【卓球】張本・木造ペアが逆転でダブルス日本一 "6度のマッチポイント"を振り返る<全日本卓球2019・男子複> | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

*写真:張本智和(JOCエリートアカデミー)・木造勇人(愛知工業大)/撮影:ラリーズ編集部

大会報道 【卓球】張本・木造ペアが逆転でダブルス日本一 “6度のマッチポイント”を振り返る<全日本卓球2019・男子複>

2019.01.19

文:ラリーズ編集部

<天皇杯・皇后杯 平成30年度全日本卓球選手権大会(一般・ジュニアの部)丸善インテックアリーナ大阪>

男子ダブルス決勝、張本智和(JOCエリートアカデミー)・木造勇人(愛知工業大)ペアが松山祐季・高見真己(愛知工業大)ペアを3-2のフルゲームデュースで破り、初優勝を果たした。

愛工大の高見は今大会、混合ダブルスで世界選手権金メダリストの吉村真晴・石川佳純ペアを破っているバックハンドの名手だ。

第1ゲーム〜第4ゲームは互いにゲームを奪い合うシーソーゲームに

第1ゲーム、松山・高見はレシーブからバックハンドのチキータで攻め、張本・木造に対し、9-4と大幅にリードする。ここからラリーで粘るものの、高見の強力なバックハンドカウンターが炸裂し、松山・高見がゲームポイントを握る。張本もカウンタースマッシュ「ハリパンチ」で逆襲するも、大事な第1ゲームは松山・高見が取る。

第2ゲーム、張本が息を吹き返し、リスキーなフォアストレートのコースに得意のチキータを集め、点差をつける。10-4とゲームポイントを握るも、松山・高見ペアはミスを恐れず、10-7まで追い上げられるも悪い流れを断ち切り、張本・木造がゲームを取り返した。

第3ゲーム、目にも止まらぬカウンター合戦が続く。松山・高見は両者ともバックハンドをフォアハンドと同じように振り回せる。松山がチキータし、返ってきたボールを高見が厳しいコースにバックハンドドライブを放つなど見事な連携を見せる。このバックハンドのプレッシャーからか、張本・木造はミスが増えてしまい、このゲームを5-11大差で失った。

会場も張本・木造が優勢との予想をしていたのか、騒然となる。異様な雰囲気で始まった第4ゲーム、張本がだんだんと愛工大ペアのチキータに慣れ始め、ブロックが入るようになる。時折松山・高見の強力なパワーボールが入るものの、サーブ・レシーブの丁寧さで勝る張本・木造ペアがリードを保ち、このゲームを11-5で取り返す。

第5ゲーム、6度のマッチポイントの末、張本・木造が優勝を決める

運命の最終第5ゲーム、張本・木造ペアは1-3とリードを奪われたところで、松山と高見の猛攻を前陣でカウンターし続け、ポイントを奪う。ここで流れを掴みたかった張本・木造だったが、松山・高見に3-5と先に5点を取られ、コートチェンジ。そのまま5-7とリードされたところで、張本・木造がタイムアウトを取る。

木造、松山、高見が愛知工業大学と同じチームであるため、ベンチコーチがつかないこの一戦、張本と木造の修正力が試される。

タイムアウト明けのポイントを松山・高見に献上するも、6-8とした場面で木造がネットインのボールを拾うファインプレーもありついに8-8まで追いつく。この場面で木造が意表をついたロングサーブを出したのが功を奏し、ついに9-8と逆転する。

しかしまだまだ愛工大ペアも諦めない。レシーブで強烈なチキータを決めて9-9に追いつくと、一度は張本ペアが10-9とマッチポイントを握るも勝負はデュースに持ち込まれた。決勝にふさわしい熱戦に会場のボルテージも最高潮に。

10-10の場面でまず、張本が強気のロングサーブで仕掛け、木造が3球目を華麗に決めて11-10とマッチポイントを握る。しかしながらその後は11-12、12-13と愛工大ペアがマッチポイントを奪い返す。さらに松山・高見はここでタイムアウトを取り勝負を決めにいく。

タイムアウト明けの緊張の瞬間、木造のチキータから張本がバックハンドで打ち抜く。美しいコンビネーションで決め、13-13に追いつく。

その後は木造も張本もロングサーブを選択し続け、14-13、15-14とマッチポイントを握る。

そしてついに、この瞬間が来た。最後は木造が全力で放ったチキータレシーブがウイニングポイントとなり16-14で勝負が決着した。優勝の瞬間、張本が先輩・木造の元に走り、これでもかというほどの勢いで抱きつき、優勝の喜びを分かち合った。

張本は試合後、「このペアでの練習は4日間だけ。でも全日本にかける思いは強かった。試合としては何回負けかけたか分からなかった。木造さんに助けてもらった。木造さんには最後ストップでいってほしいと言ったが、チキータで決めると言って聞かなかった。でも木造さんを信じて本当に良かった」と安堵の表情を浮かべた。

それに対して木造は「ストップに自信がなかっただけです」と謙虚に笑いを誘った。また、木造は試合内容に関して、「愛工大同士でやりづらかったがお互いにいい試合が出来たと思う」とコメントした。また翌日に2人ともシングルス準決勝を控えていることについて、張本は「木造さんと決勝がしたい」と語り、会場を沸かせた。

木造はタジタジになりながらも「準決勝が水谷さんだから、、なんていうんですかねえ…(笑)でも張本くんとやれたら一番ですね」と静かに闘志を燃やした。

今年4月の世界選手権に向けて、重要なアピールの場となる全日本。張本・木造組がダブルス優勝という結果でその実力を示した。

全日本卓球2019 男子ダブルス決勝


写真:松山 祐季/高見 真己(愛知工業大)ペア/撮影:ラリーズ編集部

木造 勇人(愛知工業大)/張本 智和(JOCエリートアカデミー) 3-2 松山 祐季/高見 真己(愛知工業大)

9-11/11-7/5-11/11-5/16-14