文:ラリーズ編集部
<パリ五輪卓球競技 日程:2024年7月27日~8月10日 場所:サウスパリアリーナ4>
3日、大会8日目を迎えるパリ五輪卓球競技では、女子シングルス3位決定戦で早田ひな(日本生命)と申裕斌(シンユビン・韓国)が対戦する。ともに勝てば自身初の女子シングルスメダル獲得となるこの戦いだが、過去の対戦成績で言えば早田の5戦5勝と、圧倒的に早田に分がある。
しかし、いずれの対戦も早田が楽に勝利したというよりは接戦と言える試合が多かった。
そこで今回は、両選手の過去の対戦成績を振り返っていく。
※試合は国際大会とTリーグでの試合を対象とする
過去の戦績では早田ひなが有利
2人の最初の対戦は、2019年のワールドツアーチェコオープンにまで遡る。当時早田は19歳、申裕斌は15歳と、ともに10代での対戦となった。
写真:2019年チェコOPの早田ひな/提供:ittfworld
試合はゲームカウント4-2で早田が勝利したものの、第1、第2ゲームを奪われてからの逆転ということもあり、決して楽に勝てた試合ではなかった。
なお、同大会で申裕斌はパリ五輪韓国男子代表の趙大成(チョデソン・当時16歳)との混合ダブルスで優勝をしている。そして、決勝の相手はあの水谷隼/伊藤美誠ペアで、申裕斌は15歳50日でのワールドツアー初優勝を飾った。
写真:2021年アジア選手権の早田ひな/提供:新華社/アフロ
次に早田が申裕斌と対戦したのは、2年後のアジア選手権女子シングルス決勝。試合はゲームカウント3-1で早田が勝利し、自身初となるアジア選手権での女子シングルス金メダル獲得を達成した。アジア選手権女子シングルスでの日本勢の金メダルは実に47年ぶりの快挙で、早田は同大会で女子団体、混合ダブルスでも金メダルを獲得し、3冠を達成した。
写真:2022-2023シーズン九州アスティーダ在籍時の申裕斌(シンユビン)/提供:九州アスティーダ/T.LEAGUE/アフロ
3度目の対戦は、2022-2023シーズンのTリーグ日本生命レッドエルフと九州アスティーダの一戦。第2マッチで対戦した早田と申裕斌の試合は、第1ゲームを早田が制し、第2ゲームを申裕斌が奪うも、第3、第4ゲームを早田が奪取。ゲームカウント3-1で早田が勝利した。
写真:2023年杭州アジア競技大会の早田ひな/提供:森田直樹/アフロスポーツ
早田と申裕斌の4度目の対戦は、2023年のアジア競技大会女子団体準決勝。試合はゲームカウント3-0で早田が申裕斌を圧倒した。なお、同大会で早田は結果的に、女子シングルスで日本勢13年ぶりとなる決勝進出を果たすなど充実の結果を見せていただけに、申裕斌に完封勝利を収めたのも納得がいく。
写真:2024年ワールドカップマカオ大会の申裕斌(シンユビン)/提供:ITTF
そして、直近の早田と申裕斌の対戦が、2024年4月に開催されたワールドカップマカオ大会女子シングルス決勝トーナメント1回戦。
試合は早田が第1ゲームを制するも、申裕斌に第2、第3ゲームを連取される苦しい展開に。そこから早田が2ゲーム連取して逆転するも、戦術変更が功を奏した申裕斌に第6ゲームを奪われ、勝負はフルゲームへもつれる。そして、第7ゲームも早田が3点を追う苦しい展開になるもなんとか追いつき、デュースの末に早田が勝利を収めていた。
満身創痍の早田がどこまで戦えるか
写真:早田ひな(日本生命)/提供:ITTF/ONDA
このように、過去の対戦では早田の勝率が100%となっており、戦績だけで見れば申裕斌は「相性のいい相手」と言える。しかし、準決勝後に早田本人が「コンディションが万全ではなかった」と語る通り、早田が利き腕である左腕に問題を抱えているのは明らか。
対する申裕斌は、今大会混合ダブルスで銅メダルを獲得し、女子シングルス準々決勝では平野美宇(木下グループ)との死闘を制して勝ち上がるなど、心身ともに充実した状態と言える。もちろん、連戦による疲労は考えられるものの現時点では早田よりも状態が良い可能性は高く、早田との試合でも高いパフォーマンスを発揮するだろう。
いずれにせよ、3日に行われる女子シングルス3位決定戦で両選手が熱い試合を見せてくれることに期待したい。