社会人の成熟とは"悔しさと充実の置き場所"を知ること 全日本社会人卓球選手権総括 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:村松雄斗(La.VIES/千葉)/撮影:ラリーズ編集部

大会報道 社会人の成熟とは“悔しさと充実の置き場所”を知ること 全日本社会人卓球選手権総括

2022.10.30

この記事を書いた人
1979年生まれ。2020年からRallys/2024年7月から執行役員メディア事業本部長
2023年-金沢ポート取締役兼任/軽い小咄から深堀りインタビューまで、劇場体験のようなコンテンツを。
戦型:右シェーク裏裏

<第56回全日本社会人卓球選手権大会 日時:10月28日~30日 場所:長野・ANCアリーナ(安曇野市総合体育館)>

30日、全日本社会人選手権(以下、全日本社会人)が閉幕した。

ハイレベルな日本卓球の現在地を目の当たりにする一方、かつての日本卓球界を支えた「全日本社会人選手権」という枠組みも、時代に合わせて変わるべき時期に入っているのかもしれないと思った。

学生か社会人か、という定義よりも、いま私たちの社会も卓球界も、よりシビアで現実的な区分けの中で生きている。
学生も起業して納税する時代だ。成年年齢も18歳に引き下げられた。
Tリーグにもこれだけ多くの学生選手が参加している。

一方で、選手が早期専門化していく卓球界の中で、“いい年した”社会人が多くの困難を乗り越えて勝利を目指す姿にも胸を打たれる。
せっかくの全日本社会人選手権が、より確かな位置を確保するにはどんな変化があると良いのだろうか。

そんなことを思いつつ、今大会3位の選手たちのコメントが含蓄のあるものが多かった。
社会人の成熟とは、案外“3位の悔しさと充実の置き場所”を知っていくなのことなのかもしれない。

村松雄斗(La.VIES)


写真:村松雄斗(La.VIES/千葉)/撮影:ラリーズ編集部

今大会3位という結果でした

優勝したかったので悔しいですが、上田さんに完璧なプレーをされたので、さすが強いなと思いました。ただ、僕は全国大会の表彰台に上がったのも久しぶりなので、いま日本はとてもレベルが高いので、その中で3位になれたのは今後に繋がる結果かなと思います。

ドイツ・ブンデスリーガでプレーしている影響はあるか

(所属していた)東京アートがなくなって、守ってくれるものが何もないのが、いまのところは逆に、いい方向に働いていますね。結果を出さないと厳しい世界なので常に試合は緊張しますし、つらいことのほうが多いんですが、選手である限りはベストを尽くして頑張りたいと思います。

吉田雅己(木下グループ)


写真:𠮷田雅己(木下グループ)/撮影:ラリーズ編集部

今大会を終えて

3位まで行くことが最低目標だったので、満足はしてませんが役目は果たしたかなと思います。

木下グループではコーチ兼任という立場だが

コーチ契約しているにも関わらず、Tリーグが始まってからは今は選手として専念させてもらってるので、逆に頑張らないと、という思いです。

(木下アカデミーで)教えている子たちが(奈良県で開催中の)全日本カデットで頑張って優勝したりしているので、コーチの僕が頑張らないでどうするという思いもありました。

苦しい試合を勝ちきっての3位でした

強い選手が揃う中で、ベスト8にTリーガーや海外でやっている選手が今回は多く残っていました。やっぱり負けられない、というプライドは僕も持っています。

玉石幸穂(エクセディ)


写真:玉石幸穂(エクセディ)/撮影:ラリーズ編集部

自己最高の3位という結果でした

今までは、もっと強くなるために、もっと強く打つボールを増やそうと思っていました。

でも今回は、自分の特徴を理解して、本当に無理しすぎないようにしました。良いボールじゃなくても、ミスしなくて台に入れられたら1点、粘るところと攻めるところのメリハリを意識したのが良かったのかなと思っています。

野村萌(デンソー)


写真:野村萌(デンソー)/撮影:ラリーズ編集部

3位という結果でした

優勝を狙っていたので悔しい気持ちのほうが大きいんですけど、でも井(絢乃)さんにはここまで競ったことがなくて、いつも簡単に負けてしまっていました。今回フルゲームまで行けたということを自信にして、また帰って練習します。

この全日本社会人も最初から苦しい試合ばかりだったんですけど、Tリーグで強い人の質のあるいろんなボールを受けることができて対応力が上がっているのかもしれません。参加させていただいて感謝しています。

社会人とは何か

無観客のアリーナに、試合中は自らを鼓舞する声と、試合後にはリラックスした表情がこぼれる。結局のところ、自分と上手に向き合える人間しか、長い社会人選手生活は続けられないのだ。

社会人とは何か。

少し感傷的に言うならば、勲章の少ない、観客のいない戦場でも戦い続けられる者たちのことだった。


写真:上田仁(T.T彩たま/埼玉)と大島祐哉(木下グループ/東京)/撮影:ラリーズ編集部

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