文:ラリーズ編集部
<アジア選手権2021 日時:9月28日~10月5日 場所:カタール・ドーハ>
1日、アジア選手権は4日目を迎え、男子団体の決勝トーナメントの準決勝、女子シングルスと男子ダブルスで1回戦、混合ダブルスの準々決勝までが行われた。男子団体準決勝で日本は台湾に2-3で敗れ、決勝進出とはならなかった。
男子日本は難敵に惜敗
写真:木造勇人(愛知工業大)/撮影:ラリーズ編集部
男子団体の準決勝に出場した日本は台湾と熱戦を繰り広げた。第1試合に登場した木造勇人(愛知工業大)は、東京五輪代表である陳建安(チェンジェンアン)と対戦した。左利き対決となったが、陳建安のドライブが得点につながり、3-0で陳建安が制した。続く第2試合では、戸上隼輔(明治大)が黄彦誠(ハンヤンチェン)相手に攻めの姿勢を貫き、3-0で勝利して1-1と並んだ。
写真:篠塚大登/撮影:ラリーズ編集部
3番手に登場した篠塚大登(愛工大名電高)は馮翊新(フェンイーシン)に第1ゲームを取るも逆転を許し、1-3で敗れた。後がない日本は、4番手の木造が黄彦誠に3-1で勝利して2-2と並び、勝負は5番手に託された。5番に登場した戸上は陳建安との対戦となった。
写真:世界選手権選考会での戸上隼輔(明治大学)/撮影:ラリーズ編集部
第1ゲームを戸上が取るも、第2、第3ゲームを陳建安が取って台湾の決勝進出に王手がかかった。第4ゲームも陳建安の流れであったが、後半から戸上のバックハンドが冴えわたり11-9で最終ゲームにもつれ込む。しかし、戸上の追い上げから陳建安が逃げ切る形で最終ゲームを制し、台湾の決勝進出が決まった。
写真:張禹珍(チャンウジン・韓国)/提供:ITTF
後に行われた男子団体決勝の韓国対台湾の試合では、第1試合で張禹珍(チャンウジン・韓国)が陳建安に3-1で勝利。2番手で荘智淵(チャンチーユエン・チャイニーズタイペイ)が白星を挙げて1-1と並ぶが、3番手の安宰賢(アンジェヒョン・韓国)が馮翊新に勝利、そして4番手でエースの張禹珍が荘智淵を3-0で破り、韓国の優勝が決定した。
日本勢個人でも白星を挙げる
写真:長﨑美柚(日本生命)/提供:新華社/アフロ
女子シングルス1回戦に長﨑美柚(日本生命)が登場。Haiqa HASSAN(パキスタン)相手に圧巻のプレーを見せ、3-0のストレートで勝利した。男子ダブルス1回戦でも木造/吉村和弘(岡山リベッツ)ペアがオマーンのペアに3-0のストレートで勝利して2回戦へと進んだ。
写真:早田ひな(日本生命)・戸上隼輔(明治大)/撮影:ラリーズ編集部
混合ダブルス2回戦に登場した戸上/早田ひな(日本生命)ペアはタイのペアに3-0で勝利すると、続く準々決勝では馮翊新/陳思羽(チェンズーユ・チャイニーズタイペイ)ペアに苦戦を強いられた。ゲームカウント2-1とリードし、準決勝進出に王手をかけた日本ペアだったが、第4ゲームで台湾ペアが粘り強さを見せデュースを制して最終ゲームへ。しかし台湾ペアの反撃もここまで、戸上/早田ペアが11-7で取り切り準決勝進出を決めた。
写真:木造勇人(愛知工業大)・安藤みなみ(トップ名古屋)/撮影:ラリーズ編集部
一方、木造/安藤みなみ(トップ名古屋)ペアはシンガポールのペアに第1ゲームを取るもその後は勢いに乗れず逆転を許し1-3で敗れた。5日目となる2日には、男女シングルスとダブルスで2回戦までと、混合ダブルスの準決勝が行われる。
5日目見どころ
写真:村松雄斗(東京アート)/撮影:ラリーズ編集部
5日目からは個人戦で日本勢が多数登場する。男子シングルスでは篠塚以外の4名が1回戦から試合に臨む。男子団体のリベンジを果たせるかどうかに期待だ。男子ダブルスでも初戦を勝ちあがった木造/吉村ペアと、宇田幸矢(明治大)/戸上ペアが2回戦に出場する。今大会男子ダブルスのみの出場となった宇田だが、戸上とのペアで優勝に向けて勝ち上がれるかどうか期待だ。
写真:早田ひな(日本生命)/撮影:ラリーズ編集部
女子シングルスでは2回戦からライバルである韓国や中国香港の選手と当たる。長﨑は第1シードの田志希(チョンジヒ・韓国)と対戦することとなった。女子団体決勝では早田が田志希に3-1で勝利している。長﨑にとってはここが正念場だ。一方早田も李皓晴(リホチン・中国香港)と対戦する。WTT大会に続いて、ドーハの地で2大会連続優勝を目指す早田は2回戦を制すことができるか。ほか、佐藤瞳(ミキハウス)。芝田沙季(ミキハウス)、安藤が同じく2回戦に臨む。
写真:芝田沙季/佐藤瞳(ミキハウス)ペア/撮影:ラリーズ編集部
女子ダブルスでは長﨑/安藤ペア、佐藤/芝田ペアがともにイランのペアに挑む。長﨑/安藤ペアはWTT大会で優勝、佐藤/芝田ペアも過去にアジア選手権ベスト4に輝くなどともに実力のあるペアとして、負けられない試合となるだろう。そして混合ダブルス準決勝で戸上/早田ペアが、東京五輪代表である黄鎮廷(ウォンチュンティン)/杜凱琹(ドゥホイカン・中国香港)ペアと対戦する。先日のWTT大会では対戦することはなかったが、五輪代表のペア相手にはハイレベルな戦いが要求される。ここを勝ち切って、決勝へ進めるか。注目の試合だ。
4日目 日本勢結果
男子団体準決勝 日本 2-3 台湾
木造勇人 0-3 陳建安(チェンジェンアン)〇
6-11/6-11/11-13
〇戸上隼輔 3-0 黄彦誠(ハンヤンチェン)
11-4/11-8/11-5
篠塚大登 1-3 馮翊新(フェンイーシン)〇
11-6/8-11/7-11/7-11
〇木造勇人 3-1 黄彦誠(ハンヤンチェン)
7-11/11-9/11-9/11-5
戸上隼輔 2-3 陳建安(チェンジェンアン)〇
11-4/7-11/5-11/11-9/7-11
女子シングルス 1回戦
〇長﨑美柚 3-0 Haiqa HASSAN(パキスタン)
11-2/11-5/11-1
男子ダブルス 1回戦
〇木造勇人/吉村和弘 3-0 Asad ALRAISI/Haitham AL-MANDHARI(オマーン)
11-2/11-9/11-4
混合ダブルス 3回戦
木造勇人/安藤みなみ 1-3 PANG Yew En Koen/リン・イエ(シンガポール)〇
11-5/9-11/4-11/7-11
〇戸上隼輔/早田ひな 3-0 Napat THANMATHIKOM/Wirakarn TAYAPITAK(タイ)
11-4/11-5/11-3
混合ダブルス 準々決勝
〇戸上隼輔/早田ひな 3-2 馮翊新(フェンイーシン)/陳思羽(チェンズーユ・チャイニーズタイペイ)
7-11/11-5/11-8/12-14/11-7
5日目 日本勢試合予定
男子ダブルス 2回戦
木造勇人/吉村和弘 – PANG Yew En Koen/CHUA Josh Shao Han(シンガポール)
宇田幸矢/戸上隼輔 – Zokhid KENJAEV/Abdulaziz ANORBOEV(ウズベキスタン)
男子シングルス 1回戦
吉村和弘 – Bilegt BATKHISHIG(モンゴル)
木造勇人 – Moosa AHMED(モルディブ)
村松雄斗 – Mohammad SALAMEH(ヨルダン)
戸上隼輔 – Ebrahim Abdulhakim GUBRAN(イエメン)
男子シングルス 2回戦
篠塚大登 – 未定
女子シングルス 2回戦
長﨑美柚 – 田志希(チョンジヒ・韓国)
安藤みなみ – Sadia Rahman MOU(バングラデシュ)
佐藤瞳 – 申裕斌(シェンユービン・韓国)
芝田沙季 – リン・イエ(シンガポール)
早田ひな – 李皓晴(リホチン・中国香港)
女子ダブルス 1回戦
長﨑美柚/安藤みなみ – Shima SAFAEI/Maryam FAREI(イラン)
佐藤瞳/芝田沙季 – Neda SHAHSAVARI/Marshid ASHTARI(イラン)
混合ダブルス 準決勝
戸上隼輔/早田ひな – 黄鎮廷(ウォンチュンティン)/杜凱琹(ドゥホイカン・中国香港)
アジア選手権とは
アジア選手権は、2~3年ごとにアジア各国の予選を勝ち抜いた選手によって、アジアNo.1を決める大会である。卓球の全種目(男女シングルス・男女ダブルス・混合ダブルス・男女団体)が行われ、各種目で優勝者が決まる。
日本勢の記録としては2017年大会の女子シングルスで平野美宇(日本生命)が中国勢3人に連続で勝利して優勝したことが記憶に新しい。ほかにも前回大会では男子ダブルスで吉村真晴(愛知ダイハツ)/戸上隼輔(明治大)ペアが3位、女子ダブルスで平野/石川佳純(全農)ペアと芝田沙季(ミキハウス)/佐藤瞳(ミキハウス)ペアがともに3位入賞を果たしている。
今大会では中国代表が、先日の第14回全中国運動会卓球競技の開催と、11月に控える世界選手権に向けたトレーニング等への影響を考慮し、WTT大会とともに不参加を表明している。また、日本からも東京五輪代表の選手は参加しないこととなり、6月の国内選考会を勝ち抜いた代表選手が参加することとなる。
安藤みなみインタビュー(2021年2月公開)
写真:安藤みなみ(トップおとめピンポンズ名古屋)/撮影:田口沙織
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