文:ラリーズ編集部
<アジア選手権2021 日時:9月28日~10月5日 場所:カタール・ドーハ>
4日、アジア選手権は7日目を迎え、男子ダブルスの決勝、女子シングルスの決勝、混合ダブルスの決勝が行われた。男子ダブルスで戸上隼輔/宇田幸矢(ともに明治大)ペアが日本勢で45年ぶりの優勝、女子シングルスを制した早田ひな(日本生命)が日本勢47年ぶりの3冠達成、混合ダブルスで戸上/早田ペアが日本勢で43年ぶりの優勝と日本代表が記録的な快挙を達成した。
男子ダブルス、明治大ペアが快挙
写真:宇田幸矢・戸上隼輔(明治大学)/提供:新華社/アフロ
男子ダブルスの決勝に進出した戸上/宇田ペアは張禹珍(チャンウジン)/林鐘勲(イムジョンフン・韓国)ペアと対戦した。第1ゲームから接戦となったが、宇田の中陣からの威力のあるドライブと戸上のサイドを突く高速ドライブでデュースを制す。第2ゲームで韓国ペアが持ち前の攻撃力の高さでリードを広げるも、カウンターで安定感を見せる日本ペアが逆転を決め優勝に王手をかけた。
写真:宇田幸矢(写真左)・戸上隼輔(明治大学)/撮影:ラリーズ編集部
第3ゲームでは韓国ペアが前陣で日本ペアの攻撃に対してカウンターで得点を重ねる。戸上/宇田ペアも食らいつくが、11-8で韓国ペアが1ゲームを奪い返す。しかし韓国ペアの反撃もここまで、戸上の高速バックハンドと宇田の強烈なフォアドライブが得点につながり、最後は宇田のストレートへのフォアドライブが決まった。男子ダブルスでは、1976年大会での井上哲夫/河野満ペア以来、45年ぶりの優勝となった。
早田3冠、混合ダブルスでも歴史的勝利
写真:早田ひな(日本生命)/撮影:ラリーズ編集部
女子シングルス決勝には早田が登場。準決勝で安藤みなみ(トップ名古屋)を破った申裕斌(シンユビン・韓国)との対戦となった。申裕斌が持ち前のパワフルな攻撃で早田を圧倒し第1ゲームを奪うが、第2ゲームから早田のバックハンドドライブが得点につながり2ゲーム連取。第4ゲームは一進一退の攻防が続くも早田がサービスで優位に立ち、最後は早田のツッツキに対し申裕斌がドライブでミスして試合が終了した。
写真:戸上隼輔(明治大)/早田ひな(日本生命)ペア/提供:新華社/アフロ
混合ダブルス決勝はWTTスターコンテンダードーハ大会の再戦となった。第1ゲームはラリー戦で優位に立った張禹珍(チャンウジン)/ 田志希(チョンジヒ・韓国)ペアが制すが、第2ゲームから戸上の両ハンドのドライブと早田のストレートへの攻撃が止まらず2ゲームを連取した。第4ゲームは互いに譲らず、9-9までもつれ込んだがラリー戦を日本ペアが制すと、最後は早田のサービスを張禹珍がレシーブミスし試合終了。
混合ダブルスでは1978年大会の小野誠治/菅谷佳代ペア以来となる43年ぶりの優勝を飾った。さらに早田が日本勢で47年ぶりとなる3冠を達成するなど、日本勢の記録的快挙が続いている。最終日となる5日には、男子シングルスと、女子ダブルスの準決勝と決勝戦が行われる。
最終日見どころ
写真:戸上隼輔(明治大学)/提供:新華社/アフロ
日本勢からは戸上が男子シングルス準決勝、長﨑美柚(日本生命)/安藤ペアが女子ダブルス準決勝に挑む。戸上は準決勝を制すと、日本勢23年ぶりの決勝進出となり、優勝を飾れば日本勢では47年ぶりの快挙となる。さらに、個人種目で男子日本では1970年大会の長谷川信彦氏以来、近年では2015年大会での樊振東(ファンジェンドン・中国)以来となる3冠を達成することができる。
準決勝では、攻守ともにバランスの良い李尚洙(イサンス・韓国)が相手だ。強敵を倒し歴史的快挙を成し遂げることができるのか。
写真:長﨑美柚(日本生命)・安藤みなみ(トップ名古屋)ペア/撮影:ラリーズ編集部
一方女子ダブルスでも長﨑/安藤ペアが、2017年の伊藤美誠(スターツ)/平野ペア以来の決勝進出、そして1972年のアジア卓球連合創設以来初の日本勢優勝に向けて準決勝に臨む。相手は両者がシングルスで敗れた田志希(チョンジヒ)/申裕斌(シンユビン・韓国)だ。日本ペアにとっては苦しい相手だが、抜群のコンビネーションで日本に大金星をもたらすことができるのか。
男子シングルス、女子ダブルスはともに片時も目が離せない試合となるだろう。
7日目 日本勢結果
男子ダブルス準決勝
〇戸上隼輔/宇田幸矢 3-0 カマル・アチャンタ/サティアン・グナナセカラン(インド)
11-5/11-9/13-11
男子ダブルス決勝
〇戸上隼輔/宇田幸矢 3-1 張禹珍(チャンウジン)/林鐘勲(イムジョンフン・韓国)
13-11/11-8/8-11/11-9
*戸上/宇田ペア、日本勢45年ぶりの優勝
女子シングルス 準決勝
安藤みなみ 1-3 申裕斌(シンユビン・韓国)〇
11-8/9-11/8-11/7-11
〇早田ひな 3-2 芝田沙季
11-7/8-11/11-9/8-11/12-10
女子シングルス 決勝
〇早田ひな 3-1 申裕斌
7-11/11-4/11-8/11-4
*早田ひな、日本勢47年ぶりの3冠達成
混合ダブルス 決勝
〇戸上隼輔/早田ひな 3-1 張禹珍(チャンウジン)/ 田志希(チョンジヒ・韓国)
6-11/11-9/11-7/11-9
*戸上/早田ペア、日本勢43年ぶりの優勝
最終日 試合予定
男子シングルス 準決勝
戸上隼輔 – 李尚洙(イサンス・韓国)
張禹珍(チャンウジン・韓国) – 荘智淵(チャンチーユエン・チャイニーズタイペイ)
女子ダブルス 準決勝
長﨑美柚/安藤みなみ – 田志希(チョンジヒ)/申裕斌(シンユビン・韓国)
杜凱琹(ドゥホイカン)/李皓晴(リホチン・中国香港) – 鄭先知(ジェンシェンチー)/LIU Hsing Yin(チャイニーズタイペイ)
アジア選手権とは
アジア選手権は、2~3年ごとにアジア各国の予選を勝ち抜いた選手によって、アジアNo.1を決める大会である。卓球の全種目(男女シングルス・男女ダブルス・混合ダブルス・男女団体)が行われ、各種目で優勝者が決まる。
日本勢の記録としては2017年大会の女子シングルスで平野美宇(日本生命)が中国勢3人に連続で勝利して優勝したことが記憶に新しい。ほかにも前回大会では男子ダブルスで吉村真晴(愛知ダイハツ)/戸上隼輔(明治大)ペアが3位、女子ダブルスで平野/石川佳純(全農)ペアと芝田沙季(ミキハウス)/佐藤瞳(ミキハウス)ペアがともに3位入賞を果たしている。
今大会では中国代表が、先日の第14回全中国運動会卓球競技の開催と、11月に控える世界選手権に向けたトレーニング等への影響を考慮し、WTT大会とともに不参加を表明している。また、日本からも東京五輪代表の選手は参加せず、6月の国内選考会を勝ち抜いた代表選手が参加することとなる。
戸上隼輔インタビュー(2020年1月公開)
写真:戸上隼輔/撮影:伊藤圭
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