写真:持田陽向(愛工大名電)と今枝監督/撮影:ラリーズ編集部
大会報道 腰の不調抱えながらも殊勲の勝利で王座奪還 愛工大名電・持田陽向「今枝先生の涙を見ていたから絶対に負けられなかった」<卓球・インターハイ2026>
2026.08.19
文:ラリーズ編集部
<第95回全国高等学校卓球選手権大会 日時:8月13日~17日 場所:大阪府・Asueアリーナ大阪(大阪市中央体育館)>
16日、第95回全国高等学校卓球選手権大会(以下、インターハイ2026)は大会4日目を迎え、男子学校対抗決勝が行われた。
王座奪還を狙う愛工大名電と、連覇を狙う野田学園による決勝は、前半で野田学園は中城瑛貴で1本、愛工大名電は月原弘暉がフルゲームの激闘を制して1本を取る。
3番ダブルスでは、男子ダブルス王者の岩井田駿斗/中野琥珀(野田学園)ペアが奪ったが、5番で愛工大名電の原井敢田が勝利を挙げると、最後は4番の持田陽向が白星を飾り、愛工大名電が男子学校対抗の王座を奪還した。
試合後、月原、持田が取材に応じた。
月原弘暉、持田陽向(愛工大名電)コメント
写真:持田陽向(愛工大名電)/撮影:ラリーズ編集部
── インターハイを終えたお気持ちを、それぞれお伺いしてもいいでしょうか?
持田:まずは学校対抗で王座を奪還することができて、本当に良かったというか、ホッとしています。
月原:去年のインターハイで連覇が途切れてから、「先輩たちの借りを返す」という想いでやってきました。苦しい状況だったんですけど、そこを勝ちに持っていくことができて、すごく嬉しいです。
── 学校対抗は苦しい試合が続きましたが、チームとしてはどういう状態だったんでしょうか?
持田:全員が万全な状態だったかと言われると、そんなことはなくて。
自分は出発の数日前に腰を痛めてしまって、痛み止めを飲みながらやっていたんですけど、大阪に来てから痛みが悪化し始めて。本当にチームに迷惑をかけましたし、不安な思いをさせてしまったんですけど、それでも「自分が必ず勝って優勝する」という気持ちを持ってやってきました。
── 月原選手の活躍も目立っていました。ご自身の勝ち上がりについてはいかがですか?
月原:今年の全国選抜から2点起用で出させてもらうようになって、自覚がどんどん芽生えてきました。エースの持田さんが不調な状況だからこそ、「自分がやってやる」という気持ちで、チームを勝ちに導ける良いチャンスだと思って頑張りました。
── 学校対抗決勝は岩井田選手との試合でした。振り返っていかがですか?
月原:直前のシングルスで明徳義塾の栁本選手と新潟産大附の吉田選手という、自分より格上だと思っていた選手に勇気を持って戦って勝つことができていたので、「今日の自分なら岩井田選手にも勝てる」と信じていました。
オーダーが出たときは半分は楽しみな気持ちで、半分は「0-2で回してしまったらどうしよう」という不安もあったんですけど、試合が始まったらそんなことは関係ないと思って、自分のやれることを一つずつやっていきました。
── 堂々と試合をしているなという印象でした。試合中や勝った瞬間の気持ちを聞かせてください。
月原:堂々としているのは自分の性格的なところなんですけど、試合が始まるときに台の周りを拭いて、周りを見渡して「自分ならいける」と思う。そういうルーティンを今大会で作って、ずっとやってきました。
自分を盛り上げたいときは、コートを大きく使って心を整えるようにしていました。
最後はネットインだったので申し訳ないなという部分もあるんですけど、チームにとって大きな1点でしたし、岩井田選手に勝てたことも自分としては喜ばしいことだったので、いろいろ気持ちを通り越して気持ち良かったです。
写真:月原弘暉(愛工大名電)/撮影:ラリーズ編集部
── 団体戦のダブルスは厳しい試合となりましたがいかがでしたか?
持田:自分が1回戦から、ずっと弱気で守りのプレーになっていて。相手が強いのはもちろんなんですけど、自分がチャンスボールをしっかり打てなかったり、打たないといけないボールを打たずに攻められてしまったり、自分が原因で簡単にやられてしまった感じです。
── ダブルスの後のシングルスでは覚悟が決まったような様子でしたが、合間の時間で気持ちを切り替えていたということですか?
持田:ダブルスで負けてから今枝先生に呼ばれて、(コートから)離れたところで、「漢になれ」と喝を入れられて。「もう最後の試合だし、やるしかない」と自分の中で覚悟ができたので、それがプレーに表れたかなと思います。
ここまで本当にチームのみんなに迷惑かけてきたので、原井が勝ってくれると信じて、(中野選手は)岩井田選手とツインエースですけど、勝つことだけを考えて覚悟を決めてプレーしました。
── 4番、5番の2台の試合を見ていていかがでしたか?
月原:(持田さんは)高校1年生のインターハイから3年生の最後のインターハイに向けて、色々な経験をして優勝も掴み取ってきてるし、チームもここまで導いてくれているので、持田さんは勝ってくれるというか、「勝ってくれないと」と思って、自分は見ていました。
今枝先生も「持田のチームだ」と言っていたんですけど、「最後はやってくれるだろう」と信じて、持田さんの試合は見ていました。
原井の試合は不安というか、全国選抜でも4番で負けてしまっていたので「どうなるかな」と思ったんですけど、始まってからは覚悟が見えた試合だったので、2人とも誇りでしたね。
── 先に5番が終わって、中野選手が追い上げてきてプレッシャーもあったと思いますが、その辺りの心境はいかがでしたか?
持田:第3ゲームで最後追い上げて、マッチポイントも3回取ったんですけど、まったく勝ちを意識せずにやると難しくて、最後の一本を取るための戦術が定まらなくて単調になってしまいました。
第3ゲームを取られて、「フルゲームになったら厳しいから、第4ゲームをなんとしてでも取らないと」と感じていたので、気持ちをリセットして、自分が今やるべきことを全て出し切ろうという気持ちでやりました。
写真:持田陽向/月原弘暉(愛工大名電)ペア/撮影:ラリーズ編集部
── ガッツポーズや飛び跳ねたりしていた部分もありましたが?
持田:得意じゃないんですけど、後ろから仲間も応援してくれてるし、上からもみんな応援してくれてたので、すごい応援の量で自然と自分も飛び跳ねてました。
── 勝った瞬間は今枝先生にハグしに行っていたりもしましたが、感情が溢れた感じですか?
持田:去年、学校対抗の連覇が途切れて今枝先生の涙を近くで見たので、2年連続負けてられないなと。
客観的に見たら野田学園のほうがメンツも揃っているし、実力もあって有利な印象だと思うんですけど、「愛工大名電が日本一だ」というところを見せれたかなと思います。
── 応援に駆けつけてくれた方々も大勢いらっしゃったり、色々なサポートがあったと思いますが、それらは力になりましたか?
持田:インターハイ前の練習で愛工大のOBの方たちが練習に何日も来てくださって、アドバイスをたくさんいただいて、自信をつけてここまでやってこれました。保護者の方や上で応援してくれてた仲間、今枝先生と、一緒に戦ったチームのみんなにも本当に感謝したいなと思います。
月原:(インターハイ前に)卒業生の方たちが応援メッセージをくださったんですけど、「みんな見てくれているんだな」と。自分たちの後ろに心強い先輩たちがいるということで、すごく勇気づけられました。
── 月原選手は新チームの主軸になると思いますが、今後の抱負や意気込みをお願いします。
月原:まずは次の全国選抜で王座奪還を目指しています。前回はギリギリのところで敗れてしまったので、みんなで力を合わせて総合力で勝っていきたいと思います。
来年のインターハイは自分にとって最後のインターハイになるんですけど、野田学園も相当強いチームになっていると思うので、そのチームを破れるように自分たちがパワーアップして連覇につなげたいと思います。
男子学校対抗試合結果
写真:愛工大名電高校/撮影:ラリーズ編集部
2回戦:〇愛工大名電(愛知)3-1 れいめい(鹿児島)
〇原井敢田 3-0 冨嶋聖陽
立川凜 2-3 中村優志〇
〇持田陽向/月原弘暉 3-1 冨嶋聖陽/橋本琉星
〇持田陽向 3-1 橋本琉星
月原弘暉 – 平峯聡
3回戦:〇愛工大名電(愛知)3-2 静岡学園(静岡)
郡司景斗 2-3 山崎勇人〇
〇月原弘暉 3-1 畠山陽
〇持田陽向/月原弘暉 3-2 寺嶋恭平/細金拓仁
持田陽向 L-W 黄塚結空〇
〇原井敢田 3-0 本間唯斗
準々決勝:〇愛工大名電(愛知)3-0 大阪桐蔭(大阪)
〇持田陽向 3-1 能間慈瑛
〇郡司景斗 3-0 船越憲人
〇持田陽向/月原弘暉 3-2 能間慈瑛/水野徠輝
原井敢田 – 水野徠輝
月原弘暉 – 登尾圭都
準決勝:〇愛工大名電(愛知)3-1 育英(兵庫)
原井敢田 2-3 松島翔空〇
〇髙森健太 3-0 松友悠斗
〇持田陽向/月原弘暉 3-2 西面睦輝/松島翔空
〇持田陽向 3-2 西面睦輝
〇月原弘暉 3-0 日髙琥二朗
※先に5番が終了し、4番で決着のため5番のカウントなし
決勝:〇愛工大名電(愛知)3-2 野田学園(山口)
立川凜 2-3 中城瑛貴〇
〇月原弘暉 3-2 岩井田駿斗
持田陽向/月原弘暉 0-3 岩井田駿斗/中野琥珀〇
〇持田陽向 3-1 中野琥珀
〇原井敢田 3-0 島田翼






