張本智和が3年ぶり2度目のチャンピオンズ優勝 メディカルタイムアウトが話題に【卓球・WTTチャンピオンズ横浜2025トピックス5選】 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:張本智和(トヨタ自動車)/提供:WTT

大会報道 張本智和が3年ぶり2度目のチャンピオンズ優勝 メディカルタイムアウトが話題に【卓球・WTTチャンピオンズ横浜2025トピックス5選】

2025.08.16

文:ラリーズ編集部

<卓球・WTTチャンピオンズ横浜2025 日程:2025年8月7~11日 場所:横浜BUNTAI(神奈川県横浜市)>

8月7〜11日にかけて神奈川県横浜市の横浜BUNTAIにてWTTチャンピオンズ横浜2025(以下、WTT横浜)が行われ、全種目で優勝者が決まった。

本記事では、WTT横浜で話題となったトピックスを5つ紹介する。

張本vs早田戦でメディカルタイムアウトが問題に


写真:張本美和(木下グループ)/提供:WTT

女子シングルス2回戦の張本美和(木下グループ)と早田ひな(日本生命)の同士討ちは、早田がゲームカウント3-2で勝利して準々決勝に進出した。この試合では、第5ゲーム途中に早田が取ったメディカルタイムアウト(MTO)が波紋を呼んだ。

この試合では最終第5ゲーム、4-2と張本がリードした場面で早田がタイムアウトを要求。その後、治療のためにMTOが認められ、普段の試合では張本のベンチコーチにも入っているトレーナーの岡雄介氏が早田の治療にあたった。

試合は約10分間中断し、張本は一人で体を動かしながら再開を待ったが、再開後は流れを失い最終的に7-11で敗戦となった。


写真:早田ひな(日本生命)/提供:WTT

MTOはルール上選手に認められた権利だが、張本にはその旨が知らされていなかったり、同士討ちの中でコーチが入って治療を行ったりするなど、その使用方法に疑問が呈された形となった。ただし、これは早田の責任ではなく、ルール・制度上の不備の可能性もあり、今後の国際大会でどのように改変・適応されるのか、今後の動きを注視していきたい。

橋本帆乃香の対外連勝記録がストップ


写真:橋本帆乃香(デンソー)/提供:WTT

女子シングルス2回戦では橋本帆乃香(デンソー)が孫穎莎(スンイーシャ・中国)と対戦。橋本はWTTフィーダーブダペスト2022で何卓佳(フーズオジャー)に敗れて以降1度も海外選手に負けておらず、対外連勝記録は41まで伸ばしていた。

世界女王相手に連勝記録を伸ばせるか注目が集まったが、試合は橋本がゲームカウント1-3で敗れ、惜しくも連勝記録はストップとなった。

しかしながら、橋本は第1ゲームを11-6で先制するなど善戦し、大いに観客を盛り上げた。

世界ランキングも現在11位と、日本勢4番手の位置につけており、今後の活躍次第では初のTOP10入りも夢ではないだろう。

ドイツ勢にフライトアクシデント


写真:邱党(キュウダン・ドイツ)/提供:WTT

ドイツ代表のベネディクト・デューダ、邱党(キュウダン)は大会前にWTTスターコンテンダーフォズ・ド・イグアス2025に参加していた。そのため、かなりタイトなスケジュールで移動を強いられることになったわけだが、飛行機の大幅遅延の影響で現地の空港で足止めされ、直前まで今大会に間に合わない可能性があった。

最終的には両選手ともなんとか開幕に間に合い、邱党は男子シングルス2回戦で世界ランク1位の林詩棟(リンシドン・中国)に勝利する活躍を見せた。

結果的には収まるところに収まったものの、一方で、近年問題視されている国際大会の過密日程化の負の側面が、再び露呈した形になった。

カナック・ジャー、ドーピング復帰後メジャー大会で初の4強


写真:カナック・ジャー(アメリカ)/提供:WTT

男子シングルスに出場したカナック・ジャー(アメリカ)は、準々決勝で邱党(キュウダン・ドイツ)に勝利し、アメリカ人選手初のチャンピオンズベスト4に入った。

ジャーは2022年12月1日、アンチ・ドーピング規則違反で国際大会への出場停止の処分を受けていたが(ドーピングそのもので規則違反ではなく、居場所情報を提出する競技会外検査を怠ったことで罰則の対象となった)、2023年12月に競技に復帰。

しかし、復帰後はWTTフィーダーやWTTコンテンダーなど下位大会で勝ち進むことはあっても、スターコンテンダーやチャンピオンズなどの上位大会ではなかなか結果を残せずにいた。

そんななかで、今回ベスト4まで勝ち進めたことは本人にとっても復活の足掛かりになったのではないだろうか。

張本智和と陳幸同が優勝


写真:張本智和(トヨタ自動車)/提供:WTT

男子シングルス決勝では、張本智和(トヨタ自動車)と王楚欽(ワンチューチン・中国)の対戦となった。王楚欽は過去2年間、日本選手に一度も敗れておらず、日本代表にとってまさに“天敵”といえる存在だ。

この試合、張本はストップやツッツキを多用し、王楚欽に先に攻めさせてからブロックやカウンターで応戦する戦術を展開。この作戦が的中し、第1ゲームでは王楚欽のリードを逆転で奪うと、第2・第3ゲームも序盤から主導権を握って連取し、ゲームカウントを3-0とした。


写真:王楚欽(ワンチューチン・中国)/提供:WTT

追い込まれた王楚欽は第4ゲームで10-6とリードするが、張本に10-9まで迫られる。それでも最後は3球目攻撃で張本のフォアを打ち抜き、11-9でこのゲームを奪取。続く第5ゲームも互いに譲らず、11-11の接戦となるが、王楚欽がラリーを制して13-11で連取し、ゲームカウントは3-2に。

第6ゲーム、張本は序盤からリードを広げ4-2とすると、この直後に膝の痛みでメディカルタイムアウト(MTO)を申請。張本は再開後も落ち着いたプレーを見せ、10-4とチャンピオンシップポイントを握る。最後は張本のダブルストップを王楚欽がネットにかけ、試合終了。

1時間を超える熱戦をゲームカウント4-2で制した張本は、WTTチャンピオンズブダペスト2022以来、3年ぶり2度目のWTTチャンピオンズ優勝を飾った。


写真:陳幸同(チェンシントン・中国)/提供:WTT

また、女子シングルスでは陳幸同(チェンシントン・中国)が世界女王の孫穎莎と対戦。ミスのない両ハンドでラリーを制した陳幸同がゲームカウント4-2で勝利し、チャンピオンズ初優勝を果たした。

チャンピオンズ日本初開催となったWTTチャンピオンズ横浜。大会期間を通して、日本人と中国人を中心に多くの観客が横浜BUNTAIに詰めかけ(会場はほぼ満席に近かった)、大会は大盛り上がりで幕を閉じた。

来シーズンも横浜でチャンピオンズ開催が決まっており、日本で再び熱い戦いが観られることに期待したい。

WTTチャンピオンズ横浜2025最終結果

男子シングルス

第1位:張本智和(トヨタ自動車)
第2位:王楚欽(ワンチューチン・中国)
第3位:カナック・ジャー(アメリカ)、トルルス・モーレゴード(スウェーデン)

女子シングルス

第1位:陳幸同(チェンシントン・中国)
第2位:孫穎莎(スンイーシャ・中国)
第3位:石洵瑶(シシュンヤオ・中国)、王藝迪(ワンイーディ・中国)