダブルスシードの組み合わせ/図:ラリーズ編集部
今年も優勝は伊藤・森薗ペアで決まりか
2020年の東京五輪から正式採用される種目となった混合ダブルスも目が離せない。昨年全試合ストレート勝ちという衝撃的な強さで優勝した伊藤美誠(スターツSC)・森薗政崇(岡山リベッツ)・ペアはもちろん今年も出場する。昨年のグランドファイナルでは香港ペアに敗れて惜しくもベスト4敗退となったが二人のコンビネーションは抜群であり、決勝まで勝ち上がる大本命だろう。
石川・吉村ペア悲願の復活なるか
その決勝の相手となる候補筆頭はやはり2017年の世界選手権金メダルペアである石川佳純(全農)・吉村真晴(名古屋ダイハツ)ペアだ。昨年のグランドファイナルで初戦敗退してしまった二人にとって全日本選手権は東京へアピールする絶好のチャンス。昨年は軽部隆介(現・鹿児島相互信用金庫)・松本優希(サンリツ)の日本リーガーペアに敗れ、悔しいベスト4敗退となってしまったが今年はどうか。
卓球ファンとしては、世界選手権決勝で優勝が決まった瞬間の、二人のハグを再び見たいものである。そして注目の張本は今回同じJOCエリートアカデミーの長﨑美柚と組んでの出場となった。
シングルス、男子ダブルスで圧倒的な実力をみせる張本はミックスでもその強さを発揮できるのか。真価が問われる大会となりそうだ。