3.11から10年 仙台出身・張本がV 伊藤も2大会連続優勝<WTTスターコンテンダードーハ総括> | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:WTTスターコンテンダードーハで優勝した張本智和(木下グループ)/提供:新華社/アフロ

大会報道 3.11から10年 仙台出身・張本がV 伊藤も2大会連続優勝<WTTスターコンテンダードーハ総括>

2021.03.14

文:ラリーズ編集部

<卓球 WTTスターコンテンダードーハ 3月5日~3月13日 カタール・ドーハ>

2021年3月13日まで、WTTコンテンダードーハが行われ、男子シングルスは張本智和(木下グループ)、女子シングルスは伊藤美誠(スターツ)が優勝した。伊藤は、先日のWTTコンテンダードーハに続いての優勝で、WTTシリーズ2連勝となった。

>>張本智和、伊藤美誠とのアベックV達成 今季国際大会初タイトル獲得<WTTスターコンテンダードーハ>

男子シングルス総括

男子シングルスでは張本智和がWTTシリーズ初優勝を飾った。


写真:張本智和(木下グループ)/提供:新華社/アフロ

中国選手の参加がなかった今大会第1シードだった張本は、2回戦から準々決勝(1回戦はシード)までオールストレート勝ちという圧倒的な力を見せ、準決勝では先日のWTTコンテンダードーハで敗れた、ドミトリ・オフチャロフ(ドイツ)にゲームカウント4-2でリベンジ。そして、決勝ではドイツのカットマン、ルーウェン・フィルスとの熱戦を制した。今シーズン国際大会で初優勝を飾った張本は、今夏の東京五輪に向けて、大きな弾みをつけた。

東北・仙台出身の張本は、試合後、自身のTwitterで、「3.11から10年というタイミングで行われた今大会はどうしても優勝してみなさんに勝利を届けたいと思っていました。
1人でも多くの方に喜んでもらえたら嬉しいです」とコメントし、被災地への思いを胸にプレーしていたことを明かした。

そして、男子シングルスで今大会1番のサプライズは何と言っても、決勝まで勝ち上がってきたルーウェン・フィルスだろう。


写真:ルーウェン・フィルス/提供:ittfworld

2回戦で張禹珍(ジャンウジン・韓国)を退けると、3回戦で水谷隼(木下グループ)にストレート勝利。その勢いは止まらず、準々決勝では世界ランキング7位の林昀儒(リンインジュ・チャイニーズタイペイ)にも勝利。カットマンながら、要所で見せる強烈なフォアドライブやカウンター、回転量の多いバックサーブは多くの選手を苦しめた。

また、今大会の男子シングルスではベスト8中5人をヨーロッパの選手が占めるなど、ヨーロッパ勢の躍進が光る大会となった。

男子シングルス結果

優勝:張本智和(木下グループ)
準優勝:ルーウェン・フィルス(ドイツ)
3位:ドミトリ・オフチャロフ(ドイツ)、ダルコ・ヨルジッチ(スロベニア)

日本選手結果

張本智和(木下グループ):優勝
水谷隼(木下グループ):ベスト16
丹羽孝希(スヴェンソン):ベスト32(本戦2回戦敗退)
森薗政崇(BOBSON):ベスト32(本戦2回戦敗退)
宇田幸矢(明治大学):ベスト64(本戦1回戦敗退)
及川瑞基(木下グループ):予選2回戦敗退
田中佑汰(愛知工業大学):予選2回戦敗退

女子シングルス総括

女子シングルスでは伊藤美誠が優勝。WTTシリーズ2連勝を達成した。


写真:伊藤美誠(スターツ)/提供:新華社/アフロ

堂々の第1シードとして臨んだ伊藤は、安定感のあるプレーで勝ち上がった。今大会快進撃を続けていた全日本ジュニア女王の大藤沙月(四天王寺高)を3回戦でストレートで下せば、準決勝では今大会の女子ダブルス優勝者の田志希(チョンジヒ・韓国)にもゲームカウント4-1で快勝。決勝も、ロンドン五輪銀メダリストの馮天薇(フォンティエンウェイ・シンガポール)にゲームカウント4-1で勝利し、充実の結果で大会を終えた。

伊藤以外の日本勢も、早田ひな(日本生命)がベスト8という、WTTコンテンダードーハに続く好成績を収め、予選から勝ち上がってきた大藤がベスト16まで進出するなど、大きな結果を残した。両選手にとっては、大きな自信となったことであろう。

女子シングルス結果


写真:馮天薇(フォンティエンウェイ)/提供:ittfworld

優勝:伊藤美誠(スターツ)
準優勝:馮天薇(フォンティエンウェイ・シンガポール)
3位:エリザベタ・サマラ(ルーマニア)、田志希(チョンジヒ・韓国)

日本選手結果

伊藤美誠(スターツ):優勝
早田ひな(日本生命):ベスト8
大藤沙月(四天王寺高):ベスト16
平野美宇(日本生命):ベスト16
石川佳純(全農):ベスト16
木原美悠(JOCエリートアカデミー/星槎):ベスト64(本戦1回戦敗退)
横井咲桜(四天王寺高):予選3回戦敗退

男子ダブルス総括

男子ダブルスでは、李尚洙(イサンス・韓国)/鄭栄植(チョンヨンシク・韓国)ペアが優勝を飾った。


写真:鄭栄植(チョンヨンシク・写真右)と李尚洙(イサンス)/提供:ittfworld

準決勝で荘智淵(チュアンチーユアン)/陳建安(チェンジェンアン)のチャイニーズタイペイペアをフルゲームで下した李尚洙/鄭栄植ペアは、アルバーロ・ロブレス(スペイン)/オビディウ・イオネスク(ルーマニア)ペアと対戦。試合はフルゲームにもつれる大熱戦となるが、第5ゲームを李尚洙/鄭栄植ペアが11-3で制し勝利。李尚洙はWTTコンテンダードーハの男子ダブルスでも優勝しているため、WTTシリーズ2連勝となった。

また、日本勢では及川瑞基/宇田幸矢ペアが3位入賞の成績を収めた。及川/宇田ペアは、準決勝でロブレス/イオネスクペアにフルゲームデュースの末、惜しくも敗れてしまったが、新旧全日本チャンピオンペアとして新たな可能性を感じるゲームを見せてくれた。今後の活躍にも要注目だ。

男子ダブルス結果


写真:アルバーロ・ロブレス(写真左)とオビディウ・イオネスク/提供:ittfworld

優勝:李尚洙/鄭栄植(チョンヨンシク・韓国)
準優勝:アルバーロ・ロブレス(スペイン)/オビディウ・イオネスク(ルーマニア)
3位:及川瑞基(木下グループ)/宇田幸矢(明治大)、荘智淵/陳建安(チャイニーズタイペイ)

日本選手結果

及川瑞基(木下グループ)/宇田幸矢(明治大):3位

女子ダブルス総括

女子ダブルスでは申裕斌(シンユビン・韓国)/田志希(チョンジヒ・韓国)ペアが、石川佳純/平野美宇ペアを下して優勝した。


写真:申裕斌(シンユビン・写真左)/田志希(チョンジヒ)/提供:ittfworld

WTTシリーズ2連勝を狙う石川/平野ペアは、準決勝で早田/木原ペアとの激戦を制し、決勝まで駒を進めた。しかし、決勝では申裕斌/田志希ペアの質の高いプレーの前に悔しいストレート負けを喫して、WTTシリーズ2連勝を果たすことはできなかった。石川/平野ペアにとっては悔しい結果となったことは間違いないが、2大会連続の決勝進出という成績は特筆に値する。東京五輪代表の両選手にとって、今大会が大きな経験値となったことは間違いない。

女子ダブルス結果


写真:石川佳純・平野美宇ペア/提供:新華社・アフロ

優勝:申裕斌/田志希(韓国)
準優勝:石川佳純(全農)/平野美宇(日本生命)
3位:早田ひな(日本生命)/木原美悠(JOCエリートアカデミー/星槎)、大藤沙月/横井咲桜(四天王寺高)

日本選手結果

石川佳純(全農)/平野美宇(日本生命):準優勝
早田ひな/木原美悠:3位
大藤沙月/横井咲桜(四天王寺高):3位

混合ダブルス総括

混合ダブルスでは、林昀儒/鄭怡静(チェンイーチン・チャイニーズタイペイ)ペアが優勝。WTTコンテンダードーハに続いての優勝となった。


写真:林昀儒(リンインジュ・写真右)/鄭怡静(チェンイーチン)/提供:ittfworld

WTTコンテンダードーハ優勝を果たしていた林昀儒/鄭怡静ペアは、今大会第2シードとして出場。決勝まで順当に勝ち上がり、決勝では、WTTコンテンダードーハ3位の田志希/李尚洙ペアにゲームカウント3-1で勝利し、WTTシリーズ2連勝を達成した。

第1シードとして参加した水谷/伊藤ペアは、準決勝で田志希/李尚洙ペアに第1ゲームを制するも、そこから3ゲームを連取され悔しい敗戦。優勝して東京五輪に弾みをつけたい水谷/伊藤ペアだったが、約1年ぶりの実戦としては一定の成果を残せたと言える。東京五輪までの残り少ない時間でどこまで修正していけるかが、今後の課題となるだろう。

混合ダブルス結果


写真:水谷隼と伊藤美誠/提供:ittfworld

優勝:林昀儒/鄭怡静(チャイニーズタイペイ)
準優勝:田志希/李尚洙(韓国)
3位:水谷隼(木下グループ)/伊藤美誠(スターツ)、ルボミール・ピシュティ/バラボラ・バラージョバー(スロバキア)

日本選手結果

水谷隼/伊藤美誠:3位

張本智和インタビュー


写真:張本智和(木下グループ)/提供:長田洋平/アフロスポーツ

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